ドラマ『おい、太宰』(WOWOW)の完成報告会が6月18日に実施され、脚本と監督を務めた三谷幸喜、主演の田中圭、そして共演の小池栄子、宮澤エマが登壇した。

同作は、太宰治を敬愛する男が時代を超えて奮闘するタイムスリップコメディ。三谷がオリジナル脚本と監督を務める“完全ワンシーンワンカットドラマ”シリーズの12年ぶりとなる新作で、6月29日午後10時からWOWOWで放送・配信される予定だ。

当日、ステージに登壇した三谷監督は「WOWOWさんの、ワンシーンワンカットの長回しドラマも第3弾になるんですが、ここでやっと手応えというか。やりたいことができたという感じがしています。楽しみにしてください」とあいさつ。続けて田中も「もともと三谷さんの完全ワンシーンワンカットドラマシリーズが大好きで。携わることができてしあわせです」という思いを語った。
田中は三谷作品初主演とのことで、「実は三谷さんとは、プライベートでよくジムで会うことがありまして。そこで三谷さんに、このシリーズがすごく好きで、もし次、何かやる機会があったらぜひ参加させてくださいという話をして。ご一緒させてくださいという話はしていたんですけど、本当に実現するとは思っていなかったので、すごくうれしかった」と明かす。
また太宰の恋人・トミ子を演じる小池は、「リハーサルのときも、三谷さんは若いフレッシュ感のようなもの、当時の女性の中でも、まっすぐに信じる強さ、たくましさみたいなものは意識してほしいんだろうなと言われたなと思っています。だから普通のドラマよりは、声は高めに出して。それで少女っぽい感じを意識しましたね」と語ると、三谷も「大丈夫、(19歳に)見えましたよ」と笑いながらコメントした。
本作の撮影は1日1回限り。6日かけて、6テイクを撮ったという。三谷監督は「前の日と浜辺の様子が違うと、それに合わせて臨機応変に芝居をしなきゃいけないから、そういう違いをどうしようかと相談する時間もないし、そのタイミングで、お互いの目線でお互いを意識しあいながら、ぶつけでやっていくという。まさに皆さんの力が集結した作品でしたね」と語り、小池も「本来、芝居ってこういうものなんだろうなと。初心に返るというか。条件が変わって、相手の呼吸が変わったら、こっちの芝居が変わるというのが普通なのに、たとえば舞台なんかでも長時間やっていくと芝居が固まってきちゃったりするので。それは反省したりしましたね」としみじみ語った。
主人公・健作の妻・美代子を演じるのは、三谷組常連の宮澤エマ。「最初に三谷さんとご一緒したのが映画作品で、その後は舞台が多かったんですけど、どの作品でも、その場で思いついた面白いことがあって。今日はこれをやってみて、というのは変わらないけど、今回は実際現場に行ってみないと分からないことがすごく多かった。なので、序盤ではまったく予定になかったはずの、海にどんどん入っていく、みたいなことを急にお願いされたり」と、現場で急なオーダーを受ける撮影だったことを説明。
これに対して三谷監督は、「言えば何でもやってくれるんですよ。やはり海を見ていると、入ってほしいなと思いますし、ずぶ濡れになって面白い俳優さんと、悲壮感が増す俳優さんと2種類あるんですけど、やはり僕はずぶ濡れになると面白くなる俳優さんに集まっていただいたので。そういう意味で宮澤さんには、水に入っていただいたというわけです」と考えを明かした。
また同作がタイムスリップコメディであることを踏まえ、「もしタイムスリップをするとしたらどの時代に行きたい?」という質問も。それにはまず宮澤が「わたしは、50年代くらいの祖父母に会ってみたい。戦後間もなくのドラマを見たことがあったんですが、祖父の若い頃という設定で不思議な気持ちになりました。おじいちゃんおばあちゃんの若い頃って想像がつかないので。あの頃の祖父に会ってみたい」とコメント。
続く小池が「わたしは小学生くらいが人生の華やかさのピークだった。商売をやってる家でいちばんイケイケでした。本当に生意気で、お山の大将でした。そこから社会に出て、挫折することになるんですが、その時はなんでもできるんだと思っていたので」と明かすと、田中は「ぼくはジュラ紀、白亜紀に行って。恐竜を見てみたい」と語った。
そこで三谷監督が「僕は父にあまり会ったことがないので父ですかね。それより皆さん歴史上の人物に会いたくないですか? 北条政子とか」と、『鎌倉殿の13人』で北条政子を演じた小池に問いかけると、小池は「ごあいさつはしたいですけどね」と返し、会場を笑わせた。
■ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』
WOWOWにて6月29日(日)午後10:00放送・配信
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