ENHYPENを離れたヒスンが、ついに“EVAN”として音楽で答える日を迎える。
6月22日18時、EVANはデビューシングル『RIDE OR DIE』をリリースし、ソロアーティストとしての第一歩を踏み出す。
脱退、改名、公式SNS開設、ファンクラブ名「EVER」の発表、そしてソロデビュー。ここまで積み重ねられてきた“新しい名前の物語”が、ようやく楽曲という形で鳴り始める。
ただ、今回のデビューが注目される理由は、単に元ENHYPENメンバーのソロ活動だからではないだろう。
問われるのは、EVANという名前がどこまで独り立ちできるのか。そして、どれだけの成績を出せるのかだ。
もう「元ENHYPENヒスン」だけではいられない
EVANのソロデビューは、最初から大きな物語を背負っている。

所属事務所BELIFT LABは3月、ヒスンがENHYPENから独立し、グループは今後6人体制で活動を続けると発表した。
事務所は、本人が追求する音楽的志向を尊重した結果だと説明し、ヒスンも直筆の手紙を通じて、ファンにより良い姿で近づくために大きな決心をすることになったと伝えていた。
その後、4月には「EVAN」という新しい名前が公開された。これは単なる活動名ではない。本人はこの名前について、幼い頃から使ってきた大切な記憶が宿る名前だと説明している。
つまり、EVANという名前には、ENHYPENを離れた後の“別人格”というより、むしろ彼自身のより個人的な部分が込められている。
それでも、ファンの一部がすぐに切り替えられたわけではなかった。
ヒスン脱退をめぐっては、発表直後から一部ファンの反発が続いた。「ENHYPENは7人」という物語を守ろうとする声もあり、残るメンバーたちとの温度差が見えた場面もあった。ジョンウォンがライブ配信で「その数字遊び、そろそろやめませんか」と語ったことも、その象徴的な出来事だった。

だが、今日から状況は少し変わる。
脱退の理由をめぐる物語は、いつまでもEVANを説明してくれるわけではない。ソロデビュー後に問われるのは、なぜ離れたのかではなく、EVANという名前で何を鳴らすのかだ。
“ロック”で始まるEVANの勝負
デビューシングル『RIDE OR DIE』には、2曲が収録される。
タイトル曲『Ride or Die』はオルタナティブロックの楽曲だ。もう1曲の『Overflow』は、落ち着いた感性のイージーリスニング系インディーポップとして紹介されている。
興味深いのは、EVANがソロデビューの最初の一手として、かなりはっきりしたコントラストを選んだことだ。
『Ride or Die』は外へ向かう衝動を感じさせる曲であり、『Overflow』は内側の複雑な感情をすくい上げる曲といえる。本人も一問一答で「2曲を通じて相反する雰囲気を見せたかった。ある意味、僕がやりたいジャンルであり、得意なジャンルでもある。そうしたオルタナティブさが、僕のアイデンティティだと思う」と説明している。

特に『Ride or Die』について、EVANは「ある日、SNSを通じてロックバンドの公演映像を見た。その姿を見て“ありのままの純粋な音楽”だと思い、自分もそういう音楽をやってみたいという気持ちから出発した」と明かしている。
「心配や悩みなく、やりたいことをやろう」という気持ちで作業したという言葉も印象的だ。
ENHYPEN時代のヒスンは、グループのメインボーカルとして安定した歌唱力を見せてきた。EVANとしての最初の勝負は、単に“歌がうまい元アイドル”で終わることではない。自分の音楽的な方向性をどれだけ鮮明に提示できるかが重要になる。
その意味で、ロック的な衝動を前面に出した『Ride or Die』は、かなり象徴的な選択だ。
元グループメンバーのソロデビューでは、バラードやR&Bで歌唱力を前面に出す道もあるが、EVANはよりステージでの爆発力やグルーヴ、視覚的なインパクトを意識した曲をタイトルに据えた。
本人も、単純な流れの振付ではなく、起承転結のある構成を意識したと説明している。誰でも簡単に真似できる動作を入れ、視覚的にも一目で刻まれるようにしたという。
つまり、EVANのデビューは“聴かせる”だけでなく、“見せる”ことも前提にしている。
数字で問われる初日
とはいえ、どれほどメッセージが明確でも、ソロアーティストとしての評価は数字から逃れられない。
音源チャートでどこまで反応を得られるのか。ミュージックビデオの再生数はどれほど伸びるのか。音楽番組やフェスで、どれだけステージの存在感を示せるのか。そして、ENHYPEN時代からのファンが、どこまでEVANという名前についてくるのか。
そこが、今回の最大の見どころになる。
もちろん、デビュー初日だけで成否を断定することはできない。ソロアーティストの評価は、1曲で決まるものではないし、時間をかけて音楽性を定着させていくタイプの活動もある。
それでも、EVANの場合は注目度が高い。

ENHYPENの人気メンバーだったヒスンが、脱退と改名を経てソロで出る。これは単なる新人歌手のデビューとは違う。期待も大きいが、その分、比較も避けられない。
「元ENHYPENヒスン」として聴かれるのか。「EVAN」として聴かれるのか。初動の反応は、その分岐点を示す一つの材料になる。
EVAN自身も今回の活動の目標について、「“曲そのものが良い”と言われることが何よりも優先だと思う。どんな形であれ、僕の音楽を通じて慰めを得る方が一人でもいるなら満足だ」と語っている。
その言葉は誠実だ。
同時に、厳しい現実もある。ソロデビューした以上、音楽は感動だけでなく、反応、数字、継続性によっても評価される。しかも彼には、ENHYPENという巨大な出発点がある。そこから離れた以上、その重みも一緒に背負うことになる。
EVERと始める新しい関係
デビュー直前の6月20日には、EVANの公式ファンクラブ名「EVER」も発表された。5月に行われた公募には10万5000件を超える応募が寄せられたという。
「EVER」は、「EVAN」と「forever」を組み合わせた名前で、いつまでも変わらずそばにいるという意味が込められている。

ヒスン脱退をめぐって、一部ファンがまだENHYPENの過去の形に思いを残すなか、EVANは新しい名前で、新しいファン名を持った。
「EVER」という名前は、過去のENHYPENとのつながりを否定するものではない。ただ、それだけにとどまらない未来を示すものだ。これからEVANの音楽を聴き、ステージを見守り、彼のすべての瞬間をともにするファンが「EVER」になる。
その意味で、今日のソロデビューは、EVAN一人の出発であると同時に、新しいファンダムの出発でもある。
一方で、ENHYPENも8月21日に8thミニアルバム『THE SIN : BLISS』をリリースし、ヒスン脱退後初となる6人体制でのカムバックに乗り出す。
EVANはソロで、ENHYPENは6人で。それぞれが、もう同じ物語には戻らないことを示している。
だからこそ、今日のデビューは大きい。
今日から問われるのは、EVANがどんな音楽を鳴らすのか。そして、その音楽がどこまで届くのかだ。
◇EVAN(ヒスン) プロフィール
2001年10月15日生まれ。本名イ・ヒスン。高校生のときにBig Hitエンターテインメント(現HYBE)の練習生となり、一時はTOMORROW X TOGETHERのデビュー候補生に選ばれたことも。オーディション番組『I-LAND』を通じて、2020年11月、ENHYPENのメンバーとしてデビューした。2026年3月10日にグループから脱退。同年6月、『RIDE OR DIE』でソロデビューを果たした。
■「最近は特に大変なことはない」とENHYPEN・ジョンウォン



