【IDF Fall 2006 Vol.4】机の上で「Personal Supercomputer」 | RBB TODAY
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【IDF Fall 2006 Vol.4】机の上で「Personal Supercomputer」

エンタープライズ その他
 9月26〜28日の3日間、米国San FranciscoでIntel Developer Forum(IDF)Fall 2006が開催されている。3日目の28日の午前には、「Technology Insight」と題して、IntelのFellowが3名順次登壇し、それぞれテクノロジーをテーマとして講演を行った。
  •  9月26〜28日の3日間、米国San FranciscoでIntel Developer Forum(IDF)Fall 2006が開催されている。3日目の28日の午前には、「Technology Insight」と題して、IntelのFellowが3名順次登壇し、それぞれテクノロジーをテーマとして講演を行った。
  • Tyanのデスクサイド型スーパーコンピュータ(右)が紹介された。画面には、環境汚染の状況をシミュレーションした画像が表示されている
  • Tyanのデスクサイド型スーパーコンピュータの概要
  • Top 500スーパーコンピュータ(HPC: High Performance Computing)の性能向上の経過とPCの性能向上状況をグラフ化したもの。間隔は空いているものの、グラフの傾き(=性能向上のペース)はおおよそ同一であることが分かる
  • 同じ面積のプロセッサ・ダイをどのサイズのコアに分割していくか、という検討の様
  • メモリ・バンド幅の予測と、3Dスタック・メモリのイメージ
  • メモリ・バンド幅の予測と、3Dスタック・メモリのイメージ
 9月26〜28日の3日間、米国San FranciscoでIntel Developer Forum(IDF)Fall 2006が開催されている。3日目の28日の午前には、「Technology Insight」と題して、IntelのFellowが3名順次登壇し、それぞれテクノロジーをテーマとして講演を行った。

 最初に登壇したのは、Senior FellowのStephen S.Pawlowski氏だ。氏は、「Aim High 〜To Peta Scale ... and Beyond!」と題し、「Tera Scale Computing」のさらに次の単位となる「P(ペタ)のスケール」への道のりと、さらにその先を目指す技術の概略に触れた。

 まず同氏はTyan社の「Personal Supercomputer」を紹介した。新しいインテルのQuad-Core Xeonプロセッサを利用しており、InfiniBandによるインターコネクト、Windows Compute Cluster Serverを利用したこのコンピュータは、個人がデスクサイドに設置して利用できるスーパーコンピュータとなっており、大規模な環境シミュレーションなどが実行できる。こうした例を引きながら同氏が強調したのは、「昨日のスーパーコンピュータは今日のパーソナルコンピュータ(PC)」だということだ。同氏は世界のスーパーコンピュータの性能ランキングとして公表されているTop 500リストをグラフ化し、性能向上の傾向からみて、「世界初のPFLOPSコンピュータは2009年にも登場するだろう」と予測した。さらに、同じグラフにPCの性能向上のグラフを重ね、PCの性能はスーパーコンピュータにおおよそ15年遅れているとした。つまり、現在のPCの性能は15年前のスーパーコンピュータのレベルに達しているというわけだ。

 同氏は、こうしたPFLOPS級コンピュータ、また超高速なコンピュータを実現していくために現在検討されている技術要素について紹介した。まず、マルチコアプロセッサの設計に関して、“大きな少数のコア”か“小さな多数のコア”か中間として“大小のコアの混合”というパターンも検討されていることを紹介した。ここでいう大小は、コアの面積、またはコアのトランジスタ数と言い換えてよい。コアの大小で演算性能を比較すると、大きなコアを1とした場合、中ぐらいのコアで5割、小さなコアで3割の性能になる。コアを小さくするとコアの性能も低下するのだが、ソフトウェアが完全に並列化されていることを前提とすると、プロセッサ全体の大きさを同じだとすれば、コアの数が増えることで処理性能が向上し、コア単体の性能低下をカバーできる。この結果、小さなコアを多数集めたコンピュータでは、大きなコアを少数使ったシステムに対して、4倍近い性能に達する可能性がある。

 インテルは基調講演などの場で、簡略化したコアを80個集めたプロセッサの試作品を紹介するなど、「メニイ・コア」(Many Core)の実現に力を入れているが、同氏の講演は、この方針の背後にある技術的な理由を明らかにしたものとなった。

 このほか、プロセッサとメモリの間のバンド幅を確保するために研究されている「3Dスタック技術」では、マルチコアプロセッサとメモリを直接重ねてしまい、プロセッサ・コアがメモリに直接アクセスできるようにしてバンド幅を拡大することを検討していることが紹介されたり、電力消費と信頼性の問題に関する考察が示されたりするなど、コンピュータ設計のさまざまな面に対してさまざまな研究が行われている状況の一端をかいま見せる、刺激に富んだ講演だった。

 なお、同氏の講演に続いて、「Threading and Tuning」と題し、同じくSenior FellowのRichard B.Wirt氏がソフトウェアのマルチスレッド化の話題を紹介した。同氏は、インテルが提供しているマルチスレッド化支援ツールなどを紹介しながら、ソフトウェアをマルチスレッド化し、適切なチューニングを行うことで実行性能を高めることができることを示した。

 最後に、3番目の講演としてDigital Home Groupを担当するFellowのBrendan Traw氏が登壇し、マルチメディア対応が強化されたホームコンピュータ向けのプラットフォームである「Viiv」について紹介した。
《渡邉利和》
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