戻りたい本人と、復帰を明言しない事務所。
半年にわたって活動を休止してきたK-POPアイドルと所属事務所の間で、ついに法的争いが始まった。
8人組ボーイズグループALPHA DRIVE ONE(ALD1)のキム・ゴヌが、所属事務所WAKEONEを相手に訴訟を起こしたのだ。
10月25日、WAKEONEが公式声明を発表した。キム・ゴヌとの間に「立場の相違」があることを認めた一方、グループについては引き続き7人体制で活動する方針を明らかにした。
4月の活動休止から約6カ月。復帰も脱退も発表されないまま時間が過ぎるなか、何が起きていたのか。
今回の訴訟によって、これまで外部からは見えにくかった両者の“溝”が浮かび上がってきた。
「戻りたい」から提訴?
今回の騒動でまず注目したいのは、キム・ゴヌが起こした訴訟の内容だ。

韓国メディア『聯合ニュース』などが10月25日に報じたところによると、キム・ゴヌは最近、WAKEONEを相手に「地位確認請求訴訟」を提起した。
これは、自分が特定の法的地位にあることを、裁判所に確認してもらうための訴訟だ。
『聯合ニュース』は今回の訴訟について、キム・ゴヌがALPHA DRIVE ONEのメンバーとしての地位を改めて確認し、活動再開を求める狙いがあるとみられると伝えた。また、ほかの韓国メディアは、キム・ゴヌが事務所に復帰の意思を伝えていたものの、望んだ対応が取られなかったことが訴訟につながったと報じている。
K-POPアイドルと所属事務所の法的争いというと、専属契約の解除や独立を求めるケースを思い浮かべる人もいるだろう。だが、今回報じられたのは、その逆ともいえる状況だ。
事務所を離れるためではなく、グループに戻ることを望んで法的手段に踏み切ったとみられているのだ。
もちろん、訴訟の詳しい請求内容やキム・ゴヌ本人の主張がすべて明らかになったわけではない。それでも、復帰を望んでいるという報道は、半年間続いてきた活動休止の意味を改めて考えさせる。

そもそも、キム・ゴヌが活動を休止したのは今年4月のことだった。発端となったのは、デビュー前のコンテンツ撮影現場での不適切な発言だ。
当時、WAKEONEは、キム・ゴヌがマイクの電源が入っていることに気づかず、不適切な表現で不満を漏らしたと説明。特定の人物に向けた非難や人格攻撃ではなく、独り言だったと釈明した。
本人も「未熟な発言によって、多くの方にご心配をおかけした」と謝罪し、自身の言動を深く反省する姿勢を示した。
活動休止に至った経緯には、確かな理由があった。問題は、その後の「6カ月間」だった。
事務所は「協議していた」
キム・ゴヌの活動休止後、ALPHA DRIVE ONEは残る7人で活動を続けてきた。

新たなアルバムの発売やイベントなど、グループの活動が進む一方、キム・ゴヌの復帰時期や今後の処遇について、ファンが明確な答えを得られない状況が続いた。
そのため、復帰時期が示されない状況に対し、一部ファンからは事務所がキム・ゴヌを事実上放置しているのではないかという不満も出ていた。
ところが、10月25日の公式声明でWAKEONEは、これまでの対応について別の説明を示した。
「当社はキム・ゴヌの今後の活動方向に関して、具体的なスケジュールやコンテンツを含めた、さまざまな方策を用意し、協議を続けてまいりました」
つまり、事務所側の説明によれば、何もせずに放置していたわけではなく、水面下で活動に関する話し合いを重ねていたことになる。
ただし、協議は合意に至らなかった。WAKEONEは続けて、「今後の活動方向を調整する過程において、互いの立場に相違があり、法的手続きが進行する事態に至りました」と明かした。
注目したいのは、その後の説明だ。事務所は「現在活動中の7名のメンバーが、安定した環境で音楽やステージに集中できるよう支援し、予定されている活動もやはり支障なく続けていけるよう、最善を尽くします」と表明した。
その一方、キム・ゴヌについては「今後の芸能活動に向けた話し合いも続けてまいります」と述べるにとどまった。
つまり、7人による活動継続は明確に示されたものの、キム・ゴヌのグループ復帰は約束されていない。
ここに、今回の問題の難しさがある。

事務所にとっては、現在活動している7人のスケジュールや活動環境を守ることも重要だろう。しかし、それと活動休止中のキム・ゴヌをどうするかという問題は、別に解決しなければならない。
そして、その答えが出ないまま、両者は法的手続きに進むことになった。
6カ月の空白は、いつまで続くのか
今回の声明に対して、SNS上ではWAKEONEへの批判や説明を求める声が相次いでいる。
ある韓国語の投稿では、「復帰させないまま、契約関係はどうするつもりなのか」と疑問を呈し、「復帰を認めるのか、難しいなら契約関係をどう解決するのか、はっきり説明してほしい」と訴えた。
別の投稿も、復帰か脱退かが決まらないまま、本人の今後が不透明な状態で6カ月が経過したことを批判している。
もちろん、こうした反応は一部ファンの見解であり、事務所が実際にキム・ゴヌを放置していたと証明するものではない。また、具体的な協議の内容が明らかになっていない以上、合意に至らなかった責任がどちらにあるのかも判断できない。
それでも、ファンの不満には共通する部分がある。
知りたいのは、事務所がこれまで何をしてきたかという説明だけではない。キム・ゴヌがこれからどうなるのかという答えなのだ。

そもそもALPHA DRIVE ONEは、オーディション番組『BOYS II PLANET』を通じ、世界中のファンの投票によって結成されたグループだ。キム・ゴヌも最終4位でデビューを勝ち取った。
つまり、事務所が一方的に選んだメンバーではなく、ファンが自らの意思で選び、デビューを後押しした存在なのだ。そう考えると、ファンの投票で選ばれたメンバーの復帰や今後の処遇について、事務所はどこまで自らの判断で決められるのか、という疑問も生まれる。
何よりも、K-POPグループで活動休止が長引くと、奇妙な状況が生まれる。脱退が発表されたわけではないなかで、本人のいない状態で新曲が発売され、イベントが開催され、グループの活動が続いていく。
そうして時間が過ぎれば、正式にはメンバーでありながら、実際の活動には参加しない状態が当たり前になってしまう。
まるで、脱退が発表されないまま、グループから少しずつ存在が見えなくなっていくような状況だ。
今回、キム・ゴヌが訴訟に踏み切ったことで、その曖昧さが改めて浮かび上がった。
不適切な発言をした以上、本人が反省し、責任を受け止める必要はある。だからといって、活動休止の終わりがいつまでも見えなくてよいということにはならないだろう。
キム・ゴヌは復帰を望んでいると報じられ、WAKEONEは協議を続けてきたと説明する。それでも、半年を経て両者がたどり着いたのは、活動再開ではなく法的争いという厳しい現実だった。
戻りたいと願う本人と、7人体制で活動を続けるグループ。はたしてキム・ゴヌが再び8人目としてステージに立つ日は訪れるのか。その答えは、半年が過ぎた今も見えていない。
◇ALPHA DRIVE ONE(ALD1) プロフィール
2025年7月に放送開始したオーディション番組『BOYS II PLANET』から誕生した多国籍ボーイズグループ。最終順位順にイ・サンウォン、ジョウアンシン、ホー・シンロン、キム・ゴヌ、ジャンジアハオ、イ・リオ、チョン・サンヒョン、キム・ジュンソの8人で構成された。グループ名は、ALPHA(最高を目指す目標)、DRIVE(情熱と推進力)、ONE(一つのチーム)を意味しており、ステージ上で「K-POPカタルシスを届ける」という強い思いが込められている。略して「ALD1」とも。2026年1月12日、1stミニアルバム『EUPHORIA』で正式デビューした。
■ファン投票で誕生したグループ…“活動中断”ALD1・ゴヌめぐり対立激化



