ディズニープラスで配信中の韓国ドラマ『21世紀の大君夫人』(MBC)が、中国で違法視聴されている。
それについて誠信(ソンシン)女子大学のソ・ギョンドク教授が苦言を呈した。
ソ教授によると、中国最大のレビューサイト「豆瓣」には、すでに『21世紀の大君夫人』のレビューページが作られており、4月23日時点で約1万人が評価に参加し、レビューも4000件以上が投稿されているという。
しかし中国では、ディズニープラスが正式にサービスされていない。つまり、これらの評価や感想は、現地ユーザーが違法な経路で視聴した後に残したものとみられるわけだ。
ソ教授は「中国内で違法視聴は日常になっている。何の恥も感じていないのがあきれる」と強く批判した。
見られないのに“一番熱い市場”

実際、この件が示しているのは、単なる一作品の違法視聴問題だけではない。中国における韓国コンテンツ消費が、いまや正式流通なき“ねじれた人気”として定着している現実そのものだ。
まず目を引くのは、『21世紀の大君夫人』がNetflix作品ではなく、ディズニープラスで配信中の作品だという点にある。
これまで中国での韓国コンテンツ違法視聴問題は、Netflix作品を中心に語られることが多かった。実際、少し前にもNetflixシリーズ『マンスリー彼氏』で似たことが起きており、「豆瓣」には約7000人の評価と約3500件のレビューが集まった。
だが今回、ディズニープラスで世界配信されている作品でもまったく同じ現象が起きた。つまり、中国で正式サービスがなくても、Netflixであれディズニープラスであれ、人気作は同じように流通し、見られ、評価されるということだ。

日本の視聴者にとって、韓国ドラマをNetflixやディズニープラスを通じて正規に楽しむことは、もはや特別なことではない。話題作が出ればサブスクで見て、感想を語り、次の作品を待つ。それがごく普通の韓流消費になっている。
だからこそ、中国の状況はいっそういびつに映る。日本では普通に見られる作品が、中国では正式ルートがないまま、それでも誰よりも熱心に追いかけられているからだ。正式には見られないのに一番熱い。この逆説こそが、中国市場の奇妙さを物語っている。
さらに、ただ違法視聴するだけでなく、グッズまで販売するから驚きだ。その象徴が『イカゲーム』だろう。世界的な人気を誇った当時、TemuやAliExpressなどを通じて関連の違法グッズまで販売されていた。
出演俳優の肖像権を無断使用した商品まで出回っており、ソ教授は当時、「違法視聴だけでは足らず、違法グッズまで作って収益化するのはあってはならない」と批判した。

グッズを販売するということは、それほど違法視聴した人が多いという証左でもあり、人気の高さの表れでもある。中国における韓国コンテンツ人気は、物販による利益回収の段階にまで進んでいるわけだ。
そこからもう一歩進んだのが、『白と黒のスプーン~料理階級戦争~』をめぐる問題だった。
この韓国発のNetflixオリジナル料理サバイバル番組は、中国でシーズン1から大量レビューがつき、違法視聴が疑われた。しかし問題はそこでは終わらなかった。
中国テンセント系のプラットフォームを通じて、『白と黒のスプーン』のフォーマットを想起させる料理対決バラエティ『一饭封神』が公開されたのだ。国際的な批判が広がると、Netflix側は中国に当該コンテンツの版権を販売した事実はないと明らかにしている。
ここまで来ると、もはや「違法に見ている」という話では済まないだろう。中国での韓国コンテンツは、違法視聴、評価、商品化を超えて、フォーマットの模倣にまで拡張しているのだ。
そう考えると、『21世紀の大君夫人』の違法視聴騒動も、「またか」で片づけるわけにはいかない。

ソ教授は、中国当局が今こそ自国民の違法行為を正すべきだと警告した。その怒りはもっともだ。ただ一方で、この状況は別の現実も示している。
中国では、韓国コンテンツに対する強い需要がありながら、その熱狂が正式な市場を育てる方向ではなく、違法視聴、違法グッズ、フォーマット模倣へと流れ続けてきた。つまり問題は、その人気が長らく“無断消費”の形で現れ続けていることにある。
正式には見られないのに、韓流コンテンツを誰よりも敏感に追いかけ、誰よりも素早く反応し、誰よりも積極的に自国の消費システムへ取り込む中国。『21世紀の大君夫人』の違法視聴騒動が浮かび上がらせたのは、中国における韓流人気の強さと、その熱狂がいまだ制度の外側で処理されているという、より厄介な現実だ。
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