なかには数秒で終わるものもある。短くて強烈な刺激を盛り込んだ「ショート動画」が、時代のスピード感に合わせてメディア市場の中心に躍り出ている。
その流れに合わせて、ドラマやバラエティ番組はもちろん、ウェブトゥーン(ウェブ漫画)までもが短い形式で作り直されている。
韓国の動画配信サービス(OTT)業界はすでにその態勢を整えた。
TVINGは最近、ショート動画専用ブランド「TVING SHORT ORIGINAL」を立ち上げ、コンテンツ市場に新たな変化を予告した。1~2分の超短編コンテンツながら、サスペンス、不倫劇、BL、学園ロマンスと、ジャンルは驚くほど多彩だ。
TVINGは、『SKYキャッスル』や『ホテルデルーナ』で知られる俳優パク・ユナが出演する『黙れ、私の作品の悪役はお前だ』(原題)をはじめ、チャ・ハギョンとカン・リハンによるブロマンススリラー『隣人キラー』(原題)を公開する。

その後も、復讐劇のクリシェを覆す『不倫は不倫で返します』(原題)、タイムスリップロマンス『私、私、そして私』(原題)まで、全4作品が順次公開される予定だ。
TVINGの関係者は「ショート動画もオリジナルコンテンツを軸に、新人監督や俳優を発掘する機会にしたい」と語り、継続的な投資の意思を示した。
この流れはTVINGに限らない。WATCHAはすでに2024年、ショートドラマ専用サービス「SHORTCHA」を始動し、『教えてください』『超高速結婚後恋愛中』(いずれも原題)などの作品を公開している。
WavveはYouTubeをベースとしたコンテンツを確保し、『ハルミョンス』『ルクク・イ・ギョンギュ』『運動部のふたりが来たよ』(いずれも原題)など、10~20分以内の「ウェブバラエティ」ショート作品を展開し、視聴者の反応を高めている。

ショート動画のブームは、ウェブトゥーン市場にも広がっている。
NAVER WEBTOONは、今年9月にアプリ内にショート動画機能「Cuts」を追加する。従来の縦スクロール形式から脱し、短いアニメーション形式でウェブトゥーンを楽しめるようになるという。
『ゾンビ娘』の猫キャラクターを活用した『キム・エヨンさんの一日』(原題)を皮切りに、専用のオリジナルコンテンツもあわせて公開される予定だ。北米市場ではすでに今年5月、「New & Hot」という名称でショート機能が導入された。
ショート動画コンテンツは単に「短い」という形式以上の意味を持つ。CJ MezzoMediaのアンケート調査によると、10代は1日平均75分、20代は54分以上をショートコンテンツに費やしている。10~20代を中心としたこの消費習慣は、すでにコンテンツ産業の新たな基準となっているわけだ。
制作費の効率も良い。従来のドラマ1話分の制作費が20億ウォン(約2億円)を軽く超えるのに対し、ショートドラマは5000万ウォン(約500万円)から1億5000万ウォン(約1500万円)の範囲で制作可能という分析もある。少ないコストで高い収益率が期待できる点からも、業界の関心は当然といえる。

大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は、「ショート動画はZ世代を中心としたコンテンツ消費傾向、特に移動中の消費に最適化された形式」とし、「形式の変化を試みること自体が肯定的であり、今後さらに拡大していくしかない」と見通した。
長い物語を短く伝える方法、深い感情を一瞬で爆発させる方法。コンテンツはいま、新たな“言語”を学びつつある。その変化の最前線にあるのがショート動画だ。ドラマ、バラエティ、ウェブトゥーンなど、メディアは今、「短くなりつつある」。
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