【インタビュー】『31年目の夫婦げんか』フランケル監督……言葉にできないから | RBB TODAY

【インタビュー】『31年目の夫婦げんか』フランケル監督……言葉にできないから

エンタメ 映画・ドラマ

『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • 『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • デヴィッド・フランケル監督
  • 『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • 『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • 『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • 『31年目の夫婦げんか』 (C) 2012 GHS PRODUCTIONS, LLC.  All Rights Reserved.
  • 『31年目の夫婦げんか』 Getty Images
  • デヴィッド・フランケル監督 Getty Images
 夫婦の絆を見つめ直したい妻と変化を恐れるガンコで保守的な夫。互いの残りの人生をかけた“けんか“を、真剣だけどユーモアいっぱいに描いた『31年目の夫婦げんか』。監督のデヴィッド・フランケルに作品を解説してもらった。

<ストーリー> 代わり映えのしない毎日を送っていたケイ(演:メリル・ストリープ)は、夫婦の関係を見つめ直そうと、夫のアーノルド(演:トミー・リー・ジョーンズ)に黙って一週間の滞在型カウンセリングを予約してしまう。2人を待っていたのは、予想もしなかった“課題”が満載のセラピーだった。初めて感情をさらけ出すケイ、重い口を開き次第に本心を打ち明け始めるアーノルド、夫婦が見つけた答えは……?


--- メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズという、いずれも存在感のある俳優で、見る前はどんな映画になるのか、衝突しないか、半分期待、半分不安でした。しかし作品では、2人とも出るところ、受けるところ、絶妙のコンビネーションでした。ビッグネームを2人同時に登場させるにあたって気をつけたことはありますか。

フランケル監督 --- 監督の仕事は“聞くこと”です。2人ぐらいの俳優になると、役のキャラクターはむしろ役者の方が深く理解できますから、2人に任せました。そして撮影中には、私は最初の観客として反応することを心がけました。俳優が、自分がどんな演技をしているのかを実感できるようにするためです。

ただ、映画のトーンを保つようなアドバイスはします。たとえば今回は、観客を楽しませるコメディであることを忘れないように、と。

--- コメディといえば、セラピスト役のスティーヴ・カレルについてです。まじめな表情なんだけど、1インチぐらい床から宙に浮いているような演技は、カレルならではと思います。しかし彼を「笑い」の役には使いませんでした。コメディアンのカレルで笑いを取ることもできたはずなのに、そうしなかった理由は何ですか。

フランケル監督 --- 優秀なセラピストを描きたかったのです。真摯な態度で、患者のことを常に思っているセラピストです。たしかにスタジオからのプレッシャーはありましたが、今回はストレートな演技をスティーヴには要求しました。

もうひとつの理由は、映画の観客がセラピストの目を通してメリルとジョーンズの2人を見る、という位置にスティーヴがいるからです。だから基本的にまじめな役としました。

演技では、スティーヴ自身の体験も生かされているんですよ。結婚生活についてではありませんが、彼もセラピーを経験しています。たとえばセラピストが沈黙して、サスペンスを作り出す場面がそうです。

--- この映画では俳優が意外な演技を見せてくれます。ストリープはとても可愛らしいし、強面の役が多いジョーンズも、不器用な、しかし本当は心根の優しい中年男を見事に演じています。

フランケル監督 --- 新しい面を積極的に見せようとしたのは、俳優自身の選択のほうが大きいでしょう。たとえばジョーンズは南部のテキサス出身で、ハーバード大学に学び、しかもフットボール選手でした。彼自身がいろいろなことを経験し、様々な面を秘めているのです。

--- ストイックな性格とタフな容姿というアーノルドは、ジョーンズ自身かもしれないですね。

フランケル監督 --- メリルはジョーンズの演技にいつも驚いていました。そして演技の上で、ジョーンズからの挑戦と受け止めていました。

--- 刺激的ですね。さて、本心を表に現さない対人関係という点で、『プラダを着た悪魔』と、共通点のある作品です。フランケル監督の作品には人と人との関係を主題にした作品が多いと思います。これはご自分で好んだテーマですか。それとも自ずとこういった仕事の話が持ちかけられるようになったのですか。

フランケル監督 --- それは偶然ですね(笑)。人間は本質的に、内心を言語化できないものなのです。その葛藤がおもしろい物語になるのです。

人とは何か。人として求めるもの、憧れの姿、その欲求を描くのが映画です。『31年目の夫婦げんか』では恋愛感情やセクシャルな欲求を描きました。『プラダを着た悪魔』ではまた違うタイプの欲求です。欲求を満たすまでに距離がある。つながれずにいる。幸せな場所にたどり着くまでの物語が映画です。

また、映画スターはミステリーを備えているんです。観客は俳優をもっと知りたいと思って惹かれる。メリルが別の監督に言われた言葉だったと思うのですが、俳優のいちばんの演技はカメラに背中を向けた時だ、と。背中を向けた時に観客はキャラクターに惹かれる。観客に、もうちょっと見たい、知りたいと思わせる。よく見ていないとわからない演技が観客を魅了するのです。


 『31年目の夫婦げんか』は7月26日(金)、TOHOシネマズシャンテ、新宿シネマカリテほか、日本全国で順次公開。
《高木啓》

関連ニュース

特集

page top