芦田愛菜主演のドラマ『南田南弁護士は天才肌』が、韓国でも注目を集めている。
2022年に韓国で大ヒットした『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の日本版リメイクだからだ。
芦田愛菜が自閉スペクトラム症の新人弁護士・南田南を演じ、独自の視点で事件を解決しながら成長していく姿を描く。
本日(10月26日)に放送される第2話には、渋谷凪咲がゲスト出演。結婚式でのウエディングドレスをめぐる騒動から、1億円の損害賠償請求に発展する事件が描かれるという。
そんな第2話を前に気になるのが、韓国での評価だ。
何しろ、原作は韓国で最高視聴率17.5%を記録し、主演のパク・ウンビンが百想芸術大賞のテレビ部門大賞に輝いた話題作。その日本版を、原作を生んだ韓国のメディアはどう見たのか。
韓国メディアの報道を読み比べると、芦田愛菜の演技、原作との違い、さらには人物の表現方法まで、それぞれ異なる視点から作品を捉えていることがわかる。
芦田愛菜の演技に高評価、韓国版との違いにも注目

まず注目したいのは、芦田愛菜の演技に対する評価だ。
韓国メディア『OSEN』は10月21日、日本版が原作の主要な設定を忠実に再現していると紹介。そのなかで、主演の芦田愛菜についても肯定的な評価を示した。
同メディアは、芦田愛菜がこれまでさまざまな作品で優れた演技力を見せてきたことに触れ、今回も主人公特有のショートヘアのスタイリングに加え、独特の話し方や視線の動かし方など「繊細なディテールを完璧に表現した」と伝えている。
一方、同日付の『スポーツ京郷』は、パク・ウンビンと芦田愛菜の演技表現の違いに注目した。
パク・ウンビンについては、視線の動きや細かな口調、表情の変化を繊細に調整し、登場人物の内面を深く表現したと説明。これに対し、芦田愛菜が演じる南田南については、「比較的目を大きく開き、表情も豊かで、より明るく愛らしい印象を与える」との評価を紹介した。
また、両作品の映像表現にも着目している。
韓国版では、顔に陰影をつけるなどして主人公の内面を描いていた一方、日本版では明るい照明を多く使っていると指摘。こうした演出の違いによって、作品全体が与える印象にも差が生まれていると紹介した。

つまり、両メディアが注目したのは、単に芦田愛菜がパク・ウンビンの演技を再現できているかどうかだけではない。
同じ設定の主人公でありながら、演技や演出によって異なる人物像が生まれている点にも目を向けているのだ。
キンパがおにぎりに、リメイクならではの難しさ
韓国メディアが関心を寄せたのは、主演女優の演技ばかりではない。
10月24日付の『韓国日報』は、韓国版と日本版の違いを詳しく紹介し、リメイク作品に求められる独自性について分析した。
象徴的なのが、主人公の好物だ。韓国版でウ・ヨンウが好んで食べていたキンパは、日本版では塩おにぎりに変更された。また、韓国版で回転ドアを通過するのに苦労していた場面は、日本版ではエスカレーターに置き換えられている。
『韓国日報』は、こうした変更を単なる韓国文化から日本文化への置き換えとしては捉えていない。
「現地化とは韓国的な要素を日本的な要素に置き換えるだけの作業ではない。原作でその場面が果たしていた役割を理解し、新たな環境でも同じ感情や意味が伝わるように再構成する過程なのだ」と論じている。

ただし、原作に忠実であればよいというわけでもない。同メディアは「原作に忠実であろうとするほど模倣という評価を受ける可能性が高まる。特にウ・ヨンウのように大衆に強い印象を残したキャラクターであれば、比較の目はさらに厳しくなる」と指摘した。
すでにパク・ウンビンが強烈な印象を残しているだけに、芦田愛菜には原作の魅力を受け継ぎながら、自分自身の南田南を作り上げる難しさがあるというわけだ。
「演技に正解はない」韓国メディアが示した別の視点
一方、さらに踏み込んだ視点を示したのが、10月22日付の『女性新聞』だ。
同メディアは、日本版の主人公について、自閉スペクトラム症の人らしく見えないという批判が出ていることに注目。その評価が本当に妥当なのかを検証した。
記事では、「パク・ウンビンと芦田愛菜は、自閉スペクトラム症の特性を表現する方法に違いを見せた」とし、「体を縮こまらせた姿勢で細かな動作を繰り返しながら視線を動かすウ・ヨンウに対し、ミナミは背筋を伸ばした姿勢で、ときおり身ぶりを交えながら、自然に視線を向ける。第1話だけでも、2人の俳優による自閉スペクトラム症の解釈の違いが確認できた」と分析している。
そこで記者が取材したのが、実際に自閉スペクトラム症の家族がいる人々だった。
15歳の子どもを持つ母親は、芦田愛菜が演じる南田南について、「うちの子はミナミの表現により近い。目もよく合わせるし、話し方もそれほどたどたどしくない」と語った。
また、自閉スペクトラム症の親族と暮らす別の人物も、メディアで一般的に描かれる姿と、実際に接している人の特徴は必ずしも一致しないと説明した。
つまり、パク・ウンビンの表現と異なるからといって、芦田愛菜の演技が不正確だとは限らないということだ。

『女性新聞』は、韓国版が放送された当時も、パク・ウンビンの演技に対して一部の当事者家族や研究者から疑問が寄せられていたことを紹介している。
そして、最後に示した結論が印象的だ。「パク・ウンビンの演技にも、芦田愛菜の演技にも正解はない」。
4媒体の報道から見えてくるのは、日本版に対する単純な絶賛や酷評ではない。
『OSEN』は芦田愛菜の細かな演技表現を評価し、『スポーツ京郷』は韓国版との人物像や映像演出の違いに注目。『韓国日報』はリメイクの独自性という課題を指摘し、『女性新聞』は、そもそも2人の演技を一つの基準で比較することに疑問を投げかけた。
原作への敬意と、日本版ならではの新しさ。その両方が求められるなか、芦田愛菜が演じる南田南は、韓国でもひとまず一定の評価を得ているように見える。
第2話以降、芦田愛菜がどのような南田南を作り上げていくのか。原作を生んだ韓国メディアの評価にも、引き続き注目したい。
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