「ホン・ミョンボは立ち入り禁止」――。
南アフリカ戦での衝撃的な敗戦後、韓国ではそんな文言が貼られたコンビニの写真まで拡散している。
実際に店主が貼ったものなのか、誰かが任意で貼ったものなのかは確認されていない。
それでも、この一枚が韓国サッカーを取り巻く現在の空気を端的に表していることは間違いない。怒りはオンライン上だけでなく、日常の風景にまでにじみ出るほど広がっている。
そんななか、芸能界からも韓国代表の試合内容とホン・ミョンボ監督体制に対する不満の声が相次いでいる。なかでも目を引くのは、「日本がうらやましい」という言葉だ。
「日本がうらやましい…」
ホン・ミョンボ監督率いる韓国代表は6月25日、メキシコ・モンテレイで行われた2026年FIFA北中米ワールドカップのグループA最終戦で、南アフリカに0-1で敗れた。

韓国はこの試合、引き分け以上で32強進出を自力で決められる状況だった。しかし、勝ち点を得ることができず、1勝2敗のグループ3位に転落。自力での32強進出に失敗し、他グループの3位チームの結果を待つ立場となった。
結果だけではない。韓国国内でさらに批判を強めているのは、試合内容そのものだ。引き分けでもよかったはずの一戦で、攻撃の形が見えず、反撃の迫力も乏しい。韓国メディアやファンの間では、ホン・ミョンボ監督の戦術、選手起用、そして韓国サッカー協会に対する責任論が一気に噴き出している。
その怒りは、芸能界にも広がった。
歌手パク・キヨンは試合後、自身の個人チャンネルを通じて失望感をあらわにした。
彼女は「私たちはなぜ今日の明け方4時に、32強で当たるチームだと言いながら、眠くて死にそうなのに戦力分析をするつもりでカナダ対スイスの試合を見たのだろうか…?」と投稿。続けて「あまりに虚しく、憂うつで、何もしたくない。雨も降っているし、そういう気分だ」と沈痛な思いを吐露した。

さらに翌26日にも、韓国サッカーへの不満を重ねた。
パク・キヨンは「これがサッカーなのか」と切り出し、「日本がうらやましい…。パク・チソン委員の言葉のように、システムを変えるには少なくとも10年はかかるだろうから…」と書き込んだ。
単なる敗戦への怒りではない。彼女の言葉には、韓国サッカーが抱える構造的な問題への失望、そして着実に準備を進めてきた日本サッカーへの複雑な感情がにじんでいた。
同じような思いは、サッカー界からも出ている。
元韓国代表で現在は解説者としても活動するアン・ジョンファンは、『中央日報』への寄稿で南アフリカ戦を強く批判した。「ワールドカップでこれほどもどかしい試合がまたあっただろうか。今大会3試合の中で最悪で、惨たんたるものだった」とし、「何もできなかっただけでなく、意欲もなさそうに見えた」と指摘した。

さらに「戦術?そんなものはなかった」とまで言い切り、ビハインドの状況でも冒険やフォーメーションの変更、戦術的な変化が見えなかったと批判。ホン・ミョンボ監督の責任を強調したうえで、「サッカー協会もすべて変え、ひっくり返さなければならない」と主張した。
アン・ジョンファンもまた、「徹底的に準備して結果を出している日本サッカーを見ると、うらやましく、嫉妬する」と語っている。
韓国の失望感が深いのは、負けたからだけではない。日本のように準備を積み上げてきたのか、明確な方向性を持って積み上げているのか。そうした比較が、韓国国内の怒りをさらに強めているように見える。
「監督の年俸を没収すべきだ」
芸能人たちの反応も相次いだ。
SUPER JUNIORのキム・ヒチョルは自身のSNSで、「サッカーをよく知らない僕が見ても、これは本当に」と書き込み、試合内容への不満をにじませた。
彼は「僕はサッカーをよく知らない。でも周りから、今日の試合は絶対に韓国が勝つから気分よく見ようと言われて、朝起きて見た」と説明。そのうえで、「いや、でも…これは本当に怒りが収まらない」と率直な思いを吐露した。

熱心なサッカーファンだけではなく、普段は専門的にサッカーを語らない芸能人までが怒りを隠せない。それほど、今回の敗戦が韓国社会に与えた衝撃は大きかった。
俳優ハン・ジョンスの発言は、さらに強烈だった。
ハン・ジョンスは自身のSNSで「本当にあまりにも腹が立つ。最高の選手たちを集めておいて、歴代最悪の試合を見せた」と韓国代表の試合内容に失望感を示した。
さらにホン・ミョンボ監督に向けて、「監督の年俸を没収すべきだ」「ワールドカップ最悪の試合」と強く批判。「戦術がまったくない、理解できない選手起用、最後まで選手たちのせいにする姿。最悪の指導者が何なのかを見せている」と厳しい言葉を並べた。
別の投稿では、「ホン・ミョンボのせいでサッカーが嫌いになった。もうサッカーが嫌いだ」とまで書き込んでいる。

もちろん、こうした発言はあくまで本人の怒りと主観に基づくものだ。ただ、それほどまでに感情的な反応が芸能界からも出ていること自体が、現在の韓国代表を取り巻く異例の雰囲気を物語っている。
一方で、怒りよりも虚脱感をにじませた芸能人もいる。
ボーイズグループHIGHLIGHTのユン・ドゥジュンは、これまでも代表的なサッカーファンとして知られてきた。今回の南アフリカ戦もYouTubeライブで見守っていたが、試合後には「信じられない。夢なのか」と衝撃を隠せなかった。
続けて「言いたいことは多いが、失言しそうなので言わない」と慎重に言葉を選びながらも、「5歳の頃から韓国代表の試合を見てきたが、私たちの地位がこんなものだったことはなかった。ファンの立場として心が痛い」と吐露した。
怒り、失望、虚脱。その反応の形はさまざまだが、共通しているのは、今回の敗戦が単なる一敗として受け止められていないということだ。
もちろん、すべての芸能人が監督や協会への批判一色だったわけではない。
俳優キム・スロは「暑いなか本当にお疲れさま。うちの選手たち。今日は痛い日になるだろう」と選手たちをねぎらった。タレントのチャン・ソンギュは、32強進出の可能性に触れながら「どうか32強に行こう」と応援のメッセージを残した。
それでも、全体の空気は重い。

試合後、SNSやオンラインコミュニティには「選手の長所をまったく生かせなかった」「試合運びがもどかしかった」「戦術の変化が見えなかった」といった批判が相次いだ。
さらに、「ホン・ミョンボは立ち入り禁止」と書かれたコンビニの写真まで拡散し、国会の国民同意請願にはホン監督の即時解任などを求める請願も登録された。
ここまで怒りが広がっているのは、南アフリカに負けたという結果だけが理由ではないだろう。

韓国代表にはソン・フンミンをはじめ、欧州で実績を積んだ選手たちがそろっている。それだけに、肝心の試合で何をしたかったのかが見えなかったことへの失望は大きい。だからこそ、芸能人やファンの失望は、監督個人や協会の体制にまで向かっている。
「日本がうらやましい」という言葉が象徴しているのも、そこだ。
32強進出の可能性は、まだ完全に消えたわけではない。
しかし、南アフリカ戦後の韓国では、すでにホン・ミョンボ体制への信頼が大きく揺らいでいる。コンビニの貼り紙写真が象徴するように、その不満はピッチの外にも広がっている。
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