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なぜ企業がSecond Lifeに進出するのか? オリックス不動産に聞く(1)
7月17日。オリックス不動産はリンデンラボが提供する「セカンドライフ」の仮想空間、リンデンワールドに島を購入し、マンションを建設すると発表した。
セカンドライフといえば仮想通貨「リンデンドル」と米国ドルのリアルマネー取引ができるシステムで知られており、昨年11月にAnshe Chung氏が不動産王として名乗りを上げてから、リアルマネーを稼げるゲームとして少しずつ注目を浴びてきた。クライアントソフトの日本語対応が進むにつれて日本でも利用者が増えており、特に最近は企業の進出が目立っている。
そんな中での実在の不動産会社が進出したとなれば、ついに日本にもバーチャル不動産業者の誕生か、と思った人も多いだろう。セカンドライフで儲けたらマンションに住めるとか、セカンドライフバブルが起きるとか、さまざまな憶測も呼んでいるようだ。しかし、結論から言えばオリックス不動産は“仮想事業”に進出したわけではない。オリックス不動産で今回のセカンドライフの仕掛け人、住宅統括部の永井哲也氏に伺った。
オリックス不動産・住宅統括部の永井哲也氏 ※ クリックで拡大
◆このマンションは売らない!?
----いろいろお伺いしたいのですが、まずは物件についてお聞かせください。今回、セカンドライフで建設する“物件”「サンクタス・ブルーミング・タワー」は、9月着工とのことですが、分譲時期はいつ頃になるのでしょうか。中心価格帯や間取りは?
永井氏:まずは100戸をプレゼントします。
----オープン記念プレゼントですか。
永井氏:はい。現実のマンションの販売センターにいらしてくださった方に差し上げるつもりです。そして分譲の予定はありません。
----えっ、売らないんですか? 賃貸ですか?
永井氏:いえ、賃貸もしません。
----それは意外でした。私たちはオリックス不動産がリンデンワールドでマンション事業を始めるものだとばかり思っていました。
永井氏:私たちはセカンドライフでリンデンドルを稼ぐつもりはありません。
----なるほど。それではオリックス不動産がセカンドライフで何をしたいのか、セカンドライフに“進出”した理由などをお聞かせください。
永井氏:マンション販売にとって広告活動は重要です。私たち広告物を打つ側は常に新しい広告媒体を探しています。セカンドライフがアメリカで新しい広告メディアとして認知され始めていて、日本のユーザーも増えてきそうだ。広告担当者としては、新しいメディアがあれば使ってみたい、広告効果測定をしてみたい。という興味が大きいですね。
----広告媒体だとお考えなんですね。しかし、媒体力としてはどうでしょうか。セカンドライフの人口が600万人で、そのうち日本人が30万人といわれています。30万といえば趣味誌の3から5倍、週刊誌よりちょっと少ないくらいの規模ですね。
永井氏:そうなんですが、ひとりで複数のIDを持つ人がいますから、数字をそれほど重視したわけではありません。ほかの広告媒体のように母数とか属性を気にするのではなくて、「オリックスの住まい」というWebサイトにどれだけ誘導できるか、という部分に期待しています。セカンドライフ自体は、今後2年か3年くらいで延びる媒体だと考えています。
----今すぐに使える媒体だ、というわけではないんですね。マンションを売るための広告ということでほかにはないメリットというと、3Dの良いインターフェイスがあるからモデルルームのように使おう、ということでしょうか。
永井氏:私たちオリックスのマンションは、業界を先駆けた、先進的、独創的なマンションを心がけて作っています。オリックスグループ全体にも「ほかにはないアンサー。」を、という命題があります。その命題に沿う形で、オリックスのマンションは外観や設備でほかにはない先進的なものを取り入れていこうと心がけています。
----なるほど。先進で独創的という部分はセカンドライフに通じますね。
永井氏:セカンドライフの3D空間には現実のような制約がないので、先進性や独創性を表現するために、地上700メートルの高さ、チューリップ型の外観になりました。
サンクタス・ブルーミング・タワー 大型複合施設建設イメージCG
----その中の住戸を100戸プレゼントするわけですね。
永井氏:はい。マンションって、秋の販売が多いんですよ。秋に実際のモデルルームに来場してくれた方にプレゼントを差し上げるキャンペーンを計画中です。もちろん実物のノベルティグッズも用意していますが、そのひとつとして、セカンドライフ内の住所を差し上げようと思っています。「サンクタス ブルーミングタワー 101号室」というような。
----それはいいですね。それをもらえばベーシックアカウントでも“家”がある。
永井氏:セカンドライフには家を持たない人が多いんですよ。
----(システム的に)家はなくてもいいんですが、お気に入りのオブジェクトを置いて眺めたり、部屋を作ったりしてみたいですね。ところで、このマンションにはシアターなども置かれるそうですが。
永井氏:そうです。人が集まる場所、賑わい感の演出としてアトラクションを用意するつもりです。これも無料で楽しめます。
----マネーツリー(リンデンドルをタダでもらえるオブジェクト)を置く予定はありませんか? 即物的というか、人を集めるというとマネーツリーかな、と思いますが。
永井氏:そうですね。でも、そのまま導入したのでは面白くないので、何かアレンジしてやってみたいですね。
◆リアルなマンションも再現する
----シアターでは何を上映するのでしょうか。実際のモデルルームに行くとマンションや周辺の街のプロモーション映像が流れていたりしますよね?
永井氏:シアターでは実際の建設現場の風景を流そうと思っています。たとえば、いまオリックス島にはふたつの建物がありますが、片方は従来の制震構造で、もうひとつは免震構造なんです。その構造の違いも内部で見せられたら面白いね、というアイデアも出ています。
----モデルルームに展示されているパネルの説明を、3Dで全部見せてしまおうということですね。
永井氏:はい。免震構造は体感もできます。アバターが、ですけれど。今回のプロジェクトを始めるに当たって、制作スタッフに実在のモデルルームをいくつか見てもらいました。その中のひとつ、「千葉セントラルタワー」に免震構造の模型がありました。それを制作スタッフがとても気に入りまして、これはセカンドライフ内に再現すべきだ、という話になったんです。
----モデルルームでは伝えきれないものも3Dで見てもらえますね。
永井氏:はい。実は、サンクタス・ブルーミング・タワーだけではなく、これから秋に販売するマンションもこの島の中に再現しようと思っています。
----実在のマンションとそっくりな建物を?
永井氏:そうです。私たちがリンデンワールドに購入した島は(下図参照)、
リンデン島の形を説明する永井氏
こういう形をしています。この、ひとつ飛び出た部分に東京都江戸川区に建設予定のマンションを造るつもりです。
----実際のマンションと同じ建物も建てると言うことですが、すべての部屋を再現すると言うことでしょうか。たとえば、モデルルームの和室のうち、オプションで洋間にできるパターンも見せるというような。
永井氏:そこまでは想定していませんが、3Dで見せたいところがあるんですね。実際のマンションではこの部分に梁が出ているとか、あるタイプでは開口部から景色が見渡せるんだけど、それは図面上ではわかりにくい、小さな間取りでモデルルームでは目立たないけれど、販売住戸数としては多いという場合は見せたいです。あとは共用部ですね。
----エントランスとか、高層マンションではラウンジなどがありますが、そう言う部分はモデルルームでは作りませんね。でも確かに見たい部分です。
永井氏:そうでしょう?
----島を五つ契約されたそうですが、ブルーミングタワーがひとつ、東京都江戸川区がひとつ。ほかの島はどうなりますか。
永井氏:ひとつ飛び出した島以外の4つの島の中央に“チューリップ”が建ちます。
----東京都江戸川区のマンションひとつで島ひとつを使うわけですか。
永井氏:その予定です。プリム(セカンドライフの土地に置けるオブジェクト)の数の制限があるので、隣の敷地にはみ出すことでプリム数不足を補うかもしれません。しっかりとリアルに作ろうと思っているので、プリム数が多くなると思います。
----なるほど、ほかの空間はどうなりますか?
永井氏:ほかの場所もこれから販売する予定のマンションが建つ予定です。
----販売が終わるたびに取り壊して立て直し、でしょうか。
永井氏:それはまだわからないです。構造模型など汎用性が高いものは残すと思いますし。
----作られる方はどんな方ですか? 実際に御社の設計部門の方ですか?
永井氏:セカンドライフに関しては協力会社のスタッフですね。こちらは現実世界にはない物なので、むしろCDやデジタル関係のクリエイターが手がけます。ただ、現実に発売されるマンションについては、もちろんそのマンションの設計を担当したプロがいますから、そのリアルな図面を元にして、CGクリエイターが作ります。
----モデルルームやアトラクションは24時間営業ですか? ガイド役やフロントにはスタッフが常駐するのでしょうか。
永井氏:基本的には24時間オープンします。実際のマンションのほうにはガイド役を置く予定です。
----セカンドライフで不動産というと、100万ドルを稼いだ不動産王が話題になりましたね。いよいよ日本にも不動産長者が誕生するのか、と思いましたが、そういうことではなさそうですね。なんでも無料で楽しめるアトラクションのようです。
永井氏:オリックスグループ全体でもセカンドライフに注目していますが、そこでリンデンドルを稼ごうという考え方はないです。
----1億リンデンドルを稼ぐより、日本円でマンションを売りたいと。
永井氏:そうです(笑)。
----では、セカンドライフ内にあるサンクタス・ブルーミング・タワーの告知はどうされるのでしょうか。
永井氏:セカンドライフ内では特に考えていません。セカンドライフに関するブログと連携したいですね。公式サイトと呼ばれているところには相談しています。
----日本のコミュニティのなかには入会登録システムやチュートリアルを作って、日本人ユーザーを招く仕組みを作っているところもありますが、そういったサービスは考えていますか。
永井氏:そこまでは考えていません。セカンドライフを使って直接お金を稼ぐビジネスをするなら積極的にセカンドライフ人口を増やす仕組みが必要になるでしょう。しかし私たちはリアルな世界、つまりモデルルームに来ていただく方が優先です。だからセカンドライフそのものに誘う仕掛けは用意しません。ただし、この物件がきっかけでセカンドライフに興味を持つ方はいらっしゃるでしょうから、物件のWebサイトではセカンドライフの始め方を紹介しています。
「Second Life進出までの道のり――オリックス不動産に聞く(2)」に続く。
(杉山淳一@RBB 2007年7月31日 20:56)
キーワード:
オリックス不動産
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関連リンク
Second Life進出までの道のり――オリックス不動産に聞く(2)
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岡田彩菜のI Love Second Life
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