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【IDF Fall 2006 Vol.5】初のクアッドコアCPUの性能はデュアルコアの70%向上にとどまる

 9月26〜28日の3日間、米国San FranciscoでIntel Developer Forum(IDF)Fall 2006が開催された。ここでは、基調講演やプレス向けのブリーフィングなどで紹介されたさまざまな話題の中から、主にPCのテクノロジーに関連する話題を紹介する。

●Quad-Coreプロセッサ
 インテルは、“業界初”というQuad-Coreプロセッサを公開し、11月に発売することを明らかにした。もっとも、業界初というのはどういう意味なのか少々疑問もある。IAおよび互換プロセッサとして初、ということなら分かるが、RISCプロセッサなどでは既に8コアのプロセッサが製品化されているという例もある。

 ともあれ、11月に出てくるインテル初のQuad-Coreプロセッサは、実はデュアルコアのプロセッサ・ダイ、つまり現行のCore 2 Duoのダイを2つ並べて1つのパッケージに押し込んだという構成になっている。そのため、構成の面からいえば、実のところQuad-Coreプロセッサというよりも、パッケージ内デュアル・プロセッサという感じになっている。もっともインテルとしてはこの手法は既に先行例があり、最初のデュアルコア・プロセッサもこうした手法で成立させている。

 こうした手法を採用する理由として、説明を行ったStephen L.Smith氏は、

・市場投入時期が早まる
・開発負担が軽減される
・2つの小さなコアを並べる方が、2倍のサイズのダイを作るより生産性がよい
・デュアルコア・プロセッサとの生産調整が容易

といった現実的な理由を挙げている。コアの設計や製造プロセスを変更しないのであれば、Quad-Coreプロセッサは単純にデュアルコア・プロセッサの2倍のダイサイズになってしまう。ダイが大きくなると、ダイの内部に不良箇所が含まれるリスクが高まり、最終的な良品の生産数が低くなるおそれがある。また、ダイの製造過程ではデュアルコア・プロセッサそのものであり、できあがったデュアルコア・ダイから選別してQuad-Coreを作る手法なら、製造過程には大きく手を加えず、Quad-Core用に抜き出す数を変更するだけでデュアルコアとQuad-Coreの生産比率を柔軟に変更できることになる。これは、デュアルコアからQuad-Coreに徐々に生産をシフトしていく過程では有利な特徴となるだろう。将来的には、単一のダイ上に4つのコアを実装する形に移行するのは間違いないが、多少時間を要することになる。

 なお、Quad-Coreプロセッサのパフォーマンスについても目安が明らかにされた。ベンチマークの結果として、元になるデュアル・コアのCore 2 Extreme X6800に比べ、Quad-CoreのCore 2 Extreme QX6700では、多少クロックが下げられていることもあって、性能向上は70%だという。デュアルコア・プロセッサ×2way構成、という考え方をした場合、プロセッサが2個になったから性能も2倍、という単純な結果にはならないのは当然だが、70%の性能向上はさほど効率が良いとはいえない数字だろう。デュアルコア・プロセッサ×2CPU構成のマシンとQuad-Core×1CPU構成のマシンのどちらが有利か、というのはユーザーにとっても興味のあるところだと思われるが、これはQuad-Coreプロセッサの価格がどの程度に設定されるかが大きく影響することになるだろう。

【左】Quad-Coreプロセッサの実物を示しながら説明を行うStephen L.Smith氏(Corporate Vice President Director of Group Operations Digital Enterprise Group)【右】Quad-Coreプロセッサの構造と、設計意図の説明

【左】デスクトップ向けプロセッサのロードマップ。ハイエンドからQuad-Core化が進行するが、本格的な展開は2008年以降に投入される、45nmプロセスによるPenryn(プロセッサ開発コード名、ペンリン)/Nehalem(マイクロアーキテクチャの開発コード名)の世代と見るのが妥当だろう【右】サーバ向けプロセッサのロードマップ。Itanium2では、2007年一杯は現在のデュアルコアのMontecitoが継続され、Quad-Coreの投入は2008年以降となる

Quad-Coreプロセッサ(QX6700)のベンチマーク結果。2CPU構成だと考えるなら、それほど目覚ましい性能向上とまでは言えない結果だ

●NAND型フラッシュとRobsonテクノロジー
 NAND型フラッシュ・メモリは、プログラム格納用に使われるNOR型フラッシュに比べ、消去や書き込みの速度が速く大容量化に適している反面、ブロック単位での読み書きしかできず、ランダムアクセスが遅い。低価格で大容量を実現できるため、MP3プレーヤーなどでの利用が急拡大しているメモリ・デバイスだ。インテルも、NAND型/NOR型両方の生産を行っている。

 インテルによると、NOR型フラッシュ、NAND型フラッシュ、HDDをバイト単価と設置面積を基準に並べると、NAND型フラッシュはNOR型フラッシュとHDDの中間に位置するという。NOR型フラッシュはバイト単価は効果になるが設置面積は小さく(実装密度が高い)、HDDはバイト単価は安価だが設置面積が大きくなる。NOR型フラッシュがモバイル機器等に利用され、HDDがPCや大容量ストレージを必要とする機器に採用されているのに対して、NAND型の用途としてはディスク・キャッシュなどが有望だとしている。

 こうした認識を踏まえて、インテルがNAND型フラッシュの用途として打ち出したのが「Robsonテクノロジー」だ。Robsonは、PCにあらかじめ組み込まれて利用されるNAND型フラッシュを利用したメモリデバイス。インテルによれば、1996年1月から現在までの10年間でプロセッサのパフォーマンスは30倍になったが、HDDのパフォーマンスはわずか1.3倍になったのみだという。性能差が年々拡大していくなか、HDDの手前に高速なキャッシュ・メモリを設置する手法の有効性がさらに高まってきている。かつて、PCの記憶装置がFDD中心だった時代のユーザーには懐かしい、RAMディスクの現代版ともいえるだろう。

 ただし、OSが管理するディスクドライブとして構成したRAMディスクとは異なり、Robsonではハードウェア側でのサポートがあり、OSが起動する段階から高速化に寄与するなど、相応の進化を遂げている。

 Robsonを採用すると、アプリケーションのプログラムをHDDから読み出してメモリに展開し、起動するまでの時間が半分に短縮されたり、ノートPCで利用されているハイバネーションからの復帰時間が半分になったり、ノートPC全体での消費電力が0.4W低減できたりといった効果が期待できるという。

 これは、HDDが静止した状態から、モーターでスピンドルを駆動し、回転が安定するのを待ってデータの読み出しを開始するまでの待ち時間が、Robsonではほぼゼロに近いところまで短縮できることによる効果だ。

 なお、Robsonは次期Centrinoに採用されるプラットフォーム「Santa Rosa」でサポートされることが明らかになっている。同様の取り組みは、HDD内にフラッシュメモリをキャッシュとして搭載するハイブリッドHDDにも見られ、どちらが主流になるかはまだ分からないが、この主導権争いはユーザーにメリットをもたらす結果になりそうだ。

【左】NOR型フラッシュ、NAND型フラッシュ、HDDの特性を比較した図【右】HDDとプロセッサの性能向上をグラフ化したもの。性能差が拡大する一方なので、メモリ・サブシステムの階層構造をより一層多段化し、低速なHDDがシステム全体の処理性能の足を引っ張らないようにする必要がある。この需要に応える形で大容量フラッシュをキャッシュとして利用するRobsonが生まれた

【左】Robsonのアーキテクチャ。ハードウェア/ソフトウェアの両面でサポートされるのに加え、次期WindowsであるWindows Vistaの新機能であるReadyDriveとReadyBoostでもRobsonを活用することが可能【右】ノートPC向けの次期プラットフォーム“Santa Rosa”でもRobsonがサポートされる
(渡邉利和@RBB 2006年9月30日 00:25)
キーワード: IDF

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