職場に対しては満足だが、将来が不安――IPA「IT人材白書2010」 | RBB TODAY
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職場に対しては満足だが、将来が不安――IPA「IT人材白書2010」

エンタープライズ 企業
仕事や職場の環境に対する満足度
  • 仕事や職場の環境に対する満足度
  • IT人材の職種分布(過去3年間の変化)
  • IT人材の「量」に対する不足感
 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、5月に発行予定の「IT人材白書2010 ~岐路に立つIT人材 変革期こそ飛躍のチャンス~」の概要を公開した。

 IT企業におけるIT人材の量的不足感は後退し、一部の企業で過剰感が強まっているのが特徴。職種ニーズでは、開発系IT人材(アプリケーション開発やパッケージ導入に精通した人材やシステム開発プロジェクトを担うために必要なスキルを有する人材)から技術系(セキュリティやシステム管理など各専門分野に特化して高い技術を有している人材) 、運用系IT人材(システム開発を経て、納品後にも継続して必要とされるサポートサービスに関連する人材)へ移行している。

 ビジネスに求められるIT活用力に関しては、職業人に必要とされる企業・経営に関する知識について、企業側に比べて個人の意識が総じて低く、例えば企業統治に関する理解は88.8%の企業が必要と考える一方で、個人では46.6%しか必要性を感じていない。また、IT活用のための基本的な知識・スキルにおいては、企業はセキュリティ対策を重視しているが、個人は表計算ソフトのスキルを最も重要視している。

 また、IT人材は職場に対して高い満足を感じているという結果もでている。「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計は休暇の取りやすさ63.2%、職場の雰囲気62.4%、プライベートとの両立60.3%であり、世間で言われる3Kのイメージとは大きく異なる結果となっている。一方で、「勤務先の将来」や「自身のスキルが将来も通用するか判らない」など、将来への強い不安も感じており、勤務先の企業の方向性や将来ビジョンが明確でないと答えた個人ほど「勤務先の発展、成長に対する不安」を抱えている傾向がある。

 キャリア形成については、約半数の企業が個人にキャリアプランを明示していない。自身のキャリアアップの責任が企業にあると回答した個人が62.7%に上る一方、個人に責任があると考える企業も61.2%に達しており、意見の相違が生じている。加えて、個人の企業依存は企業規模が大きくなるほど顕著な傾向となっている。

 IPAでは、ITは社会に不可欠な要素であるにもかかわらず、現状のIT技術者は自分の将来に不安を抱えており、企業、個人ともに未来を見通せていない、または見通そうとしていないことに大きな原因があるとしている。IT人材が活き活きと働くためには企業が将来像やビジョンを明確にする必要があり、またIT技術者個人は、たとえ技術が変わろうとも価値ある技術者であるよう自ら努力し続ける必要があると結論づけている。
《RBB TODAY》
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