大ヒット中!韓国ドラマ『涙の女王』の魅力とは? | RBB TODAY
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大ヒット中!韓国ドラマ『涙の女王』の魅力とは?

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Netflixシリーズ「涙の女王」独占配信中
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 第4次韓流ブームのキッカケとなった一作『愛の不時着』を手がけた脚本家パク・ジウンの最新作『涙の女王』の人気が鰻登りだ。“財閥”、“格差恋愛”、“不二の病”、など韓国ドラマでは繰り返し登場してきたネタで構成されているというのに、なぜこれほどまで夢中にさせられてしまうのか? 今回は、1話から8話までのあらすじをざっと振り返った上で、ヒットの理由について考えを巡らせてみた。 (以下、ネタバレあり)

■筆者プロフィール
山根由佳
編集者・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo



主役たちの破局と財閥一家の転落が描かれる前半戦



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 クイーンズ百貨店の新入社員ペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)は、態度の大きなインターン生チョン・ヘイン(キム・ジウォン)と出会い、恋に落ちる。結ばれる2人だが、実はヘインはクイーンズグループの孫娘。ヒョヌが逆玉の輿に乗った形でゴールインしたのだった。順調を愛を育んでいた2人だったが、第一子の流産を機に寝室が別となり、夫婦仲は冷え切る。精神を病むほど追い詰められたヒョヌはヘインに三行半を突きつけようとするが、その直前にヘインから余命僅かであると告げられてしまう。親友キム・ヤンギ(ムン・テユ)からの助言もあり、ヒョヌは残りの月日を何とか耐え忍び、ヘインに遺言状を書き換えさせようと考える。甲斐甲斐しい夫に戸惑うも内心喜ぶヘイン、そしてヘインへの愛が復活していくヒョヌ。2人の関係は改善の兆しを見せるが、ヒョヌの離婚計画が明るみに。治療を受けられず夫の裏切りも知り絶望するヘインに生きる気力を持たせるため、ヒョヌはわざとヘインを怒らせ、最終的に離婚が成立してしまう。

 ヘインとヒョヌの関係が一歩進んで二歩下がるのと並行して進むのが、ヘインの大学同期である大手投資家ユン・ウンソン(パク・ソンフン)の計画だ。物語冒頭、大手海外ブランド出店を成功させるため、キーマンであるウンソンと組むことにしたヘイン。ヘインの家族たちも彼のことを気に入り、家族同然のビジネスパートナーとして迎え入れる。彼らの懐に入り込んだウンソンは、一家の法の番人であるヒョヌを陥れ、クイーンズグループの筆頭株主の座を手に入れることにも成功。ヘインの祖父でグループの創業者であるホン・マンデ(キム・ガプス)は、長年の愛人であり実はウンソンの母だったモ・スリ(イ・ミスク)によって昏睡状態にさせられ、クイーンズグループ創業一家はグループから締め出されてしまう。

“めでたし”から始まる現実的な夫婦描写に共感



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 日本では3組中1組が離婚、韓国では2組中1組が離婚、というほど、年々離婚率が高くなっているそうだ。私の周りにも離婚経験者はおり、また既婚者で離婚を望む声もよく聞く。このように離婚が身近なトピックスとして存在する中、「結婚してめでたしで終了!」という展開の物語には、私のように少し冷めた目で観てしまうという方も多いのではないだろうか。

 『涙の女王』には財閥や不治の病など浮世離れしている要素もあるが、主人公夫婦のやり取りは結構リアルだ。悲しみなど何かしらの対処法が少し異なり、冷戦状態になってしまった時。まだ交際したてのカップルなら関係改善に努めるかもしれないが、すでに誓約済みである夫婦の場合には、「これで別れることはないだろうから放置しても良いだろう」と互いにあぐらをかき、愛が薄れていくこともある。ヒョヌの親友である離婚弁護士ヤンギの「愛して結婚したのに結婚すると愛は消える」「独占契約が問題」「独占(契約)なら努力しない」という台詞が言い得て妙である。特に彼らのように2人とも悪くない場合、自分から折れるのはかなり困難なことだ。本当はお互いに愛情があっても寂しい思いを抱えている。でも、歩み寄るにはプライドを捨てなくてはいけないし、勇気もいるしエネルギーもいる。『涙の女王』は、そんな夫婦の意地の張り合いやすれ違いの描写が共感を誘う作品だと思う。

主演2人の“涙”の演技が秀逸



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 題名が示唆する通り、本作では“涙”がよく登場する。最初に涙を流すのは、ヒョヌの方だ。離婚をしたいと親友に愚痴を言いながら酒を飲み、「僕が可愛いせいでホン・ヘインに惚れられた」と顔を歪めて号泣する滑稽なシーンであった。だが、これ以降に登場する泣きのシーンは胸に迫るものばかりだ。ヘインは流産後、「自分には泣く資格はない」と気を張るようになり、その強がりな気持ちが夫婦間の溝を生み出してしまった。だが、ヘインがヒョヌの地元・龍頭里で迷子になった時、ドイツの公園で一人寂しい思いをしていた時など、彼女がヒョヌに本心を打ち明け、お互い涙を流し合うことで、仲が戻っていく。“涙”が2人の関係改善の鍵になっているのだ。

 実は、涙を流さないシーンも多い。ヘインの余命宣告を聞いて動揺と安堵の気持ちが入り混じる時、ヘインのインタビュー動画を見ていかに愛されているか気づく時、離婚計画がヘインにバレて自責の念に苛まれる時、本心を隠してヘインを生かすため逆上させる悲痛な時……ヒョヌは喜怒哀楽、様々な感情に刺激されると、目をうっすら潤ませたり、こぼれ落ちる寸前まで涙を溜めることがある。一方のヘインは、隙を見せない性格なゆえ、泣くのを必死にこらえていることが多い。病気や離婚の件で失望や憤怒などを感じた時、顔を歪ませたり目元を真っ赤にしたりしても、涙を流さずに耐え切っている。そんな2人だからこそ、実際にポロポロと涙を落とすことになった場面が、より感情に訴えかけるものになっているのだろう。主人公を演じるキム・スヒョンとキム・ジウォン、両者の細やかな“涙”の演技がとにかく素晴らしい。

多彩なサブキャラたちへの期待感



 韓国の財閥令嬢がパラグライダーで北朝鮮に不時着し、現地将校と恋に落ちる『愛の不時着』では、令嬢を取り巻く韓国の人たちに将校を取り巻く北朝鮮の人たち、と大勢のサブキャラクターたちが登場。人情味溢れる彼らの物語もとても魅力的で、時には笑いを、時には感動を与えてくれた。その点で『涙の女王』も構図が似ており、主なサブキャラクターは、ヘインの家族である財閥一家の人々と、ヒョヌの家族である龍頭里の人々に分かれている。

 8話までに各キャラクターの人となりが分かったところで、遂に9話目において全員集合する様子。文化の異なる人たちが一挙に集まったことで生まれる様々なギャップや意外な化学反応がきっと作品世界をもっと豊かにしてくれることだろう。個人的には、両家族の中で最もパンチの強い2人―ヘインの叔母ホン・ボムジャ(キム・ジョンナン)とヒョヌの姉ペク・ミソン(チャン・ユンジュ)―が、互いにライバル視してお酒対決をすることになり、最終的にマブダチへとなる流れを期待している。
《山根由佳》
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