安全・簡単・安価。ネット家電で乗り越えるべきキーワード | RBB TODAY

安全・簡単・安価。ネット家電で乗り越えるべきキーワード

 2月に実施されたIPv6サミットでも公開デモを実演した、m2m-xというネット家電での利用を前提に考えたテクノロジが進化を続けている。進化方向を模索中のネット家電にV6対応家電。m2m-xというテクノロジは、これらネット対応家電製品がスケールするためにボトルネックとなっていた部分に焦点をあてたソリューションとなる。

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 m2m-xというネット家電での利用を前提に考えたテクノロジが進化を続けている。これは、NTTコムが中心に実証実験を続けているもので、タカラ、東芝、ソニーブロードバンドソリューション、ヤマハなど11社が参加して進めているものだ。m2m-xとは、IPv6時代に家電製品を「安全に、簡単に、安価に接続するための接続技術」である。m2m-xのm2mは「モノtoモノ」。まさに、PCのような端末ではなく、どこにでもあるモノをネットワークにつなげて、ピアツーピアで接続するための接続手段を目指している。

 既存のIPv4ベースであるインターネット網では、これまでにいくつもの課題が立ちふさぎ、それを乗り越えてきた。たとえば、それは名前解決であったり、セキュリティであったり、品質コントロールであったりと、プロトコル自体を改良したり、周辺の環境を整えることで時代にあったネットワークへと進化してきた。そして、いつの時代でも、ネットワークに総じていえることは、新たなインフラや機器に既存ネットワークプロトコルが採用されるとき、それは課題を克服するための仕組み作りが必要になることを意味している。

 m2m-xもまさにそれであり、IPv6=家電、家電=誰もが使えるネットワークを実現するための手段といえる。これから家電製品が本格的にネットワーク対応となると、宅内の家電を外出先の携帯電話からコントロールしたり、電話のようなIP対応通信機器が互いに接続しあうようになる。そのとき、これまでの電話のように誰もが安心して使える仕組み作りがIPv6網のうえに必要になる。そのための認証し、相手を呼び出して接続し、流れるデータを互いを直接つなぎ、やりとりするための手段としてm2m-xという接続手段が生まれてきた。

 こうしたブロトコルやインターフェイスの開発は、これまでも数多くの機関がてがけてきた。そうした中で、m2m-xがもっとも飛び抜けている点は、いくつもの会社が参画しているアライアンスであり、すでに機器に対してm2m-xの実証実験が始まっている点だ。家電製品にプロトタイプとしてでも搭載されたことにより、v6ネット家電の可能性は実現に近づいているといえる。

PS2を使ったテレビ会議の例
IPv6といわれると比較的思い浮かべやすい会議システム。ただし、この場合の端末はPS2。ゲーム機のうえでビデオチャットが実現できるようになると、ゲーム機がゲームだけにとどまらずに、双方向教育やショッピングと利用範囲は広がりそうだ


■家電製品にアタックされたらたまらない。安全なネットワークがほしい

 m2m-xは、NTTコミュニケーションズが中心となって進めている機器間通信の手段である。v6時代では、すべてのネットワーク機器がユニークなIPアドレスを利用し、相互にコミュニケーションする世界を描いている。ところが、その時代が本当にやってくるためには、克服しなければいけない課題が存在している。それは、「安全、簡単、安価」という3つのキーワードをどうやって各機器が実現するかということだ。

 m2m-xは、まさにそれを実現するための接続手段である。m2m-xでは、IPv6という技術のうえにm2m-xという接続手段を用意した。m2m-xは、個々の機器を呼び出し、コネクションを完結させるまでの役割を担う、シグナリング管理のサーバだ。たとえば、接続元からのリクエストに対して、m2m-xはリクエスト先のユーザを管理するISPのm2m-xのサーバから接続先ユーザの機器に接続するための諸情報を取得して、両者の機器を接続させる。マッチングサーバに近い機能を持つが、m2m-xが持つ機能はそれだけではない。m2m-xは、正しくデータがやりとりできるように、暗号化のためのキー交換も定期的に実施する。また、認証されたユーザや接続を許されたユーザしか接続リクエストに対して応えないといった、安全な接続を実現する機能も保持する。ところが、互いの機器を接続さえしてしまえば、m2m-xはもはや不要だ。データのやりとりは互いの機器同士が直接実行する。m2m-xは電話における制御信号だけを管理するための仕組みだと考えるとわかりやすい。

 さきほど「安全、簡単、安価」という3つのキーワードをあげた。この中で、もっとも重要なキーワードは「安全」といえる。たとえば、各IPv6対応機器にグローバルなIPv6アドレスが割り振られ、DNSからその存在が確かめられるのであれば、その機器はどこからでもアタックの対象となる。このために、どの機器もグローバルなIPアドレスを持つIPv6時代には、DNSとは異なる方法で接続先を管理したい。少なくとも、IPアドレスをすべてのリクエストに対して教えてしまうような仕組みはさけたい。また、成りすましユーザのアクセス拒絶や、データの暗号化、利用者の認証など安全に関しては多岐にわたって課題がある。こうした安全に対する課題をm2m-xは克服しようとしている。つまり、安全な仕組みを提供することで、ネット対応家電はどんどん増えていくとい図式を描こうとしているわけだ。

 残る2つのキーワードである「簡単、安価」は、IPv6時代を象徴するキーワードともいえる。機器は、電話機のようにつなげるだけで簡単に使えるべきものである。ルータのややこしい設定や、宅内ネットワークの設計変更が必須のようであったり、さらにはドメイン指定拒否だのといった設定が必要であったら本末転倒だ。また、接続するために数万円もする機器が別途必要となったら、それはそれで困る。つまりブロードバンドインフラさえつながっていれば、ISPに申し込みさえすればすぐに使え、しかもネットワークには対応機器を何も考えずにつなげれば、すぐにつかえるようになることが、ネット対応家電のあるべき姿だ。こうした部分は、IPv6を使えばすぐにできる。しかし、IPv6だけでは手軽に安全を確保できないために、IPv6にm2m-xを組み合わせ使うことになる。

■現状は機器搭載で実証実験へ。本年内商用化目標に

 ネット家電をより現実なものにするm2m-xには、これからいくつもの乗り越えるべき課題がある。その中でもっとも大きなものは、m2m-xを利用してもらうための土壌作りだ。現在、11社のメーカーが実証実験に参加しているが、m2m-xがスタンダードなものにならなければ、よりいっそうの普及にはつながらない。このため、m2m-xを開発するNTTコミュニケーションズは、m2m-xをIETFに持ち込むとしている。また、m2m-xマネジメントサーバは、特定の会社が管理するものではなく、SIPサービスを提供しているISPがSIPユーザと結びつけて各ISPに配置することを前提としている。また、m2m-xユーザの認証ならびに接続先解決は、既存のメールサーバ同様に、お互いのマネジメントサーバが相互接続をして、それぞれの信頼関係において実行することとなっている。だからこそ、m2m-xはスタンダードとなり、ISPが採用できるように環境を整えていく必要がある。

 ただし、ISPが率先して採用していくには、機器メーカが先に対応製品を出すことを望むだろう。また、機器メーカが製品を出すには、ISPにおける採用実績を先に求めることになる。この卵が先か状態でのにらみ合いには、業界での団結で解決するしかないだろう。

 m2m-xを中心としたネット家電の具体的なスケジュールとしては、年内に商用化をめざしたいとしている。対応する機器を作るメーカーにとってみては、m2m-xを使うと安全で手軽に今すぐ通信ができるいうことさえ実証でき、そこからヒット商品が生まれれば、v6対応は急速に広がることだろう。主要ISPがm2m-xマネージメントサーバをたちあげ、対応製品が登場してくるならば、この分野も順調にスタートすることだろう。

タカラが作ったIPv6ベースの糸電話
タカラが作ったIPv6ベースの糸電話。オフフックと同時に指定した相手に接続するため、m2m-xの認証を利用している。広帯域を生かし、音声信号だけではなくデータ信号も流せる。デモでは、接続したリモコンロボットを電話口で話ながらリモコン操作をした
《公家幸洋》

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