アダルト専用ドメイン否決。RIRレベルで進行するIPv4アドレスの枯渇——第18回ICANN会議報告会 | RBB TODAY
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アダルト専用ドメイン否決。RIRレベルで進行するIPv4アドレスの枯渇——第18回ICANN会議報告会

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第18回目となるICANN会議はポルトガルのリスボンで、3月26日〜3月30日までの期間開催された
  • 第18回目となるICANN会議はポルトガルのリスボンで、3月26日〜3月30日までの期間開催された
  • 理事会での.xxxについての議論では、申請を許可する意見と棄却する意見が分かれ、最終的に投票の結果によって棄却された
  • 丸山氏の考察では、ICANNが一度合格の判断をしていながら棄却したのは不当ではないかというもの。これはゲーム中にルールを変更するようなものだと語った
  • IDN TDLの技術として「NSレコード」と「DNAMEレコード」の2つの技術が紹介された
  • IDN TDLを実現するには、文字自体によるものや、文字列に起因するものなど、様々な課題をクリアする必要がある
  • 出張中のため動画での参加となったJPNICの穂坂俊之氏
  • APNICのGeoff Huston氏の予測では、RIR管理のIPv4アドレスは2011年6月に、ICANN管理のIPv4アドレスは2012年6月に枯渇してしまうという
  • ASOのワークショップではIPv4アドレスの枯渇について様々な議論が行われたが、穂坂氏によると世界規模での議論は始まったばかりであると語った
 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が3月26日〜3月30日までの期間、ポルトガルのリスボンで行われた、第18回ICANN会議の報告会を開催した。ICANNとは、米国のカリフォルニアに本拠地を構える非営利の民間団体で、IPアドレス、ドメイン名、ポート番号やパラメータ番号などの調整、DNSルートサーバシステムの運用および展開の調整、技術的業務に関するポリシー策定の調整などを行っている。

 報告会では、会議に参加したJPNICの職員による解説のほか、JPドメイン名の登録管理を行っている日本レジストリサービスの取締役企画本部長の堀田博文氏、総務省総合通信基盤局 電子通信事業部データ通信課の辰川晶子氏、ICANNの理事を務めるネオテニー代表取締役社長の伊藤穣一氏、インターネットユーザーで構成される諮問委員会に所属するハイパーネットワーク社会研究所副所長 会津泉氏が、会議期間中に行われた理事会やワークショップで話し合われた内容を紹介した。

 報告会で特に印象深かったのは、会議期間中アダルトサイト向けに.xxxのトップレベルドメイン(この場合、特定の業界や団体での利用に限定されたもの)を認可するか棄却するかということについて、かなりの時間を割いて議論されていたことで、複数の報告者から.xxxの扱いについて、理事会やワークショップで話し合いが行われたことが語られた。

 JPNICの丸山直昌氏の報告によると、カナダのICM Registryという会社が2004年3月にICANNに.xxxの登録申請を行い、ICANNの理事会が2005年6月に契約交渉に入る決議を行った。その後二度の契約案の修正を行ったが、リスボンでのICANN会議の理事会での投票で、申請を認めるとした者が5人、棄却するとした者が9人、棄権が1人という結果となり.xxxの申請が棄却された(伊藤穣一氏の報告の中で、氏は認める方に投票したことを語った)。

 丸山氏は個人の見解として、一度ICANNが合格の判断をしていながら最終的に棄却するのは不当ではないかとし、多くのICANN会議参加者にとって、おそらく後味の悪い決定であったであろうと語った。また、ICM RegistryによるICANNの提訴も可能性としてあるだろうと述べた。

 その他の報告では、日本レジストリサービスの堀田氏によるIDN TLDに関する検討状況が語られた。

 IDN TLDとは、ASCII以外の文字をドメイン名やTLDで利用可能にするもので、堀田氏からは「NSレコード」と「DNAMEレコード」の2つの技術が紹介された、NSレコードでは、〜.jpと入力した場合と〜.日本とした場合で、異なるTLDであるとみなすもので、こちらは実験で実証済みであるとのこと。

 DNAMEレコードは、〜.日本と入力された時に〜.jpへ読み替えるもので、インターネット技術の標準化推進団体「IETF(Internet Engineering Task Force)」によって仕様の明確化と検証が行われているとのこと。

 なお、課題として紹介されたのは、文字の同型異議(キリル文字のAとASCIIのA)や、異体字(渡辺と渡邊)などのほか、地理的、政治的な名称、政治的影響力のある名称の扱いなど。IDN TLDに関しては、ICANNに関わる様々な組織やコミュニティから数多くリクエストが寄せられているが、堀田氏は前述の課題の解決策とIDN TDLの導入の進め方について2007年後半頃にICANN全体で議論が行われるだろうと予想を語った。

 報告会の最後はJPNICの穂坂俊之氏が出張中のため動画で参加しIPv4アドレスの枯渇に関する議論について紹介を行った。

 IPアドレスはICANNが管理(IANA:Internet Assigned Numbers Authorityと呼ばれている)している分と、各地域別にIPアドレスの割り当て業務を行う「RIR(Regional Internet Registry)」が管理している分がある。世界に5つあるRIRの中のAPNIC(Asia Pasific Network Centre:JPNICが所属している)のGeoff Huston氏の予測では、RIR管理のIPv4アドレスは2011年6月に、ICANN管理のIPv4アドレスは2012年6月に枯渇してしまうというものであった。

 IPv4アドレスの枯渇に対し、ICANNの支持組織「ASO(Adress Supporting Organization:IPアドレスの運用について議論を行う団体)」でのワークショップでは、IPv4アドレスの市場での売買を認めるといった意見や、IPv6アドレスへの移行をどのように推進するか、ISPへ割り当てるIPv4アドレスの公平性をどうするかなど話し合いが行われたようだ。穂坂氏によるとIPv4アドレス枯渇に対する世界的な議論は始まったばかりで、更なる議論が必要であると語った。

(上記画面の文字がきれいでないのは、動画とスライドをストリーム送信しているため)
《青木聡史》
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