Second Lifeとは、“3D空間内に再現された、人間社会のシミュレーションサービス”のことで、いわゆるオンラインゲームとは方向性が違う。Second Lifeオフィシャルページの表記によると、「Second Life is a 3D online digital world, imagined, created and owned by its residents.」 となっている。つまり、運営側が想定した世界観に沿うわけでもなく、あらゆるもの(Second Life内の3Dオブジェクトだが)が創造でき、それらの所有権は住人自身にあるとされている。作った人に所有権があるということは、作った人はそれを売って対価を得ることもできるのだ。その対価が一般のオンラインゲームだとゲーム内でしか流通しない通貨なのに対し、Second Lifeでは公式に米ドルへの換金がサポートされており、リアルマネーが得られる。
Second Lifeはそれらすべてのサービスをより現実に近い形でユーザに提供できるわけだ。ユーザは自分のキャラクターに感情移入しており、そのキャラクターに3Dオブジェクトを手渡すことも、買わせることもできる。しかもそれらは、URL検索サービスの目の届かないところで行われているのだ。こう考えると、Second LifeはまさにポストWWWの幕開けととらえるべき事象ではないだろうか。リアルマネーの飛び交うオンラインゲームだと思っていたら大いなる勘違い。改めて言い直すなら「ポストWWW・3Dワールドシミュレーター」ととらえるべきサービスだ。
Second Lifeはサービス開始後4年足らず。マシンスペック・回線スピードの向上という長い助走を経て、ポストWWWをめざし離陸しようとしている。WWW第1世代の「URL、レンタルサーバ、HTMLプログラミング、perl」などが「座標データ、保有する地面の面積、3Dオブジェクトデザイン、Linden Scripting Language」などにごっそり置き換えられようとしているこの事象を、引き続き注意深く見ていきたい。