今季メジャーリーグで注目を集める“韓流ダブルパンチ”が、ここ最近は苦戦を強いられている。
一人はサンフランシスコ・ジャイアンツのイ・ジョンフ。彼は5月29日(日本時間)、敵地コメリカ・パークで行われたデトロイト・タイガース戦に「4番・中堅手」で先発出場したが、4打数無安打1四球に終わった。これで今季の打率は「0.281」から「0.275」に低下した。
この日も快音は響かなかった。相手投手が繰り出すチェンジアップやストレート、カーブなど多彩な球種に対応しきれず、フライやゴロで凡退。7回に四球で出塁したものの、得点にはつながらなかった。
試合もジャイアンツが3-4で敗れ、これでチームは3連敗。現地メディアは「ジャイアンツはトレード市場での補強を真剣に検討しなければならない」と指摘した。打線の立て直しなしに、ナ・リーグ西地区3位という現在の順位からさらに上昇を期待することは難しいという見方だ。

主力復帰で出場機会減らすキム・ヘソン
そしてもう一人、ロサンゼルス・ドジャースのキム・ヘソンも厳しい状況に陥っている。
29日に敵地プログレッシブ・フィールドで行われたクリーブランド・ガーディアンズ戦でキム・ヘソンはベンチスタートだった。相手先発が左腕のコルビー・アラードだったため、右打者のミゲル・ロハスが二塁で先発出場。最後までキム・ヘソンに出番は回ってこなかった。
キム・ヘソンの代わりに出場したロハスは2打数無安打だった。ドジャースは8回に一挙5失点を喫し、4-7の逆転負けを喫している。
キム・ヘソンは今季ここまで打率0.366、OPS(出塁率+長打率)0.895と数字は良いが、直近11試合のうち先発出場はわずか3試合にとどまっている。
トミー・エドマン復帰後の直近6試合で打率0.100に低迷しており、デーブ・ロバーツ監督もキム・ヘソンのユーティリティ性を評価したうえで、ゲームマネジメントの観点から慎重な起用を続けている。

ベテランのロハスやマックス・マンシー、キケ・ヘルナンデスらとのローテーションのなかで、キム・ヘソンは再び“チャンス”を待たなければならない立場となっている。
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(日本円=約164億円)で契約した。愛称は「韓国のイチロー」。
◇キム・ヘソン プロフィール
1999年1月27日生まれ。韓国・京畿道出身。身長178cm。韓国のプロ野球選手。ロサンゼルス・ドジャース所属。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、2021~2024年の4年連続でゴールデングラブ賞(2021年は遊撃手部門、2022~2024年は二塁手部門)を受賞。2025年1月3日、ドジャースと3年総額1250万ドルで契約した。韓国代表では2021年東京五輪、2023年WBC、2023年杭州アジア大会、2023年アジアプロ野球チャンピオンシップなどに出場。登場曲は自身の名前「ヘソン」にちなんで、アニメ『BLEACH』のエンディング曲で知られる歌手ユンナの人気曲『ほうき星』韓国語版の『ヘソン(彗星)』。