【TwilioCon3】1600文字SMS、画像付きMMSに対応するテレフォニーAPI…コミュニケーションをどう変えるか | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【TwilioCon3】1600文字SMS、画像付きMMSに対応するテレフォニーAPI…コミュニケーションをどう変えるか

エンタープライズ モバイルBIZ
Twilio CEO Jeoff Lawson
  • Twilio CEO Jeoff Lawson
  • TwilioCON3
  • SIP APIは発信、着信に対応
  • SIPコールはこれだけでOK
  • SMSを連結し1600文字まで可能に
  • MMS画像を利用したアプリ開発も寛太に
  • インタビューに応じてくれたLawson氏
 テレフォニーAPIのプラットフォームを提供するTwilioが、3回目となるプライベートカンファレンスを開催し、18日の基調講演で同社CEOであるJeoff Lawson氏は、いくつかの新しいAPIを発表した。

 開発ユーティリティでは、「Deploy with Confidence(信頼性のあるサービス展開)」というキャッチフレーズとともに3つの機能が紹介された。ひとつは「Request Inspection」という機能であり、テレフォニーAPIに関するリクエストの正当性や適合の検証を行うデバッキングツールである。2つめは「App Monitor」という開発アプリケーションの動作状況をモニタリングし統計情報などを監視できるものだ。3つめは「App Monitor Alert」であり、App Monitorからの情報のうち、エラーや特定の事象を検出した場合に、警告メッセージをあげてくれる。

 また、これまでTwilioのSIP関連のAPIでは、「SIP Out」というAPIのみで発信しかできず、着信(インバウンド)がサポートされていなかった。今回発表された「Twilio SIP」では着信・発信の両方がサポートされた。

 Deploy with Confidenceに関する新機能やTwilio SIPは、どちらかというと開発者にとってうれしい新機能といえるもおだが、ユーザーにとってもうれしい機能も紹介された。それが「Concatinated SMS」と「Picture MMS with Twilio」だ。

 前者は文字通りSMSを連結(Conatinate)させ、扱える文字数を160文字から1600文字まで拡大させたものだ。後者は写真添付可能なMMSに対応したAPIである。これらの新機能より、スマートフォンで撮影した写真で商品の修理やサポートの問い合わせを行うなど、ビジネス利用での広がりが期待できる。基調講演では、QRコードを送ってTシャツがもらえるというアプリをライブ開発してみせたり、顧客がケーブルの接続状況を写真で撮影し、質問とともにカスタマーサポートにメッセージを送る事例がデモされた。

 なお、メッセージに関する新機能としては、このほかUnicode対応も発表されている。

 日本では、すでにKDDIウェブコミュニケーションズ(KWC)がTwilioプラットフォームを提供しているが、テレフォニーAPIが長文SMSやMMS対応することによるメリットは、日本市場にとっても同じはずである。Concatinated SMSやPicuter MMSについて、日本での展開はあるのだろうか。基調講演のあと、これらの新機能展開を含んだTwilioの日本市場戦略について、Jeoff Lawson氏に話を聞いた。

――基調講演で発表されたConcatinated SMSとPicuter MMS with Twilioについてお伺いします。まず、正式なサービスインはいつになりますか。

Lawson氏:リリースは9月18日(米国現地時間)です。実際のサービスはまずアメリカとカナダを考えています。キャリアとの調整の関係からカナダが最初に使えるようになるでしょう。時期はちょっと早いクリスマスプレゼントといったところです。アメリカは少し遅れてのサービスインになる予定です。

――Picture MMSについて、添付する画像ファイルの制限はどうなっていますか。

Lawson氏:MMSの添付ファイルのサイズはキャリアごとの制限に依存します。したがって、写真を送受信する端末ごとに、契約するキャリアごとにファイルサイズは異なります。TwilioのAPIは、デバイスとキャリアごとに最適なサイズでやりとりするためのリサイズ、変換処理は内部的に行うようになっています。したがって、ユーザーレベル、開発者レベルでもファイルのサイズについて気にする必要はありません。

――Picture MMSを他のファイルフォーマット、音声や動画、PDFなどにも対応を広げる考えはありますか。

Lawson氏:われわれが写真に目をつけたのは、表現力が高くコミュニケーションにおいてそれが多くの情報を短時間で伝えることができるからです。ユーザー体験が広がり、APIのユースケースも増えるでしょう。写真以外のファイルについて、開発者が独自の方法で送信できるように実装してもらっても、もちろんかまいません。しかし、われわれとしても別フォーマットへの対応は積極的に考えて作業をしているところです。vCardやCalendar Invite(SNS等のイベント通知をSMSで携帯電話などに送信するサービス)なども面白いでしょう。

――スマートフォンと親和性の高いSMSの機能が高くなると、プロバイダーメールやキャリアメールの利用が減って、SMSへのシフトが進むことはないでしょうか。

Lawson氏:長文が送れたり、写真添付がしやすくなることで、開発者のアプリの幅が広がり、ユースケースが増えるという点では、SMSがさらに便利になるとは思います。しかし、それぞれ長所・短所があるので他のメールシステムが必要なくなるということはないでしょう。

――これは、日本でTwilioのサービスを展開しているKWCに聞くべき質問かもしれませんが、日本でConcatinated SMS、Picuter MMSをサポートする予定はありますか。

Lawson氏:現在、KWCのチームと日本でもサービスを利用可能にするように鋭意作業中です。

――おそらく日本でSMS、MMSに関連するサービスをプラットフォームプロバイダーが利用したり拡張したりするのは、キャリアとの交渉・強調が不可欠です。アメリカではサービスインにあたって難しい交渉などがありますか。

Lawson氏:Twilioのサービスが増え、便利になることでコール(呼)が増えるので、キャリアにとってもメリットはあります。キャリアはネットワークに対する投資に注力し、プラットフォームプロバイダが機能やサービスを充実させれば、一般企業からのコールに対するデマンドが増えます。コールのユースケースが増え、ワークフローにも組み込まれやすくなるからです。

 日本において、同様な動きをするためには、KWCとのパートナーシップは重要だと考えています。私の意見では、KDDIは関連事業におけるパートナーシップに対して積極的な企業だと思っています。

――今回の一連の発表で、音声、メッセージ、画像などを統合的に扱えるソフトウェア、スマートフォンアプリの開発がさらに容易になったと思います。そして、日本には、それを実現して非常に成功しているLINEというサービスがあります。Twilioとして、今後の事業拡大を考える上で、このようなコンシューマ向けサービスを直接手掛けることはあるのでしょうか。

Lawson氏:Twilioは、Software Peopleに開発プラットフォームを提供し、アプリケーション開発やシステム構築を助ける企業です。エンドユーザーにサービスや新しい体験を提供するのはアプリケーションベンダー、サービスプロバイダであり、Software Peopleです。

――それを聞いて安心した開発者は多いと思います。本日は、ありがとうございました。
《中尾真二》
【注目の記事】[PR]

特集

page top