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【特集:電子書籍ビジネス】独自のビジネスモデルとソリューションで電子ブック市場のハードルを下げる——ActiBookがiPhone対応

エンタープライズ モバイルBIZ
スターティアラボ執行役員 WEBソリューション事業部長 小友康広氏
  • スターティアラボ執行役員 WEBソリューション事業部長 小友康広氏
  • スターティアラボ代表取締役 北村健一氏
  • ActiBookのデモ
 2010年は日本における電子ブック元年となりそうだ。米国でのKindleヒット以降、日本の大手出版社(講談社、小学館、角川書店)が電子ブックの規格やビジネスでのアライアンスを表明し、アップルがiPadでこの市場に参入してきた。にわかに盛り上がる電子ブック市場だが、出版社やECサイトが電子ブックサービスを日本で始めようとした場合、どんなソリューションがあるのだろうか。そのひとつである「デジタリンクActiBook(アクティブック)」(以下、ActiBook)を2006年から手掛けるスターティアラボ代表取締役 北村健一氏と、同社執行役員 WEBソリューション事業部長 小友康広氏に聞いた。

——まず、スターティアラボと電子ブックビジネスの出会いについて教えていただけますか。いつごろからこのビジネスに取り組んでいたのでしょうか。

小友:電子ブック市場に参入したのは2005年です。当初はとあるソフトウェアベンダーの電子ブック用のオーサリングソフトの販売代理店としてのビジネスでした。その後、契約ユーザー数で100社前後になるまでビジネスを展開していたのですが、急にそのソフトウェアベンダーが、電子ブックソフトから撤退するということになり、製品のサポートなども打ち切るという話が持ち上がりました。開発元の事情とはいえ、こちらは100社以上のユーザーを抱えているので、そのままにするわけにもいかず、自社で同様なソフトウェアを開発して国内ユーザーに提供することを考えました。

——代理店から開発ベンダーに切り替えるというのは簡単ではないと思いますが、自社製品としての販売はいつからになりますか。

小友:自社製品として、ActiBookをリリースしたのは2006年7月です。確かに、代理店からメーカーに変わるのは大変かと思いますが、親会社のスターティアは、ホスティングやネットワーク周りのSI事業も展開していますし、スターティアラボ自身もWebサイトや各種Webサービスの構築なども手掛けています。電子ブックビジネスでも、ただの代理店としてオーサリングソフトを販売するだけでなく、ユーザー企業の要望や日本市場に合わせるためのカスタマイズもサポートしていましたから、自社開発に移行するのも自然な発想でした。とくに、日本の出版社や雑誌・書籍の流通事情に合わせるため、ユーザー企業からのフィードバックに対応するには、自社で開発したソフトのほうが細部まで手が行き届きます。操作性に関しては、PowerPoint並みの簡単な操作でPDFや画像を電子ブック化できるようにチューンしました。また、配信元のページデザインの自由度を上げるため、UIを含むデザインのカスタマイズも可能です。広告ページやフレームの挿入や、本文から外ページやECサイトなどへのリンク設定もGUIで可能にしました。電子ブックのオーサリングソフトですが、ウェブサイト構築のCMSのように使うこともでき、実際そうしている出版社もあるくらいです。読者、閲覧者の視点で多かった希望は、コンテンツの文字列検索機能ですが、これも実装しました。同様に目次ページからのページ移動機能、ブックマーク機能などもサポートしています。

——2005年から手掛けている電子ブック市場ですが、Kindle発売の前後で市場の変化や動きなどは感じますか。

小友:はい。出版社なども電子ブックに対してポジティブに考えるようになってきたと思います。Kindle以前でも、国内ではマンガなどの電子ブックが普及し始めていたので、コンテンツによっては課金モデルも成立するという、下地もできてきていたのかもしれません。また、ActiBookでは、ソフトウェアのライセンスも一括買い取りか月額固定契約が可能なシンプルなものにしたので、導入企業にとってはハードルが下がったといえるでしょう。従来は、ポータルサイトや出版社などが電子ブックサービスを始めようとすると、オーサリングソフトや配信プラットフォームに対して基本契約料が月額で発生し、かつデジタル化1ページあたりの従量課金と併用となっている場合が普通でした。ソフトウェアも利用ライセンスだけで、カスタマイズができないなどの問題がありました。

——なるほど。そのような問題を代理店時代から現場で感じていたからこそ、自社開発の際に、改善できると考えたわけですね。

北村:ActiBookでは、ソフトウェアを買い切りにすれば、長期的なランニングコストを大幅に下げることができます。月額固定プランでも基本料やページあたりの従量課金がないので、やはりコストダウンが見込めます。カスタマイズについても、有償ですが、スターティアラボのウェブページ制作のノウハウと、現在500社以上のユーザーからのフィードバックの蓄積を活かしたサポートプラン、ソリューションプランも用意しています。オーサリングされた電子ブックコンテンツは、ダウンロードではなく、ストリーム形式での配信になりますが、閲覧者の環境は通常のPC+ブラウザで十分です。余計なプラグインやエージェントソフトは不要なので、潜在的なターゲットはPCでのインターネットユーザーまで広がります。

——そのターゲットにiPhoneを加える計画があると聞きましたが。

小友:計画そのものは2009年の秋ごろから動いていました。昨年の12月にActiBookをiPhoneに対応させるとリリースさせていただきましたが、市場への投入は4月末〜5月を予定しています。PAGE2010の会場ではプロトタイプバージョンのデモを行いましたが、これも非常に好評でした。製品としては、4月にActiBookがiPhone向けの電子ブックコンテンツを生成できるようにバージョンアップされます。ActiBookの買い切り契約の場合、本体の価格が上がることになりますが、サポート契約を結んでいる既存ユーザーには、アップグレード版として新バージョンの差額のみでバージョンアップが可能になります。

——マンガの電子ブックなどで実績のある一般的な携帯電話でなくiPhoneを選んだ理由はなんですか。

小友:携帯電話は、Flash Liteという規格が共通エンジンとして利用できますが、じつは機種ごとの違いや依存箇所が多く、すべての機種に対して動作やパフォーマンスを担保することが困難なのです。それに、2010年末にはLTEのサービスが開始される予定です。そうなれば、下りの帯域はかなり改善されるので、携帯電話やスマートフォンに搭載されているフルブラウザやPC用ブラウザで十分対応できます。つまり、あえて携帯電話向けのActiBookを用意する必要はありません。あとは、単純に携帯電話の画面サイズの問題もあります。ActiBookでは、雑誌なども配信しているので画面サイズでコンテンツが制限されるようなことは避けたかったのです。

 そして、日本という市場を考えると、雑誌などを電子ブックで積極的に見ようというユーザー層とiPhoneを使いこなすようなユーザー層のスタイルがいちばんマッチしていると考えたからです。

——アップルがiPadも発表しています。iPadへの対応も考えていますか。

北村:当然考えています。アプリケーションの互換性が確保されるとのことなので、まったく問題ないでしょう。実は、ActiBookは、出版社の電子ブックサービスだけでなく、一般企業がドキュメントを管理、配信するためにも利用されています。社内文書や大量のカタログを持っている企業、通販サイトが印刷物としてのカタログ冊子の代わりに電子ブックを利用しています。プラットフォームとしての電子ブックはBtoBビジネスでも、応用できるものです。

小友:とくにiPadは、画面が大きいのでコンシューマよりも企業ユースに向いている面があります。業務端末なら持ち運ぶ大きさとしては違和感ないサイズですし、大画面の表現力は現場での端末、情報ツールとしても活用範囲が広いでしょう。ノートPCを営業ツールや業務端末として使っている企業も多いですが、セキュリティやコンプライアンスによって専用端末などに制限されることもあります。このような場面では、iPad+ActiBookによるソリューションの可能性があると思っています。

——新聞社がiPhone向けの記事配信アプリを提供していますが、このようなサービスとの違いはなんでしょうか。

小友:おそらく新聞社のサービスは、アプリ開発や配信プラットフォームの構築に数千万円単位を投資していると思います。ActiBookによる電子ブックソリューションなら、150〜200万円程度からスタート可能です。電子ブックコンテンツの制作や配信のノウハウがなくても、導入時のコンサルティングやシステム構築などもスターティアラボが対応することもできます。中小出版社でも、これまでより少ない投資で電子ブックサービスをスタートさせることができるのではないかと思っています。

——なるほど。ActiBookによる電子ブックは、出版社に新しい販売チャネルを、企業には新しいビジネススタイルを提供してくれる存在になりそうですね。本日はお忙しいところありがとうございました。
《RBB TODAY》
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