韓国を代表する作曲家ユン・イルサンが、NewJeansと所属事務所ADORをめぐる対立について、自身の見解を明らかにした。ユン・イルサンは「契約の重み」と「大人の責任」の重要性を強調しながら、騒動の本質を鋭く指摘した。
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ユン・イルサンは1990年代から2000年代にかけで数多くのヒット曲を生み出した作曲家兼プロデューサー。DJ DOCやBrown Eyed Girlsなどを輩出し、いわば“韓国の小室哲哉”のような存在だ。
そのユン・イルサンは最近、自身のYouTubeチャンネルを通じて公開した動画で、NewJeansとADORの対立を正面から取り上げた。彼は「契約は遊びではない。アーティストを愛していると言いながら危険にさらすのは、真の愛情とは言えない」と厳しく批判した。
また、プロデューサーとアーティストの関係について「モノのビジネスではなく、人のビジネスだ」と定義。契約とは単なる紙の文書ではなく、アーティストの人生をかけて交わす重い約束であると説いた。

「ビジネスには利益が伴う以上、プロデューサーは常にジレンマと共にある。しかし、だからこそ原則を守らねばならない」と、業界の構造的な課題にも言及した。
ユン・イルサンは、NewJeans側の対応についても言及。「すでにNewJeansは選択をした。契約書に署名した以上は、まず履行し、その後に正当な権利を主張するのが順序だ」と指摘し、「インタビューで韓国音楽界全体を批判したのは、やや性急な行動だったかもしれない」と冷静に分析した。
さらに、ユン・イルサンは今回の騒動で最も問題視している点として、NewJeansのメンバーを前面に立たせた対応を挙げた。
「もしBrown Eyed Girlsのことだったなら、私が前に出て説明していただろう」と語り、「本当にアーティストを大切に思うのであれば、未成熟な彼女たちにすべてを説明させるようなことはしなかったはずだ。それはほとんど暴力に近い」と厳しく非難した。

また、「会社が存在する理由は、アーティストが音楽に集中できるよう守ることにある。今回の件では、会社が盾にならず、むしろ後ろに隠れているように見えた」と指摘し、事務所の対応にも疑問を呈した。
ユン・イルサンは、今回の事態の背景には韓国の芸能プロダクションシステムの構造的な限界があると分析。大手事務所は資本力やインフラ面で優れている反面、個々のアーティストへの密着度が低くなる傾向にある。一方で、独立系プロデューサーはケアや信頼面では優れているものの、マーケティングや広報面では弱さを抱えていると指摘した。
一方、裁判所は最近、ADORの主張を認める判断を下し、NewJeansによる独自活動に対して制限を加えた。NewJeansは昨年11月から独自での活動を続けていたが、今回の仮処分決定によりその動きは一時停止されている。
◇NewJeans プロフィール
2022年7月22日にミュージックビデオを公開し、「NewJeans」として電撃デビューした5人組ガールズグループ。2004年生まれのミンジとハニ、2005年生まれのダニエル、2006年生まれのヘリン、2008年生まれのヘインで構成された。デビューアルバム『New Jeans』の発売と同時にライジングアーティストとして急浮上。デビュー曲『Attention』と『Hype Boy』が韓国Melonの「TOP 100」チャートで1、2位を記録した初のガールズグループとなった。またK-POPグループで初めてデビュー曲(『Attention』)がSpotifyの「ウィークリートップソング・アメリカ」にチャートインした。
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