建設経営の伴走型AI・DX共創企業であるクラフトバンク株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:韓 英志、以下クラフトバンク)は、全国の中小建設企業(社員数5~100名、法人かつ職人を正社員として雇用する企業)の経営者・事務員・職人1,924名を対象に、中小建設業の経営実態に関する調査「クラフトバンク総研 中小建設業経営実態調査2026」(以下「本調査」)を実施しました。
長引く物価高や労務費の高騰が中小企業の経営を圧迫し、現場の担い手不足解消に向けた「賃上げの原資をどう確保するか」が社会的な課題となっています。本調査では、業績動向や受注単価の変化などを通じて、中小建設業の経営実態を調査しました。その結果、物価高が続く中でも、価格転嫁できた企業とそうでない企業の間で、業績に明確な差が生じている実態が明らかになりました。
本調査の詳細は複数回にわたってお伝えします。第1回となる本リリースでは、業績動向と価格転嫁の実態に関する調査結果をご紹介します。

■ 調査結果サマリー
今回の調査で判明した主な結果は、以下の通りです。1. 業績動向
「業績拡大」企業は32.8%、「業績縮小」企業は17.6%で、この「拡大3割・縮小2割」の構造は2023年から4年間続いている。一方、年商1億円未満の企業では「業績縮小」が「業績拡大」を上回った。
2. 価格転嫁
「単価が上がった」と回答した業績拡大企業は69.2%、業績縮小企業は32.3%にとどまり、価格転嫁の成否が業績を分けた。
3. 価格交渉
価格交渉が行われた割合は、業績拡大企業で78.0%、業績縮小企業では47.5%にとどまった。
4. 経営管理体制
現場別原価管理が「できている」と回答した企業は、業績拡大企業で84.0%、業績縮小企業では59.0%と、約25ポイントの差が見られた。
5. 資材影響
中東情勢によるナフサ系資材の欠品・入荷遅延は過半数で「問題なかった」とする一方、民間住宅工事メインなど商流によって影響に差が見られた。
■ 調査結果1. 業績は「拡大3割・縮小2割」の構造が4年間続く(N=1,749、「わからない」除く)
直近1年間(2026年)の勤務先企業の業績動向について全回答者1,924社に聞いたところ、「拡大した」が32.8%、「横ばい」が49.6%、「縮小した」が17.6%でした(「わからない」を除くN=1,749)。この構造は2023年から4年間ほぼ変化しておらず、物価高が本格化した2024年以降も「拡大約3割、縮小約2割」という分布が続いています。

年商規模別に見ると、規模が大きいほど業績拡大率は高く、縮小率は低い傾向が見られます。年商1億円未満の企業は業績拡大が23.5%、業績縮小が25.6%で、5区分中唯一「縮小」が「拡大」を上回りました。

■ 調査結果2. 業績を分けた要因:価格転嫁の成否(N=632、経営者のみ)
調査対象のうち経営者(N=632)に対し、直近1年間の受注単価の変化を確認したところ、業績拡大企業では69.2%が「単価が上がった」と回答した一方、業績縮小企業でその割合は32.3%にとどまり、明確な相関が見られました。
なお、所在地の人口規模別に業績拡大企業の割合を確認すると、東京23区で37.4%、人口5万人未満の地方でも32.4%と大きな差は見られませんでした。

■ 調査結果3. 価格交渉に「向き合った」かどうかで業績に差(N=632、経営者のみ)
経営者(N=632)に、発注者や元請けとの価格交渉の状況を確認したところ、業績拡大企業では78.0%が「価格交渉が行われた」(発注側からの申し入れ32.6%+自社からの申し入れ45.4%)と回答した一方、業績縮小企業で「価格交渉が行われた」と回答したのは47.5%(発注側からの申し入れ20.2%+自社からの申し入れ27.3%)にとどまりました。
■ 調査結果4. 経営管理体制の「現場別原価管理の状況」に差(N=1,749、業績が「わからない」を除く)
価格転嫁の成否は、価格交渉の状況だけでなく、現場別の原価管理という経営管理の基本業務にも、業績による差が見られました。業績拡大企業では84.0%が現場別原価管理を「できている」(一部できている53.0%+完璧にできている31.0%)と回答したのに対し、業績縮小企業で「できている」と回答したのは59.0%(一部できている42.0%+完璧にできている17.0%)で、両者の差は約25ポイントでした。
【参考データ】中東情勢・ナフサ系資材の欠品影響(N=1,924、複数回答)
記録的な資材価格の高騰が続く中、特に2026年3月以降は中東情勢の悪化により塗料や断熱材などナフサ系資材の価格上昇や供給に対する懸念が高まっています。中東情勢悪化によるナフサ系樹脂(塗料・断熱材・防水材など)の欠品影響(価格上昇は含まない欠品のみ)について、実際にどのような影響が出ているのかを全回答者1,924社に聞いたところ、「欠品・入荷遅延については問題なかった」が50.8%と過半数を占め、資材欠品の影響は限定的でした。

ただし、商流(主な受注先の種別)によって影響には差があります。塗料・断熱材・防水材などナフサ系資材を多用する民間住宅工事メインの企業では56.5%が何らかの欠品影響を受けており、公共工事メイン(43.4%)と比べ13.1ポイント高い結果となりました。

次回(第2回)では、建設業の賃上げの最新動向をお伝えします。
【コメント】クラフトバンク総研 所長 高木 健次
熊本県の地震、全国的な豪雨など、2026年は災害が相次いでいます。災害が多い日本では建設職人(技能者)を中心とした建設業の担い手確保が社会全体の課題です。担い手の確保には職人の賃上げが必要であり、賃上げのためには中小建設業の利益改善、単価アップが不可欠です。「儲かる建設会社を増やすことが現場で働く人の賃上げにつながる」と言えます。2020年ごろから建設資材価格の上昇が続いていますが、2026年3月以降は中東情勢悪化に伴う建設資材の欠品や価格上昇(ナフサショック)など、資材価格の高騰と連動して、発注者と価格交渉を行い、価格転嫁を進められるかが経営上も重要です。
本調査では物価高の中で発注単価が上がっているかどうか、前年に続き調査を行いました。中小建設業の「単価が上がった」回答は全体の50%でした。しかし年商1億円未満の企業では「単価が上がった」回答は32%に下がり、企業規模による価格転嫁の格差が明確になりました。他方で年商が小さい企業でも、適切に原価管理を行い、価格交渉を行っている場合は価格転嫁が進む傾向にあります。
また、調査結果2.で示した通り、市町村の人口規模別に業績拡大企業の割合を見ても、東京23区で37.4%、人口5万人未満の地方でも32.4%と大きな差はなく、「都会だから伸びる」「地方は厳しい」と単純に言えるわけではありません。
「会社規模が小さいと厳しい」「地方だからうまくいかない」ではなく「当たり前をやりきる」ことが重要と考えられます。
【調査概要】

【利用条件】
記載のデータを引用・転載いただく場合は「クラフトバンク総研 中小建設業経営実態調査2026」と出典を明記してください。
【クラフトバンクについて】https://corp.craft-bank.com/
クラフトバンク株式会社は、内装工事会社をルーツとした建設経営の伴走型AI・DX共創企業です。「建設業を、時代と共に、儲かりつづける業界に」を目指し、33都道府県に住む現場の実態を知る専任担当が、経営管理から採用・労務のデジタル化まで、ツールの導入にとどまらない伴走支援を全国で提供。70以上の金融機関との提携と、建設業界専門調査機関「クラフトバンク総研」を通じて、業界の構造課題に正面から向き合っています。
【クラフトバンク総研について】https://souken.craft-bank.com/
クラフトバンク総研は、2021年4月に設立したクラフトバンク株式会社の建設業界専門の調査・研究機関です。建設業界のデータベースと独自の取材網を活用し、業界の現状と未来を分析・発信しています。業界経営者や専門家向けに、データ分析(業界動向予測・人手不足・職人単価など)、経営者インタビュー、業界トレンド、ラジオ・Podcast「デジタル建設ジャーナル」などを提供。全国紙・NHKや民放キー局の情報番組・建設専門紙など各種メディアへの情報提供・監修実績もあり、建設業全体の発展への貢献を目指しています。
【報道関係お問い合わせ先】
クラフトバンク株式会社
広報 菅沼
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URL:https://tayori.com/f/craft-bank
【会社概要】

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