ピポサルといっしょに著作権を学ぼう! ACCS、「親と子の著作権教室」を開催 | RBB TODAY
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ピポサルといっしょに著作権を学ぼう! ACCS、「親と子の著作権教室」を開催

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会場の様子
  • 会場の様子
  •  8月23日、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は「親と子の著作権教室〜ゲームづくりから楽しく学ぼう」を開催した。
  • クリエイターの話に夢中な子供たち
  • 質問も交えて熱心に聞く保護者のみなさん
  • ピポサルくんもびっくり。「みつはしくん、ズルイ!」
  • 参加者全員でピポサルくんと記念撮影
  • ACCS専務理事・久保田裕氏
 8月23日、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は「親と子の著作権教室〜ゲームづくりから楽しく学ぼう」を開催した。

 この催しは一般消費者に著作権への理解を深めてもらおう、というACCSの活動のひとつで、今年で13回目。今回はコンピューターゲームがテーマということで、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の協力を受け、同社の会議室で開催された。

 参加した親子は16組33名。ACCSでは保護者向けのWebサイトやメールマガジン、図書館に置いたパンフレットなどで公募し、先着40名が招待された。

 プログラムは「ゲームができるまで」、「ゲームクリエイターに聞いてみよう」、「著作権ってなんだろう」の3部構成となっていた。子供たちが大好きなゲームを題材とし、興味を引きつけたところで著作権の説明へと巧みに導いていた。また、これとは別に保護者向けの説明会が開催されていた。

◆ゲームができるまで

 ここではSCEの人気ソフト「サルゲッチュ3」の開発スタッフが登場。プロディユーサーの太田直仁氏が登壇し、ゲーム作りに関する基本用語やゲーム開発の流れを紹介した。約20分という短い時間ながら、企画・原案、仕様決定、グラフィック、サウンド、プログラムの工程を丁寧に説明。各工程に関わるスタッフの数や開発期間に触れ、ゲーム作りには多くのスタッフが関わっていることや、長い時間をかけて開発していくことを印象づけた。

 スクリーンに映し出された開発ツールは、ゲーム画面とはまったく異なる地味なインターフェースで、いかにも“仕事用ソフト”という感じだ。それを見た子供たちは、「プログラマーは英語や数式を何十万行も書いていくんだよ」という説明に驚き、ふだん何気なく遊んでいるゲームソフトに大変な手間がかかっていると理解できた様子だった。

◆ゲームクリエイターに聞いてみよう

 子供たちは3つのグループに分かれ、開発スタッフと輪になって、ゲーム作りについて詳しい話を聞いた。開発ツールを操作してキャラクターができあがっていく様子、デバッグツールでゲーム画面のピポサルを大きくしたり、ザコキャラを増やして見せたりするたびに子供たちから歓声が上がる。この催しの中でもっとも盛り上がっていた場面だ。

 開発スタッフから「ゲーム開発には英語が大切。将来、ゲームを作りたい人は英語を勉強しようね」という言葉に頷く子供たち。将来の職業観と勉強の意味についても示唆に富んだ内容だ。子供たちはゲームを作っている会社への訪問と、ゲームクリエイターとの対話に満足していた。

◆保護者への説明会も

 ところで、子供たちがクリエイターと対話している間、保護者たちは別室でACCSの説明会に出席した。こちらではACCS戦略法務室長の葛山氏から、帰宅後に親子で話し合ってもらいたいことについて説明された。要点は二つあった。

 一つは、著作権の例外規定について。著作権はコピー禁止が大原則だが、家庭内の個人的な複製は許される。たとえば、レンタルCDを借りてMDに録音するなどの行為は認められている。これは背景に音楽著作者との権利関係の合意があり、レンタル料やメディア料に権利料が含まれるなどの理由がある。

 しかし、こうした説明は子供たちに難しく、今回の催しでコピーはダメ、という話すると、実生活の私的複製ルールと矛盾しかねない。この点について、保護者からきちんと説明をお願いしたい、とのことだった。

 もう一つは、ゲームソフトと子供への影響について。近年、ゲーム内容に暴力的な表現や、一部のゲームで恋愛を超えた猥褻な表現があり問題となっている。しかし、ゲーム業界側では独自のレーティング制度を発足している。そのレーティング制度を紹介し、ゲームを買うときは保護者が確認してほしい、ということだ。

 ここでは保護者から著作権やレーティング制度などについて質問や意見が出されるなど、充実した内容になったようだ。

◆著作権ってなんだろう

 ふたたび保護者と子供たちが合流して、最後のプログラムとなった。ACCSとしてはここが本題だが、法律的な難しい内容となるため、子供たちの理解を得るには、表現方法に工夫が必要だ。

 そこで、まずは子供たちの作品発表会を実施した。自作の絵や工作物を発表してもらい、苦労したところ、工夫したところ、かかった時間などを聞く。子供たちに“作る側の立場に立ってもらおう”という趣向だ。そしてスペシャルゲストが登場する。

 「今日は、他にも作品を持ってきてくれたお友達がいます」の声を受けて入室した“子供”は、なんとサルゲッチュの人気キャラクター“ピポサル”くん。ここからACCSが用意した“寸劇”が始まった。

 ピポサルくんが持ってきた絵の紹介が終わると、一人のお友達“みつはし”くんが登場。しかし、みつはしくんが自分で描いたという“絵”は、なんとピポサルくんが描いた絵だった。しかも、みつはしくんに「大好きな女の子にあげて」と渡した絵。おまけに、勝手に落書きが追加され、ピポサルという署名もみつはしに書き換えられていた。これにはピポサルくん、悔しさと怒りで泣いてしまった!

 「みんなもこんなコトをされたら嫌だよね」の言葉に続き、みつはしくんが著作権博士に変身。クイズ形式で著作権と同一性保持権、公表権、氏名表示権の説明が行われた。不正利用はいけない、という禁止的な表現ではなく、子供たちを作り手の立場に置いて、権利を守ることの大切さを教えていく、という趣向だった。

 最後は参加者全員が16階のラウンジでピポサルくんと記念撮影。サルゲッチュグッズをおみやげにもらって解散となった。嬉しそうにおみやげを眺める子供たち。夏休みの良い思い出になっただろう。著作権の大切さについてどこまで理解できたかは、このときに配布されたアンケートと感想文の返事を待ちたい。これらはACCSのWebサイトや小冊子で紹介される予定だ。

◆ACCS専務理事・久保田裕氏のコメント

 著作権の侵害はアジアが突出していると言われてきたが、実はヨーロッパなどでも不正行為は多く、全世界的な規模で被害が広がっている。コンピューター産業、ソフトウェア産業の拡大とともに被害は大きくなっており、このままでは世界経済が破綻しかねない。今回のような小学生向けの取り組みは小さい規模だが、活動の結果をWebサイトや小冊子で紹介して広めていくつもりだ。また、高校や大学、企業にも啓蒙活動を実施しており、年間200回以上になる。今後も著作権を理解してもらうために活動を続けていくつもりだ。著作権教育に興味がある方はぜひご連絡ください。



(訂正しました: 初出時、ピポサルのキャラクタ名表記に誤りがございました。関係者各位には大変ご迷惑をおかけいたしました。お詫びして訂正します 2005/8/24 15:39 編集部)
《杉山淳一》
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