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自動運転の普及で、“運転車が感じるワクワク”がなくなった時に問われること

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日産自動車 モビリティ・サービス研究所 エキスパートリーダー上田哲郎氏
  • 日産自動車 モビリティ・サービス研究所 エキスパートリーダー上田哲郎氏
  • 日産自動車 モビリティ・サービス研究所 エキスパートリーダー上田哲郎氏
 現状は法的な問題もあり、手放しで運転することはできない。高速道路や渋滞中など、車に運転を任せられるような状況において、ドライバーはどういう状況に置かれるかというと、「運転はしなくてもいいが、寝ることはできない状態」だ。運転の楽しみというのは、それを思いのままに操る、動いてくれることだとしたら、自動運転が進むと「思いのまま」の「思い」がなくなってくる「Mind-off」の状態になるのではないかと上田氏はいう。

 Mind-offで運転できるようになると、車そのものを再定義(Re-defined)しなければならない。運転することにワクワクやドキドキがなくなるならば、それに代わる機能が必要だ。上田氏は、車をモビリティサービスとしてとらえた時、どんなワクワクが提供できるか考えたという。例えば、エスプレッソマシンを搭載して、運転しながら好きな時にコーヒーが飲める車。メーターパネルをタブレットに置き換え、車の状態をグラフィカルに表示する車。さらに、JavaScriptという簡易的なプログラミング言語で、メーター標示、灯火類、さまざまな動きを制御できるようにした車。

 上田氏は実際に研究所でこれらの車を試作して、次世代の車を考えているという。そのなかで、感じているのは、「車がモノからコトに変わっていくのなら、自分にとって究極なコトは、自分でコト(体験)を定義できることではないか」だと問いかけた。

 つまり、「次世代の車・モビリティは再定義(Re-define)されるのではなく、ユーザーが再定義可能(Re-definable)なものではなくてはならない」という主張だ。上田氏が描く次世代モビリティは、単なる自動運転カーではなく、それがもたらす変化をも見据えたビジョンを反映したものであるようだ。
《中尾真二》
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