【FOE 2010 Vol.10】光ファイバー敷設・線路技術に関するトレンドを公開 | RBB TODAY
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【FOE 2010 Vol.10】光ファイバー敷設・線路技術に関するトレンドを公開

ブロードバンド その他
ネットワーク各部での取り組み
  • ネットワーク各部での取り組み
  • 細径1000心ケーブルの実現
  • 新型地下クロージャ
  • 浸水した地下クロージャ
  • 浸水検知システム
  • 現用/非現用判別技術
  • 光ジャンパユニットの高密度化実装
  • ごちゃごちゃしているユニット例
 なだらかではあるがFTTHへの加入者は増加している。NTT東西の資料によると、平成14年度末から20年度末まで光ケーブル長は3.5倍増加した。しかし、光アクセス網に関わる作業者は減少し、高齢化が進むと予想される。光アクセス網の構築、運用のスキル化と自動化を進めるとともに、高くなる運用コストの低減が急務となっている。

 NTTでは、まず都心部から1000心ケーブルの細径化を行っている。「光ケーブルを通す場合には、普通は一管路に1本のケーブルを入れるが、すでに(大量開通により)1本では間に合わなくなってきている」とNTTアクセスサービスシステム研究所の坪川信氏は話す。管路には従来のメタルなどが入っており、ADSLも含めて運用している場合がある。ここに光ファイバーを通す、つまりあいている空間に光ケーブルを詰めていく形となっている。径を細くすることによりそれが可能となった。従来の径は29ミリ、これに対して細型と呼ばれるものは23ミリだ。径を23ミリにし、3つの穴のあるダクトを用意し3本の光ケーブルを通すことで、一管路3000心が収容できるようにしているのだ。

 また光ファイバーの相互接続部、特に地下光クロージャについては、これまでは頻繁に開けるものではなかった。しかし、光化の時代になり開ける機会が増えてきた。そのため中に水が入る、開けた時のオープン度合いが悪く作業がしにくいなどの欠点も見えてきた。クロージャも新しく開発し、密封構造を高めるなどの工夫がされている。なお、マンホールが水であふれている光景はたまに見かけるところだが、このような状態になると密閉性の悪いクロージャーだと、浸水し使い物にならなくなってしまう。現在では、センサをクロージャーの近くに配置し、局で光の反射(試験光)を利用して水分の含有量を調べるシステムを確立、浸水設備を遠隔から特定できるようにしている。従来は、1つのマンホールが浸水したら、残りの検知が難しかったが、現在では何番目のマンホールが浸水しているかも特定できる。

 作業効率という点では、作業を行う光ファイバーが実際に使われているかどうかの判別技術も重要だ。開通していないファイバーでも光自体はきているため、作業者が配線柱にのぼり、ポート番号についての確認を局と行いながら作業を行っていた。現在ではONUに光折り返しフィルタ(ターミネ—ションフィルタ)が付いており、局側で返ってくる光を検出することで、使われているポートかどうかを判別可能にしている。

 光ファイバーの種類には様々なタイプがあるが、曲げに強いファイバーが求められている。NTTで現行品とされているものが空孔アシスト型(HAF)と呼ばれるもので、コアのまわりに空孔を設けたものだ。曲げ損失が少ないのが特徴で宅内配線にも用いられる。このほか、フォトニック結晶型(PCF)、空気の小さな泡の層をコアの周りに設けるナノストラクチャーリング付与型、トレンチ型などがある。現在NTTが研究しているのが単一モードHAFで、これにより配線作業時に起きやすい光コードのひっかけによる瞬断を防ぎ、信頼性の向上を目指している。

 坪川氏は、技術開発の視点は初期の建設コスト抑制から保守運用の影響が大きいトータルコスト削減へと向かっており、保守技術者の高齢化やメンテナンスフリー化などは日本が世界に先んじて直面する課題でるとしている。
《RBB TODAY》
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