男子サッカー北朝鮮代表のアジア大会初戦が行われたウェーブスタジアム刈谷。観客席には在日コリアンなど約300人の応援団が駆け付けたなか、一人の元代表選手も熱戦を見つめていた。
現役時代にJリーグや韓国Kリーグの水原三星などで活躍し、2010年南アフリカW杯にも出場した元北朝鮮代表MFの安英学(アン・ヨンハッ)さんだ。
9月16日に行われた愛知・名古屋アジア大会のグループB第1節。北朝鮮は中国を相手に前半に先制しながらも1-2で逆転負けを喫した。しかし、試合終了後も応援団からは選手たちに「ピルスン、チョソン(必勝、朝鮮)」など温かい声援が送られていた。
会場現地で取材に応じた安英学さんは今回、応援のため横浜から駆けつけたという。「(北朝鮮代表の)後輩たちがこうして日本に来る機会もあまりないので応援に来ました。何年に一度しかないような試合なので、やはり特別な意味があります」と語る。

代表選手にエール「ぜひ男女同時優勝を」
安英学さんが特に目を向けたのは、スタンドで声援を送る応援団の存在だ。「朝鮮学校に通う学生たちも今や4世、5世になりますが、彼らが自分のアイデンティティをしっかり持って、自分の国の言葉や歌で一生懸命応援している姿を見て、とても嬉しく思います」。この日は愛知県内の朝鮮学校に通う小中学生や高校生、また多くの在日コリアンが会場に足を運んだ。
男子サッカー北朝鮮代表は日本入国後、愛知朝鮮中高級学校で練習を行い、同校生徒と交流する機会も設けた。「(試合会場では)普段なかなか会えない在日同胞たち、学生たちの声援がダイレクトに届いて、(愛知朝高での練習時は)一緒に歌を歌って。本当に選手たちの大きな力になっていると思います」と安英学さんは話す。
そのうえで、北朝鮮の選手たちの戦いぶりについては「思った以上にいいですね。しっかりボールを保持して、そんなにバタバタもしていない。落ち着いてゲームをコントロールし、チャンスも何度も作れています」と評価した。
ちなみに、代表の指揮を執るリ・グァンチョン監督は現役時代のチームメイト。安英学さんはボランチとして、リ・グァンチョン監督はセンターバックとして、南アフリカW杯など数多くの代表戦を共に戦った。そんなかつての戦友が指導者としてピッチサイドに立つ姿を、温かい眼差しで見つめていた。

北朝鮮代表の後輩に「ぜひ優勝してほしい」とエールを送る安英学さんは、「韓国や日本といった強豪もいますが、同胞や学生たちの応援を力にして、決勝までなんとか勝ち進み、男女同時優勝を果たしてほしい」と期待を込めて語った。
(文=姜 亨起/ピッチコミュニケーションズ)
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