BTSのカムバック公演が目前に迫っている。
前例のない規模で世界中からファンが押し寄せる華やかな祝祭を前に、その裏側では至る所から予想外の悲鳴が上がっている。
BTSは3月20日に5thフルアルバム『ARIRANG』をリリースし、翌21日にソウル・光化門(クァンファムン)広場でカムバックライブを開催する。最大26万人の来場が予想される中、これを支えるべき行政やインフラは各地で混乱の音を立てている。 完璧であるべき祝祭の裏に隠された“行政の穴”の実態について切り込んだ。
入国審査に2時間、宿泊費のぼったくり…露呈した“行政の機能不全”
世界中のARMY(ファンダム名)が集まる玄関口である仁川(インチョン)国際空港はすでに飽和状態だ。最近、外国人入国者は入国審査と税関通過だけで2時間以上を要するなど、極度の不便を強いられている。これは法務部・仁川空港出入国外国人庁の審査人員不足に起因するものだ。有人審査台の半分以上が空いているにもかかわらず、配置された人員が圧倒的に不足しており、混雑に拍車をかけている。

これに関連し法務部は、BTSの公演日程に合わせ、21日前後で外国人客の到着が集中するエリアと時間帯に審査カウンターを増設し、待ち時間の短縮を図る計画だ。また、審査官の早出や残業を並行し、混雑時の支援勤務も拡大する方針としている。
都心でも事態は深刻だ。公演会場付近である光化門や鍾路(チョンノ)、安国(アングク)駅周辺の宿泊施設の多くが、公演当日の料金を通常時の3倍近くに引き上げた。普段1泊8万ウォン(約8000円)のゲストハウスやモーテルが40万~50万ウォン(約4万円~5万円)を請求するなど、3~4つ星ホテルに匹敵する「ぼったくり商法」が横行しており、韓国の観光イメージに傷をつけている。
会社員は「強制半休」、公務員は「無給出動」…現場の“しわ寄せ”が浮き彫りに
超大型イベントに伴う社会的コストは、そのまま現場を支える労働者や現場職員へと転嫁されている。市民団体「職場パワハラ119」によると、光化門近隣の一部企業が、公演による交通規制などを理由に、全従業員へ金曜午後の「半休取得」を強要する事例が相次いでいる。労働基準法上、有給休暇の使用時期は労働者が決めるのが原則だが、会社側の経営上の休業責任を労働者の有給消化に押し付けている形だ。

現場の安全を担う公務員の間でも不満が噴出している。オンラインコミュニティを中心に、民間企業のイベントに公務員が動員されることへの批判が強まっている。大規模な群衆管理のために公権力の投入が不可欠だとしても、代替休日や正当な手当の支給体系がないまま無給で動員される状況に対し、「我々は奴隷なのか」という自嘲混じりの声も上がっている。
グローバルK-POP王者の帰還は、確かに歓迎すべきことだ。李在明(イ・ジェミョン)大統領もぼったくり商法やチケットの違法転売への厳正な取り締まりを指示し、現場管理と安全対策を求めた。しかし、26万人というメガ級の人出を完全に受け止めるには、現在の行政力と社会システムの足並みが揃っていない。華やかな祝祭の裏で、誰かの一方的な犠牲や不便が強要されていないか、システム全体の痛烈な点検が必要な時期に来ている。



