保護システムは事業者間でおおむね合意、現ユーザの不利益はなさそう —DSL作業班第9回 | RBB TODAY
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保護システムは事業者間でおおむね合意、現ユーザの不利益はなさそう —DSL作業班第9回

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 DSLのスペクトル管理のありかたを検討する情報通信審議会 DSL作業班の第9回会合が開かれ、これまでの作業班の議論をふまえての報告書骨子案について検討がなされた。

 今回の議論では、「遠距離で利用されるDSLについては方式を制限しない(何でも使っていい)」という特例措置について多くの時間が割かれた。これは、遠距離ではそもそも干渉の影響を受ける側のADSLがサービス不能となることから、影響を与える相手がいないのだから与干渉の懸念はないという考え方によるものだ。

 議論はおもにReachDSLを想定したものだったが、ReachDSLをサービスメニューで提供している長野県協同電算(JANIS)とソフトバンクBBは、遠距離(4〜6km以上)で制約を受けることがないようにしてほしいとの要望をおこなった。二社とも、現在のユーザ分布として、4km以遠になるとReachDSLのユーザの比率が高くなるという。

 遠距離を「特例として無制限とする」という意見に対しては、近距離についても特に制約はかけなくてもよい(近距離ではG.992.1系ADSLの方がReachDSLより高速なので、わざわざReachDSLが選ばれることはないと見られるため)とする意見も出された。

 その一方、「無制限」とすることは、まったくの新方式が大きな影響を引き起こす可能性があって不安だという意見も出された。これはイー・アクセスからの指摘で、現在提供されているReachDSLや周波数オーバーラップ方式はともかく、ITU-Tで現在検討が進んでいる「READSL」は、米国仕様のものは一部の周波数帯で他サービスに強い影響を及ぼすおそれがあるという。

(※ ReachDSLはデータ転送量によって出力信号が強くなったり弱くなったりするため定量的に干渉を把握しづらいという特徴があるが、少なくとも現在の960kbpsバージョンのReachDSLはおおむね問題はない、との見方で各社は一致しているようだ。)

 前回から今回にかけての議論では、遠距離でサービスできるDSL技術が保護されるようにしようという方向性や、現在のサービスが採用するDSLは、いずれも(TCM-ISDNと比べれば)相互の影響が少ないとの認識で参加事業者はおおむね一致した模様。

このままいけば、従来「未確認方式」と呼ばれてきた各種のDSL方式(周波数オーバーラップ方式やReachDSL)は、いずれも制限なしでサービス提供が可能となる見通しだ。

 特にReachDSLは、線路長が長い/伝送損失が大きい/S/N比の悪い回線でも「使える」DSL技術であり、遠距離ユーザにとって非常に重要である。これに制約がかからない方向で議論が進んでいるのは、エンドユーザにとってもうれしいところだろう。

 4月22日に予定されている次回会合では、報告書案のとりまとめが予定されている。
《RBB TODAY》
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