中小芸能事務所から生まれたガールズグループが、一度のバズをきっかけに大きく浮上する。
K-POPではこれまで何度も見られてきた光景だ。
ただし、本当に難しいのはその先だろう。突然集まった世間の視線を、どうグループそのものの人気に変え、次の仕事へつなげていくのか。
その意味で、現在のRESCENE(リセンヌ)の動きは興味深い。
BTSを抑えてついに首位に立ったRESCENE
韓国企業評判研究所が発表するアイドルグループブランド評判で、RESCENEは7月の4位から8月に2位、そして9月には1位まで順位を上げた。
8月1位のBTSを抑えて、ついにトップに立ったのだ。

もちろん、このランキングはビッグデータをもとに算出される独自指標であり、そのまま「K-POPで最も人気のあるグループ」と解釈することはできない。
それでも、一度注目を集めたあとに順位を落とすのではなく、3カ月続けて上昇している事実は目を引く。RESCENEのブランド評判指数は、7月の501万4734ポイントから8月に704万5802ポイントへ約40.5%増加し、9月には822万7982ポイントへさらに約16.8%上昇した。
人気の広がりはランキングだけではない。
日本人メンバーのミナミは9月16日放送のバラエティ番組『ラジオスター』(MBC)で、広告の問い合わせが100件以上届いていると明かした。化粧品やゲーム、ピザ、コーヒーなど幅広い業種から声がかかっているといい、5月だけでも大学祭に約18回出演したという。

RESCENEはいま、「一度バズったグループ」の段階から、明らかにその先へ進み始めている。
過去の“中小の奇跡”との違いは?
過去にもK-POPでは、急浮上して“中小の奇跡”と呼ばれたガールズグループがいた。その多くは、一曲の大ヒットがグループの知名度を一気に押し上げる形だった。
その代表格が現在のBBGIRLS、かつてのBrave Girlsだ。
2021年、オンライン上の動画をきっかけに『Rollin'』が数年前の楽曲ながらリバイバルヒットを記録。音楽番組1位、広告、テレビ出演へと一気に広がり、メンバーが当時、「CMは25本ほど」と明かすほどのブームとなった。

一方、現在のRESCENEには、「この一曲だけがすべてを押し上げた」と言い切れるような一本柱がない。
最初の大きな入口となったのは、リーダー・ウォニの個人YouTubeと、そこから生まれた「巨済(コジェ、地名)ヤッホー」というミームだった。そこから2024年の曲『LOVE ATTACK』が注目され、グループの認知度と人気が上昇していった。
KARAの名曲を再解釈してリリースした『Pretty Girl』では、音楽番組初の1位を獲得している。
ミーム、メンバーのキャラクター、過去曲、新曲、音楽番組、大学祭、バラエティ、広告と、ひとつの大ヒットに人気が集中するのではなく、複数の入口から人が入り、別の出口へ広がっている。
“話題のアイドル”から“商品を動かす存在”へ
重要なのは、一つの話題が終わる前に、それが次の話題や仕事へと接続されている点だ。

「巨済ヤッホー」のミームはグループの認知度を高めるだけでなく、RESCENEが巨済市の広報大使に就任するところまで発展した。
音楽では『LOVE ATTACK』の再評価から『Pretty Girl』へつながり、テレビではミナミが単独で『ラジオスター』に出演。さらに大学祭や広告案件も増えている。
バズが消えずに残っているというより、バズを次の成果へ変換し続けていると表現したほうが近いかもしれない。
その変化を象徴するのが、韓国のコンビニ大手CUとの取り組みだろう。
CUは7月にRESCENEを専属モデルに起用し、9月にはメンバーと共同で開発したベーカリー5商品を発売。メンバー自身が試食やフィードバックに参加し、それぞれの好みを商品に反映したという。限定フォトカードも封入される。

これは、単に「いま話題だから広告に出てもらう」のとは少し意味が違う。
メンバーの個性そのものを商品の企画に組み込み、ファンがその世界観ごと消費できる仕組みにする。“話題のアイドル”として起用されるだけでなく、その個性自体が商品企画に使われ始めている。
それでも、“成功確定”ではない
もちろん、これだけでRESCENEの長期的な成功が保証されたわけではない。
かつて“中小の奇跡”と呼ばれたMOMOLANDのヘビンは、音楽番組1位や大ヒットを経験しても、制作費や活動費などが差し引かれ、実際の収益には簡単につながらなかったと明かしたことがある。
同じく、『Cupid』が世界的大ヒットしたFIFTY FIFTYも、メンバーと事務所の契約紛争や著作権をめぐる問題が表面化し、グループの体制そのものが大きく変わってしまった。
中小事務所発のグループにとっては、一度浮上したとしても、その成功を安定した収益や活動基盤、次の展開へとつなげられるかという別の壁が待っている。

ただ、RESCENEについて少なくとも今いえるのは、最初のバズだけに支えられた状態ではなくなりつつあるということだ。一曲、一つのミームだけに依存せず、音楽、テレビ、広告、大学祭、商品へと人気の出口を増やしている。
“奇跡”を起こすことより、その奇跡を日常に変えることのほうが難しい。RESCENEは今、まさにその段階に入っている。
◇RESCENE プロフィール
韓国人メンバーのウォニ、リヴ、メイ、ゼナ、日本人メンバーのミナミで構成された5人組ガールズグループ。グループ名は「香りで再び(RE)場面(SCENE)を思い起こす」という意味で、大衆の心に長く残る音楽の香りを届けたいというチームの抱負が込められている。メンバー5人全員がビジュアル担当と評されることも。2024年3月に1stシングル『Re:Scene』を通じて正式デビュー。同年12月には東京タワーで日本初イベントを開催した。
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