BTSのSUGA（本名：ミン・ユンギ）と韓国・セブランス病院が、自閉スペクトラム症（ASD）の患者に向けた専門治療センターを設立する。
セブランス病院は6月23日、子どもや青少年のASD治療を目的とした「ミン・ユンギ治療センター」の起工式を開催した。
このセンターでは、言語・心理・行動などに関する治療を通じて児童・青少年のメンタルヘルスを支援し、臨床と研究を連携させた多様なプログラムを運営していく予定だ。
SUGAは、BTSとしての活動と並行して継続的に寄付活動を行い、メンタルヘルスや心理・行動の問題、特に青少年のうつ病に対して強い関心を持ってきた。自身の得意とする“音楽”を通じて、人々を支援する方法を常に模索してきたという。
2024年11月、SUGAはセブランス病院の児童精神医学の権威であるチョン・グナ教授と出会い、複数回の面談を経て、ASDの子どもたちにはライフステージに合ったオーダーメイドの長期的治療が必要であることを知った。この認識に基づき、SUGAはセブランス病院に50億ウォン（約5億3000万円）を寄付する意思を表明。この金額は、セブランス小児病院および延世（ヨンセ）医療院全体を通じて、アーティストによる寄付としては過去最大規模だという。
その後、チョン教授とSUGAは2024年末から今年にかけて、治療センターの方向性や、ASDの子どもたちに向けた音楽を活用した社会性トレーニングについて協議。「MINDプログラム」が開発された。
MINDプログラムは、「音楽（Music）」による感覚的な体験を通じて「相互作用（Interaction）」を促し、集団活動（Network）によって自然に関係性を学び、「多様性（Diversity）」を尊重することを目的としたプログラム。参加する子どもたちは、楽器の演奏、歌、作詞などを通じて、自分の感情や考えを表現していく。
SUGA自身も3月から6月にかけて週末の時間を使い、実際に子どもたちと関わりながらプログラムの開発に参加。ギターなどの楽器を演奏しながら、リズムやハーモニーを通して交流や感情表現をサポートし、ときには直接楽器演奏の指導も行った。
今後は、MINDプログラムの高度化と、音楽を活用した自立支援型プロジェクトのモデル化が進められる。専門家の育成プログラムも導入され、プログラムの持続性と専門性がより強化されていくという。
来る9月にセンターの工事が完了すれば、正式なセッションとしてMINDプログラムが本格始動し、ASDや発達障害を抱える子どもたちに向けた音楽を使った社会性トレーニングや、従来のABA（応用行動分析）、言語治療なども拡充される予定だ。また、MINDプログラムの効果を科学的に証明するため、臨床研究、学術論文の発表、プログラムマニュアルの発刊も計画されている。
チョン・グナ教授は「金銭的支援にとどまらず、この数カ月間SUGAさんが見せてくださった誠実な才能の寄付とボランティア活動に、心から感謝しています。常に真摯で知性的な姿勢に、深く感動しました」と述べ、「音楽というメディアを通じて、ASDの子どもたちが自立した存在として成長し、健全な社会人として生きていくこと。そして、それを通して社会の偏見や障害への認識を改善していくことこそが、『ミン・ユンギ治療センター』とMINDプログラムの最終的な目標です」と語った。
SUGAは「この7カ月間、チョン・グナ教授とともにプログラムを準備し、ボランティア活動に参加するなかで、音楽が心を表現し、社会とつながる貴重な手段になることを実感しました」と話し、「ASDの子どもたちの治療に関われたこと自体が、私にとっては大きな喜びであり感謝です。今後も、より多くの子どもたちが社会の一員として共に生きられるよう力を尽くしていきたいと思います」と意気込みを語った。
◇SUGA プロフィール
1993年3月9日生まれ。本名ミン・ユンギ。2010年に所属事務所Big Hitエンターテインメント（現HYBE）が開催した「HIT IT AUDITION」で2位合格し、練習生に。2013年6月にBTSのメンバーとしてデビューした。グループ内ではリードラッパーを担当しており、BTSの一員として活躍する傍らで、高い作詞・作曲・編曲の実力を持つ音楽プロデューサーとしても人気を集めている。
