[WIRELESS JAPAN 2006] WiMAXでもHSDPAでもないモバイルブロードバンド:TD-CDMA技術 | RBB TODAY

[WIRELESS JAPAN 2006] WiMAXでもHSDPAでもないモバイルブロードバンド:TD-CDMA技術

エンタープライズ モバイルBIZ

わが社は、設立当初よりデータ通信に特化した事業ドメインで活動していた。
  • わが社は、設立当初よりデータ通信に特化した事業ドメインで活動していた。
  • TD-CDMAの原理。パケットを時分割で上り下りに非対象に割り当てることでADSLのような無線リソースの使い方ができる。
  • チャネルの共有などリソースの有効活用により、スループットを落とさずに同時接続ユーザー数を大幅に向上させることができる。
  • MIMOや64QAMなどの技術を導入することで、将来的には100Mbpsを目指す。
  • これがMBGだ。この箱の周辺はホットスポットとなりTD-CDMAでインターネットなどにつながる。端末との接続を無線LANではなく有線やBluetoothで接続するMBGも検討中だそうだ。
  • 持ち運べ、高速移動が可能なブロードバンド環境は、さまざまなシーンでライフスタイルを変えるかもしれない。
 有線で100Mbpsが珍しくない時代、PHSによるモバイル通信はブロードバンドじゃない。無線LANはエリアや提供サービスごとに契約したりどうも使いづらい。というような人にうってつけのサービスになるかもしれないモバイルブロードバンド技術について、ワイヤレスジャパン2006の会場でアイピーモバイルの代表取締役社長の杉村五男氏による基調講演が行われた。

 アイピーモバイルは2002年11月に設立された比較的新しい企業だが、2GHz帯周波数の割り当てを受け、早くからTD-CDMAの基地局やネットワークサービスを研究していた。同社は携帯電話市場に参入したものの、設立当初から音声通信ではなく、PCIカードタイプや組み込み型のデータ通信モジュールなどのデータ通信市場でのビジネスをメインとしてきた。

 TD-CDMAとは、IMT-2000の一方式としてITUと3GPPによって標準化された通信方式である。パケットフレームを時分割で、上り下りに振り分けることで非対象の伝送が可能となっている。また、理論上の同時接続数が既存3Gに対して圧倒的に多い。端末どうしのアドホックなネットワークにも使える。3GPPの標準規格であることから、移動体の速度は120km/hまで対応できる。なども特徴だ。ハンドオーバーもハードウェア的に行うので、150ミリ秒ほどの高速な切り替えができる。

 つまりは、携帯電話のデータ通信速度を大幅に上げることができる技術のひとつと思えばよい。現在はセクター内の下り最大スループットで10Mbpsは実現しているという。MIMO技術やチャネル周波数の帯域幅の拡大、多重化・符号化技術の改良などによって、5年後には100Mbpsを目指している。

 さて、TC-CDMA技術によってどのような効果、モバイル環境が実現されるのだろうか。企業やサービスプロバイダにとっては、高速移動体通信というソリューションが増えるメリット、MVMOビジネスの1モデルとして利用できる可能性がある。エンドユーザーにとっては、TD-CDMA技術を投入したMBG(モバイルブロードバンドゲートウェイ)と呼ばれる小さな箱を持ち歩けば、会社や自宅のブロードバンド環境をどこでも使えることになる。

 MBGは、ノートPCやPDA、ケータイなどとは無線LANを使って接続し、TD-CDMAによって周辺の基地局からインターネットなどへの接続を可能にする。写真は試作品だが、講演者がポケットに持ち歩けるほどの大きさだ。つまりホットスポットを自分で持ち歩けるわけだ。

 これによって考えられる応用は、営業先やプレゼン先でネットワークなど借りずに社内と同等なLAN環境を構築できたり、自動車の中でブロードバンドを楽しんだり、例えば、カンファレンス会場やプレスルームなどに、ブロードバンドインフラが整備されていなくても、移動オフィスや移動編集部を簡単に構築できるかもしれない。

 モバイル通信市場は、これからまだ熱くなりそうだ。
《中尾真二》
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