女優のチョン・アユルさんがこの世を去ってから、早くも13年の歳月が流れた。
チョン・アユルさんは2012年6月12日、ソウル市内の自宅で亡くなった状態で発見された。享年25歳。
所属事務所によると、当時の月収は事務所から支給されていた75万ウォン(約7万8000円)のみだったという。「生活苦による“極端な選択”だったと思います。ただ、彼女は普段から明るく活発な性格だったため、まったく予想もしていませんでした」と、事務所関係者は胸中を語っていた。
彼女のSNSには、生前の苦しみがそのまま残されていた。亡くなる2日前、チョン・アユルさんはこう綴っていた。

「今朝目を覚ましたら、まるで砂漠にひとり立たされているような気分だった。19歳から一人で生きてきたけれど、頼れるものが何もないこの部屋の中で、世界の重みがあまりにも大きく感じられる。私、まだ大人になるには遠いのかな。お母さん、お父さん、会いたいよ」
その翌日には、「何も慰めにならない」という短い投稿も残されており、深い葛藤が垣間見える。
彼女をよく知る関係者たちは、「アユルはいつも明るく真面目で、演技にも一生懸命取り組んでいた。最後までその姿勢を崩さなかったからこそ、いまだに信じられないし、ただただ悔しい」と語っている。
1987年生まれのチョン・アユルさんは、永進専門大学・国際観光学科の卒業生。文化体育観光部の公共広告や化粧品ブランドのCMなどに出演し、少しずつその存在を知られるようになっていった。2012年5月7日に放送が始まったKBSドラマ『愛よ、愛』では、本格的な女優デビューを果たしたばかりだった。
だが、厳しい現実が若き女優にのしかかった。夢を育むにはあまりにも過酷な環境のなかで、彼女は静かにその命の灯を消し、星となった。
(記事提供=OSEN)