製造業×IoT、ロボット産業の最新事情をキャッチ!「ロボデックス」「スマート工場EXPO」、2017年1月18日に開幕! | RBB TODAY
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製造業×IoT、ロボット産業の最新事情をキャッチ!「ロボデックス」「スマート工場EXPO」、2017年1月18日に開幕!

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 2017年1月18日(水)から20日(金)の3日間、リードエグジビションジャパンが主催する「第1回 ロボデックス」と「第1回 スマート工場 EXPO」が東京ビッグサイトで開催される。

 ロボット、IoT、AI(人工知能)を活かしたファクトリーオートメーション(FA)をメインのトピックスとしながら、製品から関連するソリューションまで幅広く扱う大規模な展示会は世界でも類を見ないイベントだ。会場では、各企業によるブース展示のほか、業界のキーマンによる各種カンファレンスが連日行われる。そこで、今回は当日登壇する方々に、カンファレンスのテーマに関連する各社の事業やトレンドについて解説してもらった。

■「Pepper」が歩んできたコミュニケーションロボットの現在地

・テーマ「Pepper 現在と未来」/2017年1月19日(木)
ソフトバンクロボティクス コンテンツマーケティング本部 取締役本部長
蓮実 一隆氏



--- Pepperを発売してからの反響はいかがですか。

蓮実氏:ヒト型のロボットを商品化するという試みは、おそらく誰も本気で実現できると思っていなかったのではないでしょうか。ソフトバンクがペッパーを発売したことで、ロボットの未来に多くの方が可能性を感じていただけたと思います。当社もリスクを負ってチャレンジした甲斐がありました。発売後に見えてきた課題もいろいろありますが、その経験値が次に進むための糧になります。ロボットに関連する展示会などのイベントがますます盛んになり、Pepperに注目が向けられることはとてもありがたいですね。

--- 発売以来、Pepperはどんな現場で活躍しているのでしょうか。

蓮実氏:ソフトバンクショップではもちろんのこと、一般のご家庭から、法人向けモデル「Pepper for Biz」も好評をいただいて、大企業から中小企業までさまざまな場所にPepperはお引き合いをいただきました。ご家庭で家族やペットのように愛情を注がれているPepperもいれば、介護施設で癒し役を引き受けたり、商業施設で情報ガイドとして、あるいは呼び込みのセールスマンとして役目を果たしているPepperもいます。現場で得られたフィードバックから、いまのPepperが求められている役割にどんなものがあり、最適な姿はとはどんなものか。それから外れるものがあれば、次の製品開発に活かせる資産になります。

--- Pepperを通じてAI(人工知能)という言葉も注目されるようになってきました。

蓮実氏:ロボットに求められるAIは、活躍するシーンごとに最適な振る舞いを学習して、求められている作業や役割を正確にきっちりとこなすためのテクノロジーです。当社はロボットであるPepperの「こころ」「感情」を研ぎ澄ませながら、個性あるロボットに育てていきたいと考えています。あくびをしているPepperを見て癒されたり、理詰めでは見えてこないPepperの価値があります。反対に、当然ながら機能的な要求もクリアしながら役に立つロボットでもあるべきです。いろいろな機能を手当たり次第詰め込むと価値が見えなくなります。今後もPepperらしさを一番引き出せるAIの開発に注力しながら、他業種とのコラボレーションにも積極的に力を入れていきたいと思います。

■産業用ロボットは何を求められ、どのように進化するのか

・テーマ「ABBが実現するIoTSPの世界、未来の工場へ」/2017年1月18日(水)
ABB株式会社 取締役 バイスプレジデント ロボティクス&モーション事業本部長
吉田 剛氏


--- ロボット事業について教えてください。

吉田氏:ABBは、電力とオートメーションに2つに特化したビジネスを展開している会社です。ロボット関連事業は、ロボティクス&モーション事業本部が担当しており、日本法人ではロボットが一番大きいビジネスになっています。なかでも、日本に開発・製造の拠点を有する自動車メーカー向けの塗装ロボットシステムの売上が大きい割合を占めていますが、近年では、食料品や飲料メーカー向けのロボットや協調型の『YuMi』のようなロボットにも力を入れており、その分野がかなりのスピードで伸びてきています。

--- その協働型ロボット「YuMi」の事業は展開されて約1年になります。

吉田氏:「YuMi」が活躍する分野は限りなく広いと考えています。例えばコネクタをつけたり、外観検査をした上で容器とキャップを組み立てるなど。アプリケーションとしては、非常に幅広いと思っています。一般的に産業用ロボットは、自動車産業で使われることが多かったのですが、そうした分野以外で使われるロボットとして、その裾野を拡げていきたいと考えています。そこで、求められるのが、周囲のフェンスが不要で、人と一緒に作業ができ、プログラミングが簡単にできるロボットです。これまでのロボットでは“できない”とされていたことを取り払ってできてきたのが、「YuMi」のような新世代ロボットなんです。これまで、双腕ロボットというのは、非常にプログラミングが難しいというのがマーケットの固定概念で、そこをどうクリアするというのが、市場の課題でした。そうしたなかで、「YuMi」は専用のアプリをダウンロードした汎用のタブレットを無線で接続して使用する「リードスルー・ティーチング」という技術があるので、直感的に使っていただけるのが特徴です。

--- 自動車メーカー以外でロボットを普及されるという面で、「YuMi」の存在意義とはどのようなものがあるのでしょうか?

吉田氏:自動車メーカー向け以外で、産業用ロボットを使うことは、非常にハードルが高いんです。プログラミング一つとっても。そのあたりのハードルを下げるのが重要だと考えています。我々には、優れたソフトウェアもありますし、Connected ServiceTMというIoTを使ったサービスもありますので、それらのメリットも積極的に活かしていきます。Connected ServiceTMは、以前はRemote Serviceといって、10年ぐらい前からあったサービスの進化版です。ABBでは多大なロボットのデータを単一拠点に集積し、24時間365日すべて監視しています。我々がこれまでやってきたことが、コミュニケーション手段の発達によって追いついてきた印象です。時間をかけてやってきたことで、蓄積された莫大なノウハウやデータが詰まったサービスですので、特にロボットのビギナーでも安心して使っていただけるものになっていると考えています。

--- テーマにもされている「IoTSP」についてのお考えを教えてください。

吉田氏:IoTSPとは、IoT(Internet of Things)に、サービス(Service)とヒト(People)を合わせた言葉です。どんどんモノやサービスが繋がっていっても、ヒトの専門性や、ヒトとヒトとの協調性が必要で、それがキーになると考えています。ヒトはもっと付加価値が高いものにフォーカスすることで、逆に専門性が要求されるのです。だから、あえて「IoTSP」なんだと、考えています。

■ブームで終わってはいけない。工場のスマート化に必要なこととは

・テーマ「シーメンスが目指すデジタルエンタープライズによるスマート工場実現」/2017年1月19日(木)
シーメンス 専務執行役員 デジタルファクトリー/プロセス&インダストリー事業本部長

島田 太郎氏


--- 話題の「インダストリー4.0」とはどのようなものなのでしょうか。

島田氏:シーメンスは、いま注目されている製造業の第4次産業革命といわれる「インダストリー4.0」に最も深く関わっているドイツの企業です。インダストリー4.0の本質を正しく把握するための第一歩はまず、インダストリー4.0が登場した背景を知ることが大事だと考えています。昨今のデジタル化の流れの中で、ドイツが“ものづくり”において製造大国であるアメリカや中国と対等にぶつかって勝ち抜くためには、世の中にない製品を誰よりも早く、コンピューターを駆使したマス・カスタマイゼーションのソリューションを提供していくことが必要です。そのためには、いろいろなものをモジュラー化、あるいは標準化しながら組み合わせることにより、品質が高く世の中にフィットするものをつくるといったドイツ的な考え方が武器になります。これを実践するためにどんな準備をしなければならないのかということから、順を追って考えていくことでインダストリー4.0の本質が見えてきます。

--- シーメンスでは現在どのようなサービスを展開していますか。

島田氏:シーメンスは工場のオートメーション、スマート化を実現するための製品、ならびにソフトウェア設計のためのツールの両方を幅広く展開できる唯一のメーカーです。「IT(Information Tecnology)」と、モニタリングや運用を制御する「OT(Operational Technology)」を合体させたものがインダストリー4.0であり、その両方に対するソリューションを持つことがシーメンスの強みです。導入いただいたクライアントの実践例をここで詳しくご紹介することは難しいのですが、例えばアパレルや自動車の業界では顧客ひとり一人に合わせたマス・カスタマイゼーションによる差別化が加速しています。これからはさまざまな業界にマス・カスタマイゼーションの考え方が浸透して、その先に誰が最も早くブレークスルーを実現するのかという点が大きな関心事になるとみています。

--- 工場のスマート化への関心はますます高まっていると感じます。

島田氏:確かに機運の高まりは感じていますが、同時にただのブームに終わってしまわないか、心配もしています。いまこそ、地に足の付いた標準化・モジュラー化に取り組まなければ、真に価値のあるスマート工場、IoT化は実現できないということも指摘したいと思います。高額な投資をかけて独自性の高いシステムを作っても、インターネットにつながっていなければ価値が生まれません。オープンソースの力を取り込めるフレキシビリティが必要です。

--- IoT化に取り組む際、重要なことはどんなことでしょう?

島田氏:セキュリティを確立することです。ネットワークにつながればビジネスチャスを作り出し、インターネットを経由して新たなサービスを切り開くこともできます。セキュリティシステムを正しく構築すれば、さまざまな可能性が広がります。シーメンスはそれぞれのニーズに合わせた製品、システムのコンサルティングをご用意しています。オフィスとは違って、工場には工場ならではのセキュリティ対策のノウハウがあります。シーメンスのIoTプラットフォーム「マインドスフェア」は、ネットワークからクラウドまで全てをカバーできるソリューションです。システム構築の際、シーメンスはお客様のデータに一切触れることはありません。さらに製品とサービスは従量課金制でご提供しているので、初期投資が不要です。中小企業の皆様にとっても、インダストリー4.0の最先端に立ちながら、全体を俯瞰するシーメンスのサービスを活用すれば手軽にスマート化を実現できるのではないでしょうか。

■製造業が海外勢と戦うために、いま必要な視点とは

・テーマ「Industrie 4.0 ~デジタル=IT+IoTが引き起こす第4次産業革命にどう立ち向かうか~」/2017年1月20日(金)
SAPジャパン インダストリークラウド事業統括本部 IoT/IR4 ディレクター
村田 聡一郎氏



---- 今回は講演後には、パネルディスカッションも行われるのですね。

村田氏:はい。このカンファレンスは「スマート工場EXPO」ですが、パネルではあえて、「みなさん、スマート【工場】EXPOで、本当にいいんでしたっけ?」と投げかけてみたいと考えています(笑)。製造業のバリューチェーンをざっくり表現すると、[1]設計、受注、調達など【前工程】⇒[2]生産 【工場】⇒[3]物流、保守、部品など【後工程】とあります。この中で【工場】部分のスマート化だけを考えていていいのか?ということです。

--- その問題提起の狙いを教えてください。

村田氏:日本の製造業の多くが、この【工場】部分のいわゆる「カイゼン」だけに過度にフォーカスしがちであり、IoTもまた「カイゼンのための手段」であると捉える傾向にあるように感じています。カイゼンが過去数十年の日本企業の強さの源泉であったことは確かだと思いますが、これからもずっとそうなのでしょうか?グローバル視点でみると、ドイツやアメリカ、中国など世界中でなぜIoTやインダストリー4.0が盛り上がっているかといえば、さきほどの[1][2][3]すべての工程を一気通貫でスマート化できるからです。これまで[2]【工場】部分つまり製造品質では日本勢が圧倒的に強く、海外勢はどうしても歯が立たなかった。しかしIoT時代になると、【工場】工程の品質だけで勝たなくても、前後にあたる【設計、受注、調達】から【物流、保守、部品】までの、いわゆる「顧客にとってのEnd to Endのバリュー」で勝てばよいわけです。「モノからサービスへ」とか「マス・カスタマイゼーション」、「設計のデジタル化によるスピードアップ」、「PLM(製品ライフサイクル管理)」などは皆その流れです。つまり海外勢はIoTによるスマート化によって“土俵を変え”、日本勢に対してこれまでとは違う軸での勝負を仕掛けようとしてきているわけです。「ドイツの“スマート工場”と呼ばれる工場を視察に行ったが大したことなかった、自分たちの現場のほうが進んでいるくらいだ」という声をきくことがあります。まさにそこが落とし穴なんです。【工場】の視察で目に見えるものはスマート化の本命ではないのですから。こうした背景がある中で、日本勢は相変わらずカイゼンこそが自分たちの強みだと考え、「スマート工場」に注力し続けていてよいのでしょうか?

--- その状況で日本企業にはどんなことが求められるのでしょうか。

村田氏: この「スマート化の本質」を正しく理解して意思決定することです。「海外勢が土俵を変えようと仕掛けてきているのは承知のうえで、自社はあくまでカイゼンでいく」、というのならそれは企業の経営戦略ですから問題ありません。しかし海外勢の狙いや顧客のトレンドを意識せず、「これまでもカイゼンでやってきたから」という理由だけでその道を踏襲ししているのだとすると、海外勢に足元をすくわれかねません。

--- こうした問題意識は、根本的な問いであるようにも感じますが、まだまだ市場自体が未熟だということですか?

村田氏:本当は2年前から声高に話されていてもおかしくなかったし、我々(SAPジャパンなどソフトウエア企業)の力不足もあったと思います。また日本の場合、「工場のなかで使う製造装置をつくる製造業」と、「それを買ってきて生産する製造業」の両方があり、どちらも強い、という事情もあります。前者が「スマート工場」それ自体を商機とみて盛り上がるのはある意味当然ですが、後者の立場は違うはずですから、まず自社がどちらにあたるのかをはっきりさせることも必要です。【工場】工程は、もともと日本勢の強みだっただけに、実はその分伸びしろも多くないのでは?という気もしています。もともと日々の絶えざるカイゼンで品質が高いわけですから。もちろん、今回「スマート工場EXPO」が開催されるのは素晴らしいことだと思います。これが次回からは「スマート製造業EXPO」(笑)にさらに発展するといいですよね、という議論を、皆さんとしてみたいと思っています。

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