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「Lawマンス」と表しているように、全16話で完結する本作は、主演の2人が周囲を巻き込みながらあらゆるトラブルを解決していく法廷もの…といいたいところだが、実際に法廷が出てきたのは第1話のみ。それ以降はオシャレなカフェを舞台にしているため、これまでの法廷ものとは少し違った趣のドラマとなっている。
そして『花遊記』で共演した、イ・スンギとイ・セヨンの再共演という点も注目すべきところだ。物語の概要と主演の2人をターゲットに本作品を解説したい。
(以下、物語の内容にふれるネタバレあり)
あらすじ:
弁護士のキム・ユリ(イ・セヨン)は、社会的弱者に寄り添う弁護士として、大手法律事務所内の公益財団に所属している。ユリは「裁判になる前に解決できる弁護士こそ有能」という考え方から、事務所を退職し、コーヒー1杯で法律相談ができる「Lawカフェ」をオープンする。
Lawカフェのビルオーナーは、ユリの高校・大学時代の同級生で元検事のキム・ジョンホ(イ・スンギ)。仲が良かった2人だが、数年前からユリを避けるようになったジョンホは、自分が所有するビルにユリがカフェを開くことになり、戸惑う。
なぜジョンホはユリを避けるようになったのか。そこにはユリが高校時代に亡くした父親の事件が関係していた。高校・大学時代のように再びタッグを組むことになった2人が、周囲の人を巻き込んで怒涛のごとく事件を解決していく。
登場人物
■キム・ジョンホ(イ・スンギ)
韓国大学法学部を首席で入学し、在学中に司法試験に合格、司法修習院を首席で修了した元検事。キレ者ゆえについたあだなは「怪物天才」。高校・大学時代の同級生のキム・ユリに17年間想いを寄せてきた。
■キム・ユリ(イ・セヨン)
韓国大学法学部卒業の弁護士。高校時代に父親を不慮の事故で亡くし、法律に疎いために不当な扱いを受けたことに腹を立て、弁護士を目指す。弱者に寄り添う情熱的な人物だが、猪突猛進なところがあり、ジョンホをはじめとして、まわりをヒヤヒヤさせる。
■イ・ピョンウン(チョ・ハンチョル)
トハン建設の社長。地位を利用して問題ばかり起こす人物。ジョンホの叔父にあたるのだが、婚外子として生まれたことにコンプレックスがあるため、ジョンホを目の敵に。ユリに対しても執拗に嫌がらせをする。
■パク・ウジン(キム・ナムヒ)
ユリのLawカフェが入るビルで、メンタルクリニックを開業している精神科医。ジョンホの従兄にあたり、いつも2人を温かく見守っている。
■ソ・ウンガン(アン・ドング)
Lawカフェのバリスタ。放火犯で刑務所に服役していた過去がある。口数が少なく冷たい雰囲気があるが、心の温かい人物。
■ぺ・ジュン(キム・ドフン)
Lawカフェのアルバイト。法科大学院に通っているが、法曹の世界が自分に合っているのか悩んでいるため休学中。ジョンホに憧れを抱く。
■ハン・セヨン(キム・スルギ)
ジョンホとユリの高校時代の同級生で警察官。正義感が強く、親友のユリに対して厳しくも愛情たっぷりに接している。幼なじみのト・ジンギと結婚し、1児の母となる。
■ト・ジンギ(オ・ドンミン)
ジョンホとユリの高校時代の同級生で、セヨンの夫。イタリアンレストランでシェフをしている。刑事として働くセヨンを支えるイクメン。ジョンホの良き理解者。
■ファン代表(キム・ウォネ)
ユリが勤務していた法律事務所の代表。お金になる仕事こそ価値があると考える現実主義者で、ユリとは真逆の考え方を持つ人物だが、ユリが退職したあとも何かと連絡を取り合っている。
ジェットコースター感覚で展開していくストーリー

本作は、ジョンホとユリがさまざまな事件にぶつかり、解決していく物語だ。欠陥マンションでのトラブル、児童虐待、いじめ、未成年犯罪、相続トラブル、ストーカー行為、セクハラ、離婚など、現代で起きているありとあらゆる問題を取り上げている。
とにかく物語の展開が早い。次から次へと問題が起こっては、解決していく。その背後で常にユリが高校時代に深い傷を負った「父親の死」があり、それに関わったジョンホの苦悩が垣間見え、そして懲りないジョンホの叔父、ピョンウンが嫌がらせを仕掛けてくる。
基本的にはラブコメなのだが、ピョンウンをはじめとして加害者側がえげつないところが、なかなか刺激的だ。特に第3話で、ピョンウンが嫌がらせでユリのカフェを荒らすシーンがあるのだが、「そこまでやらなくてもいいだろう」と突っ込みを入れたくなる残酷なシーンが描かれる。
しかしそうしたハードな出来事も、ジョンホとユリが解決し、カフェの仲間や友人たちが総動員で協力していき、最終回ではこれまでに登場してきた人物がジョンホとユリの未来を祝福する大団円となるところはラブコメの醍醐味といえるし、問題が解決するたびに、見ている側に向けてメッセージが発せられるのも心が温まる。
イ・スンギ&イ・セヨン ファンにはたまらない萌えシーンがたくさん

『花遊記』で共演したイ・スンギとイ・セヨンのケミストリーも注目されている本作。『花遊記』では、ユーモラスな演技を見せたスンギとセヨンだが、今作ではイケメンぶり、美貌をいかんなく披露し、2人のファンにとっては見どころたっぷりの作品になっている。
特にセヨンが着る衣装が魅力的で、弁護士らしくない露出度の高い服装が、実によく映えている。『花遊記』ではゾンビの姿を見せていたセヨンが、本来の魅力を思い切り出しているといえるだろう。スンギも最初こそジャージ姿だが、物語が進んでいくうちにビシッとしたスーツ姿を披露し、精悍な姿を見せてくれる。
そして特徴的なのは、ラブコメでよくある「当初は恋愛感情がない者同士が次第に惹かれ合っていく」カップルではないところだ。ジョンホはユリのことを17年間も一筋に想い、片思いだったことが第2話で明らかになる。こうしたジョンホの「純愛」とその根底にあるものが、見ているものをキュンとさせる。


実際に、この作品では2人のラブラブなシーンが非常に多く描かれている。車にひかれたり、後頭部を殴られて拉致されたり、ジョンホとユリは次から次へと災難に見舞われるのだが、そのたびに2人はお互いの存在の大切さに気付き、見つめ合い、抱き合う…という流れになっていくのだ。
現実離れした美しいカップルが、寄り添う姿「萌えシーン」をたっぷり堪能してほしい。

怪演でインパクトを残したチョ・ハンチョル

ジョンホとユリの前に立ちはだかるのが、チョ・ハンチョルが演じるピョンウンだ。
ハンチョルといえば、『海街チャチャチャ』で、海辺の町でカフェを経営するシングルファーザー役が印象に残っている。ミュージシャンとして活躍していた過去の栄光から逃れられない、気のいいカフェのマスターを好演していたが、今回はサイコパスでコンプレックスまみれの男を演じている。
ジョンホの母親の腹違いの弟となるピョンウンは、婚外子として生まれ、父親から息子として扱われなかったことを恨んで生きてきた。親から譲り受けた地位にしがみついて遊んで暮らす、どうしようもない男なのだ。
そんなピョンウンだから、問題ばかり起こして裁判沙汰になることも日常茶飯事。そこに関わってくるのがユリで、ジョンホが心を寄せている女性ということもあって目の敵にする。ヘラヘラと笑いながらユリを追い詰めていくサイコパスぶりが気持ち悪くて仕方がない。特にLawカフェに押しかけて、ユリに暴力をふるおうとするシーンの異常さに身震いする人も多いことだろう。
最後の最後までピョンウンは改心せず、「自分がこんなふうになってしまったのは、不幸な生い立ちがあるからだ」と言い訳をするのだが、その言い訳は見ている者に全く響かない。
見事な怪演を見せたハンチョルは、スンギとセヨンに続く、このドラマの立役者といっていいいだろう。
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■筆者プロフィール
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。