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【仮想化最前線】現場担当者が聞く日本HPの仮想化と実際

 サーバの仮想化によるリソースの有効利用が注目される一方で、現場のエンジニアのなかには「実際のところ運用負荷が増えるのではないか」「移行にあたってはいろいろな制約があるのでないか」といった疑問をもつ人も多いだろう。今回は、仮想化を検討している弊社システム担当者が、日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)のインフラソリューションマーケティング本部 小桧山淳一氏に、VMwareおよびHP製品に関する様々な質問をぶつけてみた。

インタビュー風景
インタビュー風景

──本運用でサーバを仮想化している企業はまだ少ないですね。

やはり仮想化すると運用が難しくなりますからね。まずコンテンツが確実に増えます。ですから、今のHPの視点は「仮想化技術」ではなく「仮想化環境」に移っていて、マーキュリー社やOpsware社を買収しました。本社のアン M. リバモア(エグゼクティブ・バイス・プレジデント、テクノロジー・ソリューション・グループ)は、引き続きデータセンターの運用や管理を行ううえで足りないものは企業買収によって充実させていく、と明言しています。

──「仮想化に期待するな」という声もあります。

それには「仮想化をうまく使ってあげなければならない」という発想があるのでしょう。仮想化は魔法のツールでもなんでもありません。仮想化によって、構成管理・キャパシティ管理・障害管理がたいへんになります。つまりITIL(IT Infrastructure Library)の考え方をかなり取り入れていかないと、一般的に運用効率は改善されないでしょう。古いサーバのマイグレーションならあまり気にすることはないでしょうが、がちがちにチューニングしてあったものを仮想環境にのせていいかと言えば、それは検討すべきでしょう。

──サーバの仮想化を検討するにあたって、今はサーバの買い時でしょうか。

基本的にサーバベンダーの製品ロードマップはインテルやAMDのチップの供給のタイミングに依存しています。特に今だから、というのはありません。サーバのエンハンスメントは、我々ベンダーの責任として適時行っていきます。

──インテルチップの仮想化対応によってサーバベンダーの動きに変化が出ますか。

出ないですね。そのチップを使うかどうかはOSベンダーさんとVMwareの問題です。ただし、HPはそれをいかに管理するか、にフォーカスしていますから、サーバ管理ツール「HP SIM(Systems Insight Manager)」は変わっていくでしょう。

──VMwareやXenSource、マイクロソフトなどが、仮想化フォーマットを統一しようという動きがありますが、VMwareの優勢は続きますか。

ここ数年はVMwareが続くでしょう。この動きも、彼らにはVMwareを業界のスタンダードにしてしまおうという狙いがあってのことです。

──XenSourceとの根本的な違いは何ですか。

XenSourceはパラバーチャライゼーションでしたし、SUSEにしろRedHatにしろ、管理パッチをあてないと使えません。一方のVMwareは、VMカーネルという自前のOSをつくってしまいました。ですからハードウェアに依存せず、OSをいじりさえすれば使えます。

日本ヒューレット・パッカード株式会社 マーケティング統括本部 インフラソリューションマーケティング本部 担当部長 小桧山淳一 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社 マーケティング統括本部 インフラソリューションマーケティング本部 担当部長 小桧山淳一 氏
──HPがVMwareを選択した理由は何ですか。

基本的にはボリュームの問題です。現在はIAサーバ系のほうがUNIX系よりも市場占有率が圧倒的に高く、またIA系の場合はボリュームをいかに出すかということになりますから、そうなるともっとも実績のあるVMwareになります。加えて、現時点では他の仮想化ソフトウェアよりもVMwareのほうが実現できることのレベルが高いと言えます。

──VMWareをOEM提供されていますが、通常の販社との違いは?

通常の販社から購入された場合、お客様自身が切り分けを行う必要があります。VMwareがのった瞬間に、ピュアな環境で再現しないとOSベンダーはサポートしてくれません。HPがVMwareとOEM契約しているということはつまり、VMwareのR&Dとコンタクトできるということですので、障害の切り分け作業からサポートに入らせていただきます。また、VMwareへの窓口となって、問題がVMwareに起因するものであればパッチもつくります。価格においても、キャンペーンなどで違いはあるかもしれませんが、ベースは安いはずです。

──サーバをVMwareで仮想化していいかどうかの基準になるものはありますか。

VMware(VMware ESX Server)を使ってピュアなサーバを動かすか、それともVMwareを使って仮想化したほうがいいかという話であれば、VMwareには4CPU/メモリ16GBという制限があるので、これがまずは判断基準になります。VMwareでサポートされないハードウェアというものもありますが、ハードの性能というよりは、CPUの枚数とメモリ実装です。

──VMwareサーバ(VMware ESX Server)の場合、たくさん稼動していると立ち上げられなくなってしまう、などの不安定な動きがあると聞きます。

ESX Server自体よりも、OSに起因すると言えます。Windowsでブルースクリーンになっても、VMwareは干渉していないので検出できません。これを回避するために、マイクロソフトのクラスタを入れるなどの制約が発生してしまいます。Linuxでも同じです。ですから、VMwareに起因するところの心配はほとんどいらないと思います。もちろん、ドライバを直接たたいていたり、CPUの製造番号やMACアドレスでライセンスを取得していたりすると、立ち上がらなくなりますが、最近はそういったことをしているケースはほとんどないでしょう。

──VMotionはサーバのパフォーマンスに影響しませんか。

VMotionは常にメモリに必ず同期をとらせるので、100%がピュアだとすると、5%とか10%程度のパフォーマンス低下は見られると思います。VMotionはもともと、ハイアベイラビリティ用ではなく、マイグレーション用です。本当にミッションクリティカルなシステムでの使用は注意が必要でしょう。よくあるのは、SLA(サービスレベル・アグリーメント)がまったく異なるアプリケーションやサービスを1台のサーバに集約してしまい、メンテナンスでアウトになってしまうケースです。ただしこれはVMwareに限ったことではなく、クラスタなどの通常の仮想化を使ったシステムでも同じことです。

日本ヒューレット・パッカード株式会社 マーケティング統括本部 インフラソリューションマーケティング本部 担当部長 小桧山淳一 氏
──現在、無料のPCエミュレータ「VMware Player」で簡易的な開発環境をつくっているのですが、ESX ServerのVirtual Machineとのファイル互換はありますか。

細かな機能は使えませんが互換性はあります。

──VMwareをブレードサーバとセットで提案されることが多いようですが。

ブレードサーバではなければならないという理由はありません。エンクロージャあたりの実装密度の高さと電源効率のメリットからご提案させていただいています。

──ブレードサーバの場合、エンクロージャが故障すると丸ごと変えなければならないのではという心配があります。

HPのエンクロージャは、ケーブリングや回転するパーツをいっさい切り離していますから、丸ごと変えるという事態は基本的にはありません。電源ユニットやスイッチ類も交換できるパーツとして入っていますし、設計しだいで様々な冗長構成をとることができます。

──1Uずつ購入する場合と、ブレードにして増やしていく場合、電源効率がいいのはどちらですか。

基本的にはブレードです。最新の「c3000エンクロージャ」や「c7000エンクロージャ」は、もともとHPのデータセンターで使う予定でした。電源事情は米国も同じで、最初から省エネをコンセプトとして開発されています。使っていないCPU、あるいはCPUの状況によっては電源を落とすなどの機能が、エンクロージャに備わっています。(補足1)

(補足1)「c3000エンクロージャ」は電源自体も新開発し、電源効率を高めています。同じ8台のサーバ同士での比較ならば、ブレードサーバのほうが確実に電源効率はよくなります。導入台数が1、2台で、将来的に拡張の予定もなければラックやタワー型のほうがいい場合もありますが、4台以上のサーバを導入するケースや、増設の予定があるケースでは、日本HPとしてはブレードサーバをお勧めしています。ブレードサーバはケーブリングのやり直しが不要ですし、管理効率も向上します。(日本HP広報)

──ブレードへの移行も考えてはいるのですが、サーバをある程度まとめてリプレイスできるような機会がなく、現実的には2〜3カ月に1台リプレイスする状況です。それに用途や部門が異なるサーバを1つのブレードにまとめるのは管理上難しいです。

日本企業は予算の取り方が部署単位ですから、これがネックになっています。HPもかつてはそうでしたが、今ではITが予算を持つようになっています。日本企業には、お金も技術もわかるCIO、つまりITのトップがいないので、ITが予算を持つようになるのは非常に厳しいですね。

リプレイスのコスト面に関して言えば、HPでは下取りサービスを提供しています。現在他社でリース中の残額を精算するファイナンスリースなどでリプレイスのサポートをご提供しています。

──旧式のエンクロージャで、最新CPUを搭載した将来のブレードが使えますか。また、1Uずつ買う場合と比べて、ブレードの場合は何年持つかが懸念されます。

旧式のエンクロージャも、最新のc-Classのブレードを問題なく使えます。(補足2)

(補足2)HPのブレードは、5年先を見すえた技術で設計することをコンセプトにしていますので、向こう5年間は使えるとお考えいただけます。もちろん5年を過ぎてなお市場の技術の平均レベルを満たしていることを目指していますが、技術革新の進捗度に因るところがあり断定はできかねるということで5年としています。ブレードでなくても、将来もっと新しい技術が出てくれば買い替えが必要になるでしょうし、実際には1Uだから、ブレードだからという基準では判断できないところではないでしょうか。(日本HP広報)

──仮想−物理間の移行ツール「Server Migration Pack(SMP)」は環境によってできる、できないがありますか。

OSとアプリケーションを含めた環境がVMwareにのるものであれば問題ありません。SMPは、ハードウェアが古くなり、あまり使われていないサービスだけど止められない物理サーバを仮想環境に移行する、といった用途には最適のツールです。VMwareはV2V(仮想サーバから仮想サーバへ)のコピーができることも特長です。テープを使って1から再インストールするといった作業は現実的ではありませんし、SMPを使う/使わないでは大きな差です。

──「VMware Capacity Plannerアセスメントサービス」は実際はどういうことをするのですか。

複数台のサーバを仮想化によって統合したときの費用対効果を定量的に分析するサービスです。既存の稼動サーバ上に「VMware Capacity Planner」をインストールし、30日間のCPUの利用状況やディスク容量の統計データから推奨構成をレポートします。

──SANのストレージをVMwareとセットで提案されることが多いようですが。

お客様の規模によるもので必須条件ではありません。

──1つのストレージを複数のサーバにつないでまとめて参照させたいと考えています。同時アクセス数の制限はありますか。

最近ではディスク側にキャッシュを持たせて高速化していますから、ディスクの性能ではなく、SANのスイッチにどれくらいのものを使うかに依存します。

──ストレージのバックアップソリューションはありますか?

OpenView系の製品では様々なソリューションを用意しています。(補足3)

(補足3)ディスクストレージのなかで、サーバからはライブラリとして見えるモデルもあります。バックアップソフトウェアからはテープとして制御しますが、実際はディスクにデータが書き込まれています。こういったモデルを使うとバックアップ時間も大幅に短縮できますし、いろいろな構成が可能になります。また、バックアップスキルをお持ちでないお客様にも簡単にバックアップしていただける製品として、ストレージ装置にバックアップ機能を搭載し、SANとNASの両方の機能を備えた「All-in-Oneストレージ」もあります。

あるいは、LTO4のテープドライブなら1本で1.6TBを1時間半から2時間でバックアップできます。最初にフルでバックアップすれば、以降はスナップショットを使って差分を取れますから、テープバックアップも昔ほど時間はかからなくなっています。

ディザスタリカバリの方法は、予算と要件に応じて様々です。「ディスクアレイXPファミリ」などは、マルチベンダー対応なので他社製品を仮想化することができ、古いディスク装置も含めてすべてを1つのストレージプールとして見せることができます。ですから、各サーバから見ても、使っているディスクの所在はまったく意識しないで済みます。このためディスクの使い漏れが起きず、また人手でディスクスペースを管理する必要がなくなります。
(RBB TODAY 2007年10月25日 00:37)
キーワード: 仮想化 VMware VMotion データセンター 日本HP

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