日本TI、ポータブルオーディオ機器などに適用可能な音質向上アルゴリズム3種類を開発 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

日本TI、ポータブルオーディオ機器などに適用可能な音質向上アルゴリズム3種類を開発

IT・デジタル その他
 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は9日、音質/音響を大幅に改善する2種類のアルゴリズムと2スピーカーでも仮想的にサラウンド音響空間を創出できるアルゴリズムを発表した。同社ではこれらにより、圧縮データを扱うポータブルオーディオプレーヤーやカーオーディオなどのコンシューマー向けAV機器に、短期間で競争力を高める機能をもたらせるとしている。

 今回発表されたアルゴリズムは、茨城県つくば市にある筑波テクノロジー・センターのオーディオ専門研究チームが開発にあたったもので、これまでに培われていたオーディオ信号処理のノウハウが凝縮されているという。また、同社のDSPに最適化されているため、システムリソースを最大限に活用したアプリケーションの開発が可能なことに加え、同DSPを用いた製品メーカーの仕様や開発プランにあわせた自由なチューニングが可能だとしている。

●音質/音響を改善するアルゴリズム

 音質および音響を改善する2種類のアルゴリズムは、圧縮により失われた高音域を補完する「バンド幅拡張技術」と、音を変質させずに重低音を強化する「低音域拡張技術」の2つ。

 バンド幅拡張技術は、圧縮によって欠落した高音域成分をリアルタイムに解析し、原音に近い形まで補完するというもので、非可逆圧縮形式データであっても、オリジナル音源が本来持っていたクリアな高音を再現できるという。また、対応する圧縮方式やビットレートに制限がないため、TVやFM放送、ポータブルオーディオプレーヤーのライン接続からの音声入力などにも応用可能だとしている。

 一方の、低音域拡張アルゴリズムは、音響心理学の原理に基づく技術で、原音に含まれる音声信号から擬似低音を作り出し、その擬似低音を聴かせることで重低音を認識させるというもの。擬似低音を作り出すプロセスの精度を上げると、処理負荷が大きくなってしまうが、本アルゴリズムでは処理を省くことなく高精度ながら低MIPSで実現できる手法を開発しているという。

 この技術はスピーカーからの出力に加え、ヘッドホンへの適応も可能で、中低域の再生能力が乏しいインナータイプのヘッドホンにも効果的だとしている。さらに、スピーカー出力においても、スピーカーそのものは不快な振動を発生しないため、近隣や周辺環境への影響もなくイコライザーによる低音強調よりも消費パワーを節約することができるとしている。

●仮想的にサラウンド音響空間を創出するアルゴリズム

 頭部伝達関数の演算と、音源に近いほうの耳だけに音を届けるために必要なクロストーク相殺に必要な計算を、独自のアルゴリズムで低演算量ながらに最大の効果が得られる「バーチャルサラウンドテクノロジー技術」を開発。これにより、2本のスピーカーまたはヘッドホンだけで、臨場感あふれるマルチチャンネルサラウンド音響空間が実現できるという。また、複数のスピーカーによる音響特性をリアルに再現しているため、長時間聴いていても疲れるということがないとしている。
《村上幸治》
【注目の記事】[PR]

特集

page top