オンデマンド型ECソリューションで中小企業を囲い込む——SaaSベンダーのネットスイート | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

オンデマンド型ECソリューションで中小企業を囲い込む——SaaSベンダーのネットスイート

エンタープライズ その他
ネットスイート代表取締役会長の東貴彦氏
  • ネットスイート代表取締役会長の東貴彦氏
  • NetSuiteの基本概念
  • 役割別ダッシュボード
  • SuiteFlex
  • SuiteScriptによるUIカスタマイズ
 「基本的にはSalesforceと同じSaaSベンダーだが、(NetSuiteは)およそ業務に必要な機能は全部入っている。つまりSuite型で提供する」

 ネットスイート代表取締役会長の東貴彦氏は都内で開催されたセミナーで、プラットフォーム型を強化しているSalesforceとの違いをこう表現した。先日、11月28日、29日にはSaaS Worldが開催されたが、その会場で目立っていたのがネットスイート社のロゴだ。米国カリフォルニア州サンマテオに本社を置くNetSuiteが日本法人を設立したのは昨年。注目を集めている企業のひとつだ。ここでは、以前に開催されたセミナーから、中小企業をターゲットとする同社の戦略を紹介する。
 
 東氏によると同社が日本市場で一番訴求したいのが、オンデマンド型ECソリューションであるという。
「今、小規模ビジネスでEコマースをやろうとしたら楽天とかYahooショッピングとかモール型のサービスに依存するでしょう。当然サービスを利用するからには、それに対する対価が必要です。ショッピングモールに今後も頼って進むべきか?自分自身のWEBサイトでやるべきか?判断がわかれるところだと思います」「ちなみに米国でも欧州でもそうなんですが、ショッピングモールというのはほとんどなくなりました」。

 その原因について氏は、サーチエンジンを挙げる。高度なサチエンジンがあれば百貨店が必要なくなる。軽いEコマースストアプリケーションがオンデマンドソリューションで利用されるようになってきているという。ただし、Eコマースは1人でやるにしても100人でやるにしても、様々な業務が発生する。現在、(日本の中小規模Eコマースは)Eコマースシステムとか、受注システムなど業務ごとのアプリケーションがあり、それぞれにデータベースがあり、それらからデータを切り出しているという。氏は、これをデータのサイロ化という。「会社全体のリアルタイムでダイナミックな動きを把握するのはなかなか難しい。したがって、一連のワークフローに対してひとつのデータウェアハウスを共有する形でであれば、高度な業務フローができる。会社の業務をビジュアル化できる」。

 セミナーの参加者からは、「日本人の感覚からすると、(たとえば)勘定奉行などを導入していた場合、すべてを変更するのはちょっと……という気がするが」との意見がでた。しかし、これに対して東氏は、「(製品では)WEBサービス連携は標準になっているので、連携はできるしそんなに難しくない。米国でも最初は並存させ、徐々に変更している」と説明した。

 NetSuiteの機能は、下の図のように真ん中にデータウェアハウスが存在し、それを囲むように(それを共有するように)様々な機能が実装されている。ただ、ユーザーのエントリーは、Ajaxベースのダッシュボードからはじまる。同じデータベースを共有する役割、たとえば社員、顧客、取引先、代理店に合わせたワークフローが準備されており、これらの役割定義はあらかじめ何十種類かが用意されているという。これらはカスタマイズ可能で、その役割にふさわしいダッシュボードが現れる。

 確かにカスタマイズは求められるとしながらも、東氏は「開発プラットフォームは全面に出していない」と話す。「NetSuiteがいいたいことは、“これだけで全部できますよ”というものを提供したいということ。開発プラットフォームを全面に出すと、今度はそちらのほうに走ってしまい、NetSuiteの良さが出ない気がする。これは企業としてのメッセージ、方向性の違いだ」とSalesforceとの違いを話し、CRM、ERP、EコマースなどBtoB、BtoCに必要な機能なすべてそろっている統合アプリケーションである点を強調した。とはいえ、市場拡大のために開発ツールの強化も行っている。同社は11月末に「SuiteBundler」(スイートバンドラー)を日本向けに提供開始している。開発プラットフォーム「SuiteFlex」の最新コンポーネントで、カスタマイズや外部連携を容易にすることでパートナーの負担を軽減するものだ。今後はパートナーを取り込んだ、市場拡大を狙っていくことは確かな動きだ。

 ちなみに、「SuiteFlex」には上記のほかに大きく3つ用意されている。NetSuite各種機能のコンフィグレーション、パーソナライズ、特定業務向けのカスタマイズに用いられるAjaxベースの対話型設定ツール群「SuiteBuilder」、SOAPベースのWEBサービスAPIによって外部システムやサードパーティーの業務アプリケーションと連携する「SuiteTalk」。カスタムデータテーブル、フォームなど新しいビジネスプロセスを構築するためのJavaScriptをベースとした機能群「SuiteScript」だ。

 ちなみに、米国ではSOHO向け経理ソフト「QuickBooks」からの移行が多く見られるとのことだ。
《RBB TODAY》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top