大学生のメンタルヘルスを分析 ~自殺既遂と自殺念慮には異なる傾向が~ - Kyodo News PR Wire|RBB TODAY
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大学生のメンタルヘルスを分析 ~自殺既遂と自殺念慮には異なる傾向が~



2025年5月15日
 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学

大学生のメンタルヘルスを分析 ~自殺既遂と自殺念慮には異なる傾向が~

本研究のポイント
・国際標準の心理指標であるCCAPS(シーキャップス)注1) の日本語版を用いて、日本人大学生の「死にたい」気持ち(自殺念慮)の強さとメンタルヘルスの関連を明らかにしました。
・自殺既遂者数は男性の方が多いことが統計では示されていますが、強い自殺念慮を抱くのは女性の方が多いことを明らかにしました。
・自殺念慮の強い学生ほど、メンタルヘルス全般に不調をきたしていることを明らかにしました。
・自殺念慮の強い学生が、高学年で多く存在する傾向を明らかにしました。
・本研究の知見は、高等教育機関における効果的な自殺予防対策の企画立案および実施の一助となることが期待されます。

研究概要
 岐阜大学保健管理センターの堀田 亮 准教授らの研究グループは、大学生を対象にメンタルヘルスに関する調査を実施し、強い自殺念慮を抱くのは男子学生よりも女子学生に多いことを明らかにしました。また、自殺念慮の強い学生ほど、抑うつや不安、学業ストレスなどメンタルヘルス全般に不調をきたしていること、高学年の方が、強い自殺念慮を抱く学生の割合が大きいことも明らかにしました。本研究の知見は、高等教育機関において、どのような対象、時期に自殺予防対策を実施することが効果的であるかについて示唆を与えるものです。本研究成果は、現地時間2025年5月5日にCogent Psychology誌のオンライン版で発表されました。

研究背景
 日本人の自殺者数は減少傾向にありますが、大学生年代の自殺者数は横ばいで、自殺率も他の年代と比較して高いことが問題となっています。自殺を防ぐためには、メンタルヘルスに不調をきたしている人を早期に発見し、支援につなぐことが必要です。そこで、本研究では自殺の重要なリスク要因のひとつである自殺念慮の強さに着目し、その実態を明らかにすることを試みました。

研究成果
 自殺既遂者数はどの年代でも男性の方が多いことが報告されていますが、強い自殺念慮を抱くのは女性の方が割合が大きいという逆の傾向を示しました。また、自殺念慮の強い人ほどメンタルヘルスに不調をきたしていること、高学年になるほど自殺念慮の強い人が多いことを実証しました。

今後の展開
 どの年代、対象、時期においても自殺予防対策が重要なのは言うまでもありませんが、今後は、本研究で得られた知見を活かし、性別や学年の特徴に応じたプログラムを提供することが、自殺者数の減少のために有効であると言えるでしょう。

用語解説
注1)CCAPS:Counseling Center Assessment of Psychological Symptomsの略。米国で開発された大学生の心理・精神症状の測定に特化した国際標準の心理指標。米国では750以上の大学で導入されている。日本語版は堀田准教授が開発した。

論文情報
雑誌名:Cogent Psychology
論文タイトル:Trends and characteristics of suicidal ideation among university students in Japan
著者:Ryo Horita, Angelica Silvestre, Taku Fukao, Nanako Imamura, Satoko Tajirika, Miho Adachi, Minako Kawamoto, Mayumi Yamamoto
DOI: http://dx.doi.org/10.1080/23311908.2025.2498794

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