- シリコンからアプリケーションに至るフルスタック全体での新たなイノベーションにより、独自の価値と事業継続性の向上を実現

【米国ニューヨーク州アーモンクおよびドイツ・ミュンヘン - 2025年7月8日(現地時間)発】
IBMは、次世代のIBM(R) Power(R)サーバーである「IBM Power11」を発表しました。プロセッサーからハードウェア・アーキテクチャー、仮想化ソフトウェア・スタックにわたるイノベーションによって再設計されたPower11は、オンプレミスやIBM Cloudでのシームレスなハイブリッド・デプロイメントのために、企業が求める可用性、レジリエンシー、パフォーマンス、拡張性を提供できるように設計されています。
長年にわたり、さまざまな業界の企業が、最もミッション・クリティカルでデータ集約型のワークロードをIBM Power上で実行しており、特に銀行、医療、小売、政府機関では重用されてきました。AI時代への移行に伴い、多くの企業は新たなテクノロジーやソリューションの大きな波に直面しています。IDC社の調査によると、2028年までに10億もの新しい論理アプリケーションの導入が予想され、これらのシステムの急増は、企業に新たな複雑性をもたらすと予測されています[1]。IBMは、ハイブリッドクラウドの柔軟性を備えたシンプルで常時稼働の運用を実現し、AI時代において企業が競争力を維持できるよう、IBM Power11を構築しました。



Power11は、IBM Powerプラットフォーム史上最もレジリエンシーに優れたサーバーとして設計されており、可用性は99.9999%です[2]。また、システム・メンテナンス時の計画的ダウンタイムをゼロにし[3]、IBM Power Cyber Vaultによってランサムウェア脅威の1分未満の検出を保証する[4]など、計画的ダウンタイムとサイバー・インシデント関連で生じるダウンタイムの両方に対応し、事業継続性の新たな水準を設定します。
Power11では、ハイエンド、ミッドレンジ、エントリー・クラスのサーバーとIBM CloudのIBM Power Virtual Serverが、初めて同時に提供開始されます。IBM Power Virtual Serverは、Powerワークロードのクラウド移行を迅速化するソリューションで、RISE with SAP向けのハイパースケーラー・プラットフォームとしても認定されています。また、Power11は、AI集約型推論ワークロード向けに構築されたオンチップのIBM Spyreアクセラレーター(2025年第4四半期に提供開始予定)をサポートする最初のIBM Powerサーバーとなります。IBM Spyreアクセラレーターは、Power11、IBM z17、LinuxONE 5といったIBMのエンタープライズ・システムのポートフォリオ全体で利用可能となり、高度なAIアクセラレーションを提供し、ハイブリッドクラウド全体でのAIの拡張を支援します。
Power11は、自律型運用をサポートすることで、インテリジェントなパフォーマンスを向上させ、複雑さの軽減、ワークロードの効率性向上を実現します。また、Power11は、Power9と比較してコア性能が最大55%向上しており[5]、エントリー・システムおよびミッドレンジ・システムではPower10と比較してコア数に応じたキャパシティーは最大45%増加します[6]。Power11で実現したこれらのパフォーマンス向上により、企業は柔軟性とセキュリティーを強化しながら、自動化による企業プロセスの変革が可能になります。
Power11では、以下の顧客価値を提供します。
- システム・メンテナンスのための計画的ダウンタイムがゼロ:Power11は、コストのかかる計画的なダウンタイムを回避し、運用リスクを軽減するソリューションを企業に提供します。自律的なパッチ適用やワークロードの自動移動といった高度なテクノロジーにより、重要なアプリケーションを停止させずに計画的なシステム・メンテナンスを実施できます。これにより、IT担当者はシステムのアップグレードの計画、テスト、実行に時間を費やす必要がなくなり、より価値の高い業務やイノベーションに集中して取り組めます。さらに、生成AIを使用してIBM Concertと連携し、運用リスクの特定、実用的な洞察の提供、セキュリティー・パッチ管理をはじめとする修復の自動化を支援します。IBMのグローバル・インフラストラクチャー・サポート・プロバイダーであるIBMテクノロジー・ライフサイクル・サービス(TLS)は、AIを活用してこの機能を補完し、プロアクティブなシステムの健全性監視、ダウンタイムの削減、システムの信頼性やパフォーマンスの最適化を支援するプレミアム・サービスを提供します。
- IBM Power Cyber Vaultでランサムウェア攻撃を1分以内に検出:IBM Power Cyber Vaultソリューションは、米国国立標準技術研究所(NIST)のサイバーセキュリティー・フレームワークに準拠した統合サイバーレジリエンス・ソリューションであり、サイバー攻撃の特定、保護、検出、自動対応を支援します。データの破損や暗号化をもくろむサイバー攻撃から保護するために、プロアクティブな不変スナップショットを自動的に取得、保存、テストする機能を、ユーザーが定義したスケジュールに従って実行します。また、NIST標準に準拠した耐量子計算機暗号化技術を内蔵しており、 HNDK(Harvest Now, Decrypt Later:今、収集して、後から解読する)攻撃やファームウェアの整合性攻撃からシステムを保護するよう設計されています。
- AI統合によるビジネス・プロセス変革:Power11は、内蔵型の推論用オンチップ・アクセラレーションを備えたAI対応インフラストラクチャーを提供し、IBM Spyreアクセラレーターを通じてミッション・クリティカルなAIワークロードをサポートするよう拡張できます。また、Red Hat OpenShift AIとオープンソース・ソフトウェアやツールキットの広範なエコシステムと組み合わせることで、ハイブリッド環境全体でAIの運用に必要な柔軟性とパフォーマンスを提供します。アプリケーション開発のさらなるモダナイゼーションを推進するため、IBM watsonx Code Assistant for iは、開発者が重要なRPGアプリケーションを拡張し、より簡単に、より生産性高く開発できるよう支援します。また、2025年末までに、オープンでハイブリッドなデータレイクハウスであるwatsonx.dataが、Power11でも利用可能になる予定です。watsonx.dataは、構造化データと非構造化データの統合、強化、管理を通じて、AIの精度を高めます。
- 効率的なITで時間とコストを低減:Power11は、自律型プロセスで計画的ダウンタイムをゼロにし、IBM Power Cyber Vaultをサポートするだけでなく、ITスタック全体で大幅な効率化を実現します。一方、エネルギー効率の面では、Power11の1ワット当たりのパフォーマンスは同等クラスのx86サーバーと比較して2倍[7]となっており、新しいエネルギー効率モードでは、Power11の最大パフォーマンス・モードと比較して、サーバー効率が最大28%向上します[8]。
IBM Power Systems担当 ゼネラル・マネージャーのトム・マクファーソン(Tom McPherson)は、次のように述べています。「IBM Power11は、エンタープライズ・コンピューティングのあり方を大きく変えます。Power11を利用することで、お客様は喫緊のビジネス・ニーズに合わせたイノベーションによって、AI時代に迅速に対応できます。IBMは、自社のフルスタックを活用してハイブリッドクラウド、AI、自動化の機能を提供するとともに、重要なワークロード向けの信頼できるハイブリッド・インフラストラクチャーとして数十年にわたって築いてきた実績をさらに強化しています」
MR Williams社 テクノロジー部門バイス・プレジデントのジャスミン・カチマルク(Jasmine Kaczmarek)氏は、次のように述べています。「Power上でwatsonx Code Assistant for iを使うだけで、わずか20分でレポートを調査し、フィールド・ロジックの追跡、計算の理解、問題の文書化ができました。その前日に熟練開発者が6時間かかっていた業務を18倍のスピードで成し遂げられたと考えると、本当に驚くべきことです。このような生産性向上こそ、Power11が設計された目的だといえます。プラットフォームに組み込まれたAI拡張ツールにより、開発者が自信を持って迅速にコア業務のアプリケーションのモダナイゼーションを進められることにより、持続可能なビジネス価値の向上につながります」
GuideWell社 シニアITマネージャーのウィリアム・アラレイ(William Allarey)氏は、次のように述べています。「GuideWellは、フロリダの人々が質の高い医療を受けられるように取り組んでいます。IBM Power11の新たな自動化機能により、計画的ダウンタイムなしでより迅速かつ頻繁なメンテナンス・アップデートを実施し、サーバーのセキュリティー、安定性、最新状態を維持できるため、当社のチームはより良い健康管理サービスの提供に集中できます。さらに、Power11の独自のAI機能と大幅なシステム・パフォーマンス向上により、AIを活用してより明確で迅速な請求処理が可能になります」
Temenos社 最高収益責任者(CRO)のウィリアム・モロニー(William Moroney)氏は、次のように述べています。「TemenosとIBMの協業は、IBM Power上でミッション・クリティカルなワークロードを実行することの価値をすでに証明しています。Power11が提供開始され、AI対応インフラストラクチャーやゼロ・ダウンタイムのレジリエンシー、優れたパフォーマンスを金融サービス業界が享受できれば、その可能性はさらに広がります。今後も継続的なパートナーシップを通じて、ハイブリッドクラウド・プラットフォームとして構築されたPower11上で、お客様の勘定系システムのモダナイゼーションをさらに支援していきます」
IBM Power11は2025年7月25日(米国時間)に提供開始予定です。IBM Spyreアクセラレーターは、2025年第4四半期から提供開始予定です。Power11の詳細は、こちらをご覧ください。
IBM の将来の方向性および意図に関する記述は、予告なしに変更または撤回される場合があり、目標および目的のみを表しています。
当報道資料は、2025年7月8日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。
[注釈]
[1] IDC社:「1 Billion New Logical Applications: More Background」(doc #US51953724、2024年4月)。
[2] POWER11 Processor-Based Systems RASで計算された、Power E1180単一システムの計画外ダウンタイムに基づく。(セクションを参照:99.9999%の可用性)
[3] IBM社内のテストに基づくシステム・アップグレード・シナリオにおいて、多くの項目(VIOS、ホットプラグ・アダプター、I/Oアダプター・ファームウェア、並列システム・ファームウェア更新など)はそのままの状態で実行可能ですが、一部の項目(非並列システム・ファームウェア、ハードウェア・メンテナンスなど)はライブ・パーティション・モビリティー(LPM)サポートが必要となる場合があります。
[4] この保証は、アラートが表示されるまでの時間が1分未満の場合に限り適用されます。修復は、対象製品の費用を上限とするドライブ交換の形で行われます。諸条件が適用されます。
[5] IBM社内の測定に基づき、商用コア・バンキング・ソリューションの実行状況について、IBM Power E950とE1150を比較。
[6] 現在のIBM Power rPerfおよびCPWの推定値に基づき、E1150、S1124、S1122と、それぞれ対応するE1050、S1024、S1022を比較。
[7] IBMの測定結果に基づき、Power11システムにおいて完全に構成されたソケットとメモリーを使用し、計算、ディスク、メモリー・ベースのワークロードを実行する際、最大パフォーマンス・モードとエネルギー効率モードの1ワット当たりのパフォーマンスを比較した結果:E1180(4x10c / 64x64GB DDIMM)、E1150(4x16c / 64x32GB DDIMM)、S1124(2x16c / 32x32GB DDIMM)、S1122(2x16c / 32x32GB DDI)。
エネルギー消費量を最大入力電力に基づいて算出:IBM Power E1050(最大電力5,200W)、HPE Compute Scale Up Server 3200(最大電力4,740W)。
[8] IBMの測定結果に基づき、Power11システムにおいて完全に構成されたソケットとメモリーを使用し、計算、ディスク、メモリー・ベースのワークロードを実行する際、最大パフォーマンス・モードとエネルギー効率モードの1ワット当たりのパフォーマンスを比較した結果:E1180(4x10c / 64x64GB DDIMM)、E1150(4x16c / 64x32GB DDIMM)、S1124(2x16c / 32x32GB DDIMM)、S1122(2x16c / 32x32GB DDIMM)。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、watsonx、Power、Concert、Spyre、z17、Red Hat、watsonx Code Assistantは、 米国やその他の国におけるInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。
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