ドラレコが事故データを自動送信、過失割合を判定…あいおいニッセイ同和損保がサービス開発 | RBB TODAY
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ドラレコが事故データを自動送信、過失割合を判定…あいおいニッセイ同和損保がサービス開発

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ドラレコで収集した画像データをAI解析した例
  • ドラレコで収集した画像データをAI解析した例
  • 「テレマティクス損害サービスシステム」を共同開発した8社の代表
  • テレマティクス技術を活用した事故対応サービスは、8社の協業によって生まれた
  • 「テレマティクス損害サービスシステム」は2020年上期に割いて今日予定
  • ステップ1~2は開発済み。残るステップ3~4の開発を経てサービス提供に入る
  • 「テレマティクス損害サービスシステム」の発表はあいおいニッセイ同和損害保険本社で行われた
  • あいおいニッセイ同和損保の樋口昌宏取締役専務執行役員
  • 開発を担当したあいおいニッセイ同和損保の沼田俊彦IT統括部長
あいおいニッセイ同和損害保険は8月9日、パートナーを組んだ7社と共に最先端のテレマティクス技術を活用した事故対応サービス「テレマティクス損害サービスシステム」を開発した。2020年上期にも正式にサービス提供を開始する計画だ。

◆開発に当たり、パートナー7社がそれぞれの得意分野を担当

新サービスでは、ドラレコが内蔵の通信ユニットによって、ドライバーの運転挙動を適宜センターへ送信している。事故が発生した際にその瞬間を境に、前後の映像を含めた多彩なデータをセンターに自動送信する。これによって保険請求手続きにかかる日数の削減を可能にするというわけだ。ドライバーが事故を通報しなくてもセンターがその状況を把握し、ドライバーにコンタクトする。その際は事故の過失割合までもドライバーへ伝えられる。

本サービスは、あいおいニッセイ同和損害保険が中心となり、野村総合研究所(NRI)、SCSK、富士通、大日本印刷、インテリジェント ウェイブ、日本アイ・ビー・エム、SBIフィンテック・インキュベーションの7社と共に共同で開発。各社の最新技術とテレマティクス情報を複合して事故対応で実用化する、業界初の取り組みで完成させた。保険請求手続きにかかる日数を約50%短縮するなど、かつてない革新的で高品質な事故対応サービスが提供できるようになるという。

サービスは4つのステップに分けて順次導入される。ステップ1では運転軌跡や標識、速度、天候などのデバイスデータをドラレコによってビジュアル化するもので、すでに今年4月までに開発済み。ステップ2では事故検知の高度化として、通常時の走行データと実験で収集した車両衝突時のデータをAIに学習させて高精度な事故検知機能を実現する。これは既に開発を終了しており、今年10月の導入開始を予定している。

ステップ3~4は、現在、実証実験を通して開発を進めている最中で2020年上期の導入を目指している。ステップ3ではGPSやドライブレコーダーから分かる事故場所や相手車両の運転挙動をAIで解析・判定し、事故状況を機械的に把握する。そして、ステップ4ではAIにより判定された事故状況に基づき、判例情報と照らし合わせて過失割合の判定サポートを行う。

◆開発費は20億円。保険会社にもユーザーにも大きなメリットもたらす

本サービスは、あいおいニッセイ同和損害保険が提供する「タフ・見守るクルマの保険」の特約として提供するもので、現在提供している850円/月(一時払は年間9,700円)の保険料をベースに設定される予定だという。契約者には通信機能付きドラレコが提供され、テレマティクスに使う通信料も特約内に含まれる。2020年上期にはすべてのサービスが導入される計画だ。

本サービスを提供するにあたり、あいおいニッセイ同和損保の樋口昌宏取締役専務執行役員は、「従来の電話でのやり取りを中心とした事故対応を、ドラレコで収集したデジタルデータの活用でコスト削減でき、同時にユーザーが保険請求に必要となっていた手間や日数を大幅に削減することができる。これは保険業界初の革新的サービスとなる」と説明。また、サービスを開発するのにかかったコストについて同社 沼田俊彦IT統括部長は「ステップ4までを想定しても20億円程度」と捕捉した。

開発で苦労した点としては「運転挙動データは運転中は常時送られてくるが、当初は一つのデータが2~3時間程度と想定していた。しかし、実際は48時間もの長時間にわたるデータが送られてくることがあった。エンジンをずっと切らずにいたのか、あるいはエンジンをOFFにした際のデータが途絶えてしまったのか、それをどう判断するかが難しかった」と説明。また、サービスを提供するドラレコについては、「開発にあたってはケンウッド製ドライブレコーダーを活用したため、基本はこの製品で提供していく。ただ、提供が間に合わない場合も想定し、ケンウッド製以外を使っても対応できるようにデータ解析のアルゴリズムを開発した」(沼田氏)という。

今後は自動運転への対応も迫られる自動車保険だけに、自動車事故を車載機器のデータを活用してリアルタイムで把握できる本サービスがもたらすメリットは大きい。100年に一度の大きな転換期と言われる自動車業界にあって、自動車保険もさらなる特色を打ち出す必要に迫られている。本サービスの提供はその試金石として目が離せない存在になるだろう。
《会田肇@レスポンス》
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