トリプルプレイに進むCATV、広域連携の波広がるか— “0AB〜J”IP電話をきっかけに | RBB TODAY
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トリプルプレイに進むCATV、広域連携の波広がるか— “0AB〜J”IP電話をきっかけに

エンタープライズ その他
講演を行う総務省 情報通信政策局 地域放送課の田口和博氏。連携の必要性や、ケーブルテレビというブランドを消費者に浸透させる必要性を語った
  • 講演を行う総務省 情報通信政策局 地域放送課の田口和博氏。連携の必要性や、ケーブルテレビというブランドを消費者に浸透させる必要性を語った
  • プライマリ電話サービスの構成図
 2月10日、ジェイコム札幌本社において、プライマリIP電話の見学会が開かれた。この見学会には関東圏などからケーブルテレビ事業者も招かれ、J-COMが展開しているプライマリIP電話サービスのシステム構成などについて熱心な質問をおこなっていた。

 ケーブルテレビは日本で「ブロードバンドインターネット」を最初に実現したインフラであり、今またBSデジタルや地上デジタル放送でも重要な位置を占めつつある。

 しかし、ケーブルテレビは当初、郵政省(当時)の方針のもと、おおむね市区町村単位で区切られた提供エリア内で独占的なサービス提供をおこなってきた。このため各社が地域密着でのサービスをおこなえる一方で、規模は小さくとどまることになり、CATVインターネットやデジタル放送、IP電話など、ケーブルを使用したサービスが拡大してくるにつれ、設備負担が各事業者に重くのしかかることになった。

 こうした状況が、ケーブルテレビ各社を広域連携へと動かしている。

 たとえばJ-COMは、CSデジタル放送については札幌にマスターヘッドエンドを置かず、JMCマスターヘッドエンドのある東京(練馬)と札幌の間を光ファイバで接続、270Mbpsの帯域を使用して映像を伝送している。これは、マスターヘッドエンド新設には数億円の投資が必要なことが理由だという。また、「プライマリIP電話」(固定電話の番号体系“0AB〜J”が使用でき、警察・消防への緊急通話にも対応する電話サービス)を実現するために必要な、シグナリングゲートウェイやメディアゲートウェイと呼ばれる装置は“CMTSより高価”ということで、投資額はかなり大きなものになる。

 これらを、数百〜数千世帯規模の地域密着型ケーブルテレビ事業者が導入することは困難だろう。ジェイコムが他の事業者を招いて見学会を催したのも、地域各社と連合することでサービスを共通化し、コストダウンを目指す動きであろう。

 あわせて業界団体で現在進められているのが、オールケーブルネットワーク構想だ。これは、日本ケーブルテレビ連盟が推進する、ケーブルテレビ事業者の広域連携に向けたプランである。

 こうした広域連携に向けた動きは、ケーブルテレビのサービス全体を大きく向上させる可能性もある。見学会ではデジタルセットトップボックス(STB)にDOCSISモデムを内蔵することや、HDDレコーダ機能付きSTBの提供といったプランが紹介されていたが、こうした新デバイスの開発においても、採用事業者が増えることによる調達コストの引き下げが期待できる。また、ビデオオンデマンド(VoD)サービスなどでもコンテンツ調達を有利におこなえるだろう。

 テレビ・ネット・電話の「トリプルプレイ」が進む中、広域連携への動きが、今後、より明確に出てくるものと思われる。
《伊藤雅俊》
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