新幹線の映画撮影はほぼ無理? 幻の新幹線ロケ、舞台裏 | RBB TODAY
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新幹線の映画撮影はほぼ無理? 幻の新幹線ロケ、舞台裏

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新幹線の映画撮影はなぜ難しい?
  • 新幹線の映画撮影はなぜ難しい?
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』新幹線シーン撮影セット
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』新幹線バトルシーン
  • 『ウルヴァリン:SAMURAI』 (C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
 映画で新幹線シーンを撮影するのは難しい。外国人が「日本」という国を思い浮かべたとき、象徴的シーンといえば東京の雑踏、富士山、そして新幹線で、学校の教科書で「日本」として紹介されるのもこの3点セットだ。しかし、国内/ハリウッド映画のみならず、実際の新幹線でロケ撮影するのは困難。ほぼ全編日本が舞台となり注目を集めている『ウルヴァリン:SAMURAI』もこの壁にぶつかった。なぜこれほど難しいのか? 幻となった新幹線ロケの舞台裏を、本作の日本ロケ手配を担当したシネバザール 岩谷浩氏に訊いた。

 撮影が難しい一番の理由…それは撮影規模と、撮影が及ぼす運行への影響があげられる。しかも、同じ新幹線でも、鉄道会社によって方針は異なってくる。
 「JR東海が管轄している東海道新幹線では映画やドラマの撮影許可が一切おりません。JR東日本とJR西日本には、撮影に関する受け入れをしてくれる部署があり、運行に支障をきたさないことを前提に許可してくれる場合があります。ただし、人数(約15名以下)や機材(カメラのみ、照明はバッテリーライトのみ)の制限があったり、撮影できる場所(東京駅はNG)に関しても制限があります。もちろん、撮影内容(新幹線の破壊行為や列車内での殺人など)に関しても制限があります」。

 「ハリウッド映画の場合、人数や機材の制限(最小限の人数でも30~40名になり、移動車やクレーンを使用することが多い)に対応することが難しいので、ほぼ無理だと思います。今回の『ウルヴァリン』も制限内では出来ないと言われました」。

 それでも、日本を舞台としている本作にとって、新幹線シーンは必須。新幹線の乗り込みだけでも撮影したいという監督に希望で、さらなる交渉が進められた。

 「調整の中で、本来ならば内容的(新幹線の車内でヤクザと戦い、新幹線の一部が破壊される、新幹線の上での戦い)に難しいとのことでしたが、JR東日本だけは、世界的に大ヒットしているシリーズであることや、完全にフィクションの世界であることに理解を示していただき、タイアップの話が進行。JR西日本は内容的なNGがでました。ただし、実際に撮影する場合、制限内での撮影が難しいということもあり、特別に大宮駅に新幹線の車輌を置き、終電から始発の間(午前1時から午前5時)で撮影する方向で調整が進んでいました」。

 「これならばお客様がいない時間帯で撮影するので、発電機を使用した照明も使用できますし、移動車や小型のクレーンなどの使用も可能とのことでした。また、新幹線の扉の開け閉めも、俳優の芝居に合わせて動かしてくれるとのこと。このような許可がおりたことは、今までありませんでしたね」。

 車輌に関しては、「最新型がいいのでは」という配慮で当時最新型のE-5系新幹線(はやぶさ、はやて)が予定されていた。しかし監督がイメージしていた「クラシックな白の新幹線」ではなかったことから、「監督の『緑の新感線は形が嫌だ』の一言でE-5系はダメになりました。JR東日本が管理する新幹線の中から監督に車両を選んでもらい、E-2系(やまびこ、なすの)の新幹線が選ばれました。そして、車内などのセットを作るため、車輌の細かい採寸も行いました」。

 結局、乗り込みシーンの撮影もスケジュール等の都合から実現することなく、新幹線の撮影は全てキャンセル。「JR東日本には大変ご迷惑をおかけしてしまいました」と岩谷氏は最後に残念そうに語った。なお実際、映画の中に登場する新幹線は、オーストラリアに作られたセット。新幹線の車窓(東京~大宮間で車輌の半分を貸切って撮影)と、新幹線の上での戦い(首都高速道路3号線、4号線、1号上野線から撮影)は映像を合成している。

 今回、幻となってしまった新幹線ロケ。『ウルヴァリン:SAMURAI』の新幹線バトルシーンは、映画の大きな見どころのひとつ。撮影の複雑な事情を頭に浮かべながら、観てみるのも面白いかもしれない。

 『ウルヴァリン:SAMURAI』はTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開中。

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