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[ケーブルテレビ2005] 総括:ケーブルテレビとインターネットの融合

 CATV網の構成に不案内な人間でも、ケーブルテレビ2005の展示をざっと見渡せば現在のトレンドがどの方向を向いているかがよく理解できた。

 まず印象的だったのは、システムのインフラ面では、もはやケーブルテレビではなく“ファイバテレビ”ではないかと思われるほど、光ファイバの利用が急拡大していることだ。実際には「c.LINK」のような、既設のケーブルを流用して高速サービスを実現する、ソリューションに黒山の人だかりができていたことからも、CATV局の多くはまだメタルケーブル主体のインフラを持っていることが伺えるが、展示の主役は既にファイバに移っていると言って過言ではないだろう。c.LINKにしても、ケーブルが流用されるのは加入者宅に設置されたc.LINKクライアントと局側のc.LINKマスターの間で、局からc.LINKマスターまでの回線は光ファイバが前提となっているのである。加入者宅まで光ファイバを引くFTTHを前提とすれば“WideBand DOCSISを30チャネルで1.2Gbps”という途方もない容量が実現する一方、もっと現実的な用途としては、局間でのコンテンツ配信などを想定した長距離伝送対応の光ファイバシステムが各種展示されていた。Interopの実験でも明らかになったとおり、IP網で1.5Gbps確保できれば、HDTV非圧縮映像を送ることができる。動画コンテンツを豊富に持つCATV網なら、Gbps級の回線を加入者宅まで引いても、現状の「インターネットに接続するだけのFTTH」のように帯域をもてあますようなことにはならないだろう。

日本アンテナが参考出展した長距離伝送用FTTHシステム。2.5GHzタイプでファイバ長20kmまで対応するものと2.61GHzタイプでファイバ長15kmまで対応するものの2種類がある。局から加入者宅までの足回りに使用することを想定している

 また、通信業界/TV放送業界それぞれがデジタルサービスに取り組み、「放送と通信の融合(コンバージェンス)」を唱えているが、事実上CATV網ではこの融合は既に当たり前のものとなっている。CATV本来のコンテンツサービスであるTV放送の配信に加え、現在ではインターネットサービスも標準メニュー化している。さらに、IP電話(VoIP)も急速に一般化しており、いわゆる「トリプルプレイサービス」を提供することが一般的になってきている。IP電話に関しては、CATVの“地域密着型”の特性がうまく機能しているようにも思える。ADSLなどの回線事業者が提供するサービスとは異なり、CATVでは「ご近所がみんな同じサービスに加入している」という状況になりやすいためだ。CATV網内に閉じた通話であれば無料となる例が多いため、近隣の連絡網などに使えばメリットも引き出しやすいだろう。

 CATV網は地域分割で提供され、通常ある地域にサービスを提供する事業者は一社だけとなる。このことは、選択肢が与えられないという意味では消費者には不利にもなるが、逆に“地域で共通の通信インフラを作る”という意味ではメリットも生む。CATV網にRFIDレシーバを接続して位置情報サービスを提供する、という試みもその一つだし、展示会場ではほかにも地域情報提供のためのポータル構築サービスや、防災無線のような用途で緊急情報を一斉配信するためのシステムなども見かけた。防犯や防災など、地域ぐるみで取り組むべき課題は多い。このためのコミュニケーションインフラとして、一定地域内をカバーするケーブルの足回りをもつCATV網は地域の事情に応じた特化したサービスを実現することで、「ユニバーサルサービス」を前提とした通信キャリアとは異なる方向性で有用性を高める方向が強まりそうだ。

 最後に、CATV網で実現される通信速度の向上がめざましいことが驚きであった。ADSL、FTTHともに最近は速度向上のニュースはなく、FTTHの100Mbpsで頭打ちという感があった。実際、インターネットに接続するだけなら100Mbpsを使い切るサービスも現状ほとんど提供されておらず、速度向上に対する要求も少ないといえる。しかし、サービスの基本メニューに動画配信を置き、マルチメディアコンテンツを豊富に有するCATVでは事情が異なる。また、「トリプルプレイサービス」を一本の回線で提供したいという要望からも、回線速度はさらに向上することが期待されている。いきなり1.2Gbpsは少々極端にしても、c.LINKの250Mbpsなら、過剰とはいえない回線容量だ。「VoD」(Video on Demand)や「GoD」(Game on Demand)といったサービスの提供も目前に迫ってきており、実需要に支えられた技術革新は堅実かつ急速に普及しそうだ。インターネットでは、ISPや大手通信キャリアの動向に注目が集まりがちだが、CATV網もここにきて急速にその魅力を高めている。事業者による地域分割には功罪があり、サービス向上の速度は事業者の腹づもり一つという面はあるにせよ、魅力的な融合サービスインフラとして目の離せない存在になりつつあることが実感できた展示会であった。

富士通ネットワークソリューションズが展示していたDual Numbering IP電話サービス。CATV網内での独自番号による通話と、050番号によるキャリア網接続を使い分けることができる。いわば「内線/外線切り替え」のような感覚になるだろうか。IP電話の実用性を高めるサービスだと考えられる
(渡邉利和@RBB 2005年6月17日 11:38)
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