養父母による虐待で死亡した女児チョンインちゃんの顔を公開した韓国SBSのドキュメンタリー番組『それが知りたい』(原題)のプロデューザーに対する検察の起訴猶予処分が、憲法裁判所によって取り消された。
12月23日、法曹界によると、憲法裁判所は12月18日、ソウル西部地検がSBSのイ・ドンウォンPDに下した起訴猶予処分を、裁判官全員一致の意見で取り消した。
『それが知りたい』は、2021年1月にチョンインちゃんの死を再検証するエピソードを通じて、児童虐待の実態を伝えた。
当時、制作陣は「チョンインはなぜ死んだのか、271日間の加害者と傍観者」「チョンイン、ごめんね、そして私たちの怒りが向かうべき道」と題した回で、チョンインちゃんの顔が写った写真や映像を公開した。
制作陣は顔写真を公開した理由について、「虐待の痕跡がとりわけ顔に集中しており、子どもの表情に影が落ちていく様子を言葉だけで伝えることはできなかった」と説明していた。

しかし同年10月、市民団体「政治するオンマ(ママ)たち」は、チョンインちゃんの顔や生年月日などを露出したとして、イ・ドンウォンPDを告発。ソウル西部地検は2023年6月、児童虐待処罰法(報道禁止義務)違反の疑いでイ・ドンウォンPDに起訴猶予処分を下した。
児童虐待処罰法(報道禁止義務)は、放送局の編集責任者などが、児童保護事件に関わる児童虐待行為者、被害児童、告訴人、告発人、または通報者の人的事項や写真などを出版物に掲載したり、放送媒体を通じて放送したりしてはならないと定めている。
起訴猶予とは、嫌疑は認められるものの、検察が諸事情を考慮して被疑者を裁判に付さない処分を指す。
これに対し、イ・ドンウォンPDは検察の起訴猶予処分を不服として憲法訴願審判を請求し、憲法裁判所は2年以上にわたる審理の末、「起訴猶予処分は正当行為に関する重大な法理誤認、または捜査不十分によるものであり、請求人の平等権および幸福追求権を侵害した」として、当該処分を取り消した。

憲法裁判所は、イ・ドンウォンPDの行為が児童虐待処罰法の構成要件には該当するものの、目的の正当性と手段の相当性が認められ、「正当行為」に当たると判断した。裁判所は「加害者が犯行を否認する状況において、放送は被害の実態をそのまま伝え、視聴者が直接判断できるよう写真や映像を公開し、専門家の検証を受けた」とし、「家族関係や虐待の経緯を説明する以外は、周囲の人物の露出を最小限に抑え、ぼかし処理を行った」と説明した。
また、被害児童が死亡している場合であっても、凄惨な被害の姿が固定化され、大衆の記憶に残ることのないよう人格的利益を保護する必要性はあるとしつつも、当該放送によってチョンインちゃんに関する私的領域が無分別に暴露されたり、不必要または刺激的なイメージとして消費されたりする可能性は大きくないと判断した。
さらに憲法裁判所は、「事件の真相が十分に調査・究明され、加害者が責任に見合った処罰を受けることが、児童虐待によって死亡した被害児童の立場から見て最も大きな利益となり得る」と述べ、「むしろ本件放送は被害児童の利益に合致する」と判断した。
そのうえで、当該番組は児童虐待犯罪の残虐性を告発し、加害者の行為に見合う処罰を求めると同時に、児童虐待防止策を公論化する公益的目的で制作されたものであり、言論の自由という基本権の行使としての意義も有すると判断した。
なお、チョンインちゃんの事件は2020年10月13日に発生した。チョンインちゃんは生後8カ月で引き取られ、1歳4カ月で亡くなった。
番組放送後、養母チャン氏は殺人罪などが有罪と認定され、懲役35年の刑が確定した。憲法裁判所は、こうした結果も踏まえ、当該放送が公益に合致するものであったと判断した。さらに、児童虐待犯罪の予防および処罰に関する法令整備など、制度的な補完も進められた。
(記事提供=OSEN)
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