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企業にヘルスケアの概念を!空間全体をフィットネス化する内田洋行の試み(前編)

エンタープライズ 企業
「Change Working」を掲げ、ワークスタイル変革を目指して完成した八丁堀の新川第2オフィス
  • 「Change Working」を掲げ、ワークスタイル変革を目指して完成した八丁堀の新川第2オフィス
  • 内田洋行 経営企画部 広報課 長谷川 泰氏
  • オフィスはフリーアドレス制。働き方に合わせて、いろいろなスタイルの場がある。写真は複数人で利用する際に便利なスペース
  • 窓際の明るいスペースには、社員同士が打ち合わせなどをする際に便利。大型のフラットディスプレイが設置されている
  • 書斎のようなゴージャスなスペース。本棚には、社員に読んでもらいたい書籍がたくさん置かれていた
  • 社員ひとりずつロッカーが与えられる。基本的にはペーパーレスだが、紙で処理しなければならないものは、こちらの中に保管できる
  • 集中して仕事をしたり、人に聞かれたくない電話などは、このDOCの中に入って行う
  • くつろぎながら調べ物をしたりするときには、ダイニングのようなスペースが人気だという
■ボトムアップで現場の声を反映、ワークスタイルの変革に取り組む

 内田洋行は、自社ビルの建設を機に「Change Working」を掲げ、「働き方」と「働く場」の革新に向けて、自らチャレンジを続けている。情報システム、 教育システム、オフィス構築などを手がける専門商社として知られる同社は、一昨年11月、より生産性の高い組織を目指し、東京都中央区八丁堀に新川第2オフィスを完成させた。

 このオフィスには、同社の営業部門が入居している。移転が始まったのは2012年1月末だが、それ以前からワークプレイスの在り方を探る実証プロジェクトを立ち上げていた。そこで移転後のマイルストーンを定め、あるべき働き方の目標を共有し、課題解決のための具体的な施策を検討してきたという。

 内田洋行の長谷川 泰氏は「実際にお客様に接する現場のメンバーが肌で感じたことや、組織のあり方など、多くの課題を抽出し、ワーキンググループをつくって理想の働き方を考えてきました。そのうえで、新しい働き方のプラットフォームとなるICT環境を開発し、ワークスペースをデザインしました」と説明する。同社では、社員に固定された席がない、いわゆる“フリーアドレス制”のワークスペースを実現した。とはいえ、フリーアドレス制を導入する企業は以前から多くあった。では、そういった企業との違いとは何だろうか?

 長谷川氏は「いわゆる一般的なフリーアドレス制と呼ばれるものは、コスト削減の要素が強かったと思います。たとえば席数を100から50に減らしたりすることで、コストを削減していたわけです。我々の場合は、スペースの広さは移転前とほとんど変わっていません。あくまで業務の生産性を高めるために、働き方に合わせて働く場所を変えていく。つまりコスト削減より、いかに生産性を向上させるかという点に主眼を置いたフリーアドレス制なのです」と強調する。

 実際に新オフィスでは、社員はノートPCを利用し、好きな場所で仕事をすることになるが、働き方に合わせて、スタイルの違うワークスペースを何種類もチョイスできる点が大きな特徴になっている。複数の大型プロジェクターを配したゼミナール(プレゼンテーション用)スペースから、グループごとにコラボレーションが可能なロングウッド(長机)スペース、数人でミーティングができるスペース、リラックスして調べモノをする書斎ライクなスペース、個人で集中して仕事をするためのドッグまで、利用シーンに合わせた最適な環境を選べるように工夫されているのだ。

 また同社ではフリーアドレス制に伴い、「ペーパーストックレス」というコンセプトも打ち出した。「実際に業務で動く書類は30cmぐらいの幅があれば収まります。そのため個人のロッカールームに、最低限の書類やノートPC、携帯電話を保管するようにしています。もちろん充電用コードもあります。その代わり、すべてをデータ化し、社内の情報共有基盤から引き出せるようになっています」と長谷川氏。

 新しいスタイルのオフィスを導入して、すでに1年半が経ったが、実際に目に見える効果もかなり現れているそうだ。「営業職の最も重要な業務の1つである“お客様との面談時間”が増えた点が最大の成果になりました。従来までお客様との面談時間は全業務時間の4分の1程度でした。それが約1.5倍まで増加しました。その時間は、会議時間とデスクワーク時間の短縮化によってもたらされたものです」(長谷川氏)。

 このように内田洋行では新オフィス全体で「Change Working」を掲げ、現場中心にボトムアップでワークスタイルの変革に取り組んでいる。しかし「働き方を変える」という提案をビジネスとして展開する場合には、基本的に経営者に向けて行われる。そこで同社では、最近もう1つの新しい取り組みを始めている。それがヘルスケア分野への挑戦だ。オフィスで働くだけでなく、社員の健康管理も含めてマネジメントしていくことが、ひいては業務改革にもつながるという考え方だ。後編では、このヘルスケア分野での取組みについて詳しくお伝えしていく。
《井上猛雄》
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