【Embedded Technology Vol.10】会場はマイクロソフト vs. Androidの様相 | RBB TODAY
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【Embedded Technology Vol.10】会場はマイクロソフト vs. Androidの様相

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ET2009のマイクロソフトのブース
  • ET2009のマイクロソフトのブース
  • ET2009のマイクロソフトのブース
  • NECによるパチスロ機
  • 組込み機器でHD再生
  • デンモクもCE
  • FUNAIが参考出展していたPND
  • CEマシンでもIE8が動いて、FlashやSilverlightが動く
  • ホンダ ギャザス(純正ブランド)もWindwos Embedded採用
 11月18日から20日まで開催されたEmbedded Technology 2009では、さまざまな新製品や技術の展示が行われていたが、今回の特徴はAndroidを搭載した端末や製品と開発ソリューションの展示が増えてきていること。Androidは携帯電話用のOSというのは組込み機器の世界では通用しないようだ。

 そして、それにもまして今回、マイクロソフトやパートナー企業が力を入れているのは、Windows Embedded CE6.0 R3と来年リリースが予定されているWindows Embedded 2011だ。マイクロソフトでは、あらゆるデバイスにWindowsを搭載することで、家電製品の高性能化と付加価値サービスの強化、キオスク端末、サイネージにリッチなUX(ユーザーエクスペリエンス)を搭載することによるサービス向上と新しいビジネスの創出、産業用システム・産業用端末の操作性アップやビジネスプロセスとの連携強化などをうたい、積極的なブース展開を行っていた。

 そのマイクロソフトのブースからいくつかの展示をピックアップして紹介しよう。まず、参考出品のコーナーでは、NECによるパチスロ機のデモが行われていた。実体はCE6.0 R3搭載のアミューズメント機器用のボードだが、パチスロのグラフィックや高度な確率計算などを実装したものだ。最近のパチンコ業界は、アニメやドラマ、映画とのタイアップ機が主流となっている。このような場合、組込み機器でも映像コンテンツの表現力と開発効率の面で、Silverlightによる3DCGやWindowsプラットフォームによる開発環境が威力を発揮するという。

 続いて、台湾のVIAというグラフィックボードメーカーとシャープによる省電力型のハイビジョンディスプレイの試作機だ。見た目はただの液晶パネルだが、組込み機器向けに省電力でありながらフルHDの再生が可能だ。デジタルサイネージ、ゲーム機への応用が期待される。そして、第一興商のカラオケルーム用のリモコンは、実際の搭載例として展示されていた。デンモクiDはWindows Embedded搭載だったのだ。

 また、船井電機はPND(Personal Navigation Device)を参考出展していた。FUNAIのPNDにもWindows Embeddedが搭載されている。

 続いて、デジタルという会社のボードの展示では、OSにCE6.0 R3を搭載したものにIE8をインストールし、FlashのプラグインとSilverlightを実行するというデモが行われていた。

 カーナビのコーナーでは、日本の主だったカーナビメーカーが主力機種を展示していた。アルパイン、パイオニア、パナソニック、三菱電機、ビクター(KENWOOD)など、現在ほとんどのメーカーが何らかの形でWindows Embedded Automotiveによるカーナビをラインナップしている。パナソニックは最上位機種にAutomotiveを採用している。採用OSの切り替え時にはバグやパフォーマンスの問題が出やすいが、一度採用すると、次からの開発効率が変わるという。また、ホンダのギャザズという純正ブランドのカーナビにAutomotiveが採用されたことも紹介された。高価な上位モデルだけでなく廉価な純正ブランドカーナビにもAutomotiveの採用が進んでいるということだ。ホンダのinternavi対応のカーナビで、Automotiveを搭載したモデルもすでに存在している。

 ストレージやファイアウォールなどのネットワーク機器へのWindows Embeddedの採用も進んでいるようだ。サーバ本体のOSだけでなく、アプライアンス製品にWindows Embeddedを搭載するパターンだ。ここでの注目はバッファローのNAS製品にWindows Embeddedが搭載されたモデルが発売されたことだという。バッファローのNAS製品は米国ではトップシェアを誇るそうで、そこにLinuxサーバではなくWindowsが搭載されたことは画期的とのことだ。

 一般的な組込み系のボードでは、ARMやATOM搭載のものにもWindows Embeddedの実装は進んでいるとして、各社のボードの展示も多かった。関連して、開発環境やツールもパートナー企業が提供し始めている。組込み系では、機器を実際に制御するリアルタイムOSとアプリケーションレイヤのためのミドルウェアや上位レイヤのために、仮想化技術の採用も進んでいる。バーチャルロジックのVLXは、ゲストOSにリアルタイムOSとWindows Embeddedとをサポートしてくれる。YDCでは、Windows Embedded用のICE(In Circuit Emulator)やトレーサーというデバッグツールを開発し、リリースしている。

 Androidは、オープンプラットフォームによるローコストと開発コミュニティによって製品化が進んでいる。一方Windows Embeddedは、豊富な機能とマイクロソフトによるサポート、アプリケーション開発におけるノウハウの蓄積やソリューションの活用によってPOS、キオスク端末、カーナビなどへの採用を広げている。台数ではPCやサーバとはケタ違いの組込み機器での戦いからも目が離せない。
《中尾真二》
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