ウェブにシフトする出版 出版バリューマネジメント研究会 | RBB TODAY
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ウェブにシフトする出版 出版バリューマネジメント研究会

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 ビジネスや新しいメディアとしてウェブを捉えたとき、出版社はどのような展開が可能なのか、という視点で業界セミナーが開催された。
  •  ビジネスや新しいメディアとしてウェブを捉えたとき、出版社はどのような展開が可能なのか、という視点で業界セミナーが開催された。
  •  ビジネスや新しいメディアとしてウェブを捉えたとき、出版社はどのような展開が可能なのか、という視点で業界セミナーが開催された。
 ビジネスや新しいメディアとしてウェブを捉えたとき、出版社はどのような展開が可能なのか、という視点で業界セミナーが開催された。これまで出版社のウェブ展開というと、本や雑誌のカタログサイトが一般的だった。講演を行ったサイドリバー、バイクブロスの2社によって、ウェブメディアを積極的に活用し、ECやマーケティングビジネスを垂直統合する新しい取り組みやビジネスモデルが説明された。

 講演したのは、えい(「えい」は木へんに世)出版のウェブ事業を担うため作られたサイドリバーの代表取締役である横尾隆義氏と、積極的なウェブサイト連動を展開するバイクブロスの代表取締役社長である蛯原健氏だ。

 サイドリバーの親会社であるえい出版は、特定車種のバイク雑誌、レトリバー専門の犬雑誌、こだわりの文具やヨガ、湘南や沖縄、ハワイといった地域情報誌など、セグメンテーションに特徴のある出版社だ。そして、サイドリバーは、これらの雑誌と連動・内容を補完したコンテンツをウェブサイトで発信するだけでなく、編集部や媒体とメーカーが共同開発した商品の物販、コミュニティサイトの機能、セグメント化されたプロファイルによるマーケティングビジネスを展開する会社だ。例えば、雑誌では伝えられない部分を動画コンテンツによって補う。ハワイで長期滞在を提案する雑誌特集に対応して、紹介した場所の詳しい情報や関連サイトの紹介、さらにホテルなどの予約ができるサイト。メーカーと共同開発したバイクやバス釣りボートなど高額商品の直販サイトなどを運営したり、といった具合だ。媒体としてのブランドや中立性もあるので、あまり派手なことはできないが、バイクなどは1日1台くらいの割合で売れているそうだ。ニッチゆえにロイヤリティの高い読者でこそ可能なモデルといえよう。また、サイトを立ち上げることによる雑誌の部数増といううれしい副作用もあるそうだ。

 バイクブロスは、バイクの新車、中古車、パーツなどの価格・スペック、全国のバイクショップ情報などを提供する雑誌だが、会社としての事業は出版だけでなく、バイク専門のポータルサイトやバイク向けのJAFのようなロードサービス事業なども展開している。出版に関してはメーカーやショップの広告がメインの情報誌の一般的なビジネスモデルだ。ポータルサイトでは、120万UU、2,400万PVに対する1,000を超えるショップの広告と、その販売仲介を行うASPビジネス(「ぐるなび」のようなシステム)、ユーザー向けの物販サイトによる収入によるビジネスを展開している。B2B、B2Cをワンストップで行うサイトとみることができる。さらに、バイク検索・レビューやツーリング情報などユーザーのコミュニティ、およびナレッジベース機能により読者参加型の媒体としての側面も持っている。蛯原氏いわく、「集客と収益は不連続」として広告・課金・コマースをビジネス化する戦略がポイントだそうだ。ウェブ上ではコンテンツそのものの価値だけでなく、周辺のサービスを含めたビジネスモデルが成功の鍵といえるだろう。

 出版とウェブというと、どちらかというと相容れないメディアとして対比されることが多いが、横尾氏の言葉借りれば、「出版とウェブは、無理に融合させるより両立させることが重要」だそうだ。それぞれ、メディアとしての機能や役割があるはずなので、むやみにどちらかを切り捨てたり、無理に同じことをさせようとするより、ドメイン化させ両者を補完させろ、ということだろう。
《中尾真二》
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