産総研、光で光を制御する新原理の超高速光半導体スイッチを開発〜ネットの超高速化に期待 | RBB TODAY
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産総研、光で光を制御する新原理の超高速光半導体スイッチを開発〜ネットの超高速化に期待

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干渉計型光スイッチモジュール
  • 干渉計型光スイッチモジュール
  • OTDMの波形
  • 物質の光による屈折率変化と光の位相変調
  • 干渉計型スイッチモジュールの構成図
 産業技術総合研究所(産総研)は8月31日に、光で光の位相を制御できるまったく新しい原理の超高速全光素子を開発、これを用いた干渉計型の光スイッチモジュールを開発して、160Gb/sの超高速光信号の10Gb/sへの時分割多重分離動作(DEMUX動作)に成功したことを発表した。

 通信ネットワークの分野では、大容量化・超高速化が現在進んでいるが、100Gb/s以上の超高速信号を処理できる電子回路が無いため、光信号を電気信号に変換せず、光の領域で多重化する光時分割多重(OTDM)方式が必要であり、光で光を制御できる超高速の光スイッチの実現が期待されていた。

 こうした背景から産総研では、InGaAs/AlAs/AlAsSbの半導体材料系を用いた超薄膜量子井戸に見られるサブバンド間遷移(ISBT)という現象を利用した超高速の全光スイッチング素子の開発を進めてきた。このなかで、光による位相変調効果という新しい原理を発見、1ピコ秒程度の超高速領域で、ほぼ無損失で光の位相を制御できることから多くの応用が期待されている。今回、光照射によって物質の屈折率を制御する、光による位相変調効果を用いて干渉計型のスイッチモジュールを開発し、超高速光スイッチを実現した。

 現在、空間光学系でスイッチモジュールを構成しているが、2007年度から開始された新規NEDOプロジェクト「次世代高効率ネットワークデバイス技術開発」では、Si-細線導波路とハイブリッド集積して、超小型・高性能のスイッチへの開発を進め、160Gb/sの小型光トランシーバの実現を目指す。この小型トランシーバで、高精細画像を時間遅れなく送信することが目標となる。

 今回の研究は、超高速光信号処理デバイス研究ラボ 石川 浩 研究ラボ長と、光技術研究部門【部門長 渡辺 正信】土田 英実 上席研究員らによるもので、本研究成果の詳細は、北海道工業大学で開催される応用物理学会学術講演会で9月4日、またベルリンで開催される、European Conference on Optical Communications (ECOC2007)で9月18日に発表される予定。
《冨岡晶》
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