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足回りを生かした事業展開こそがケーブルの鍵。ケーブルの反撃始まる(後編)

■ブロードバンド先進国の三重県、CATVが強い理由はメリットを生かしているから

 CATV事業者はブロードバンドインターネット接続という新たなインフラを作り出した。ところが、事業主体が地域に密着しているため、全国規模のメディアで取り上げにくかったがために、日本全国の規模で大きなムーブメントを作り出すことはできなかった。ところが、場所によってはしっかりとCATV環境が根付き、ADSLよりも大きな加入率を上げている地域がある。

 2003年7月末段階における、都道府県別ブロードバンド加入率の集計によると、ほとんどの都道府県がCATVよりもADSLのほうが加入世帯率が高い中で、富山県と三重県だけがCATV優位のエリアとなっている。しかも、富山県は世帯数に対してADSLの加入率が12.3%、CATVの加入率が14%とどちらも拮抗している。ところが、三重県はADSLの加入率9.4%に対して、CATVが18.1%という倍近いシェア率を持っている。つまり、三重県こそがCATVの強みを生かしてビジネス展開しているエリアとなる。

 その三重県で代表的なCATV事業者がZTVだ。かつては津CATVネットワークの名前で、初期よりCATVインターネットサービスに注力してきた一社だ。同社が通信ビジネスを展開できたもっとも大きな理由は、営業を開始してから9年という社歴であるため、ネットワーク自体が新しいことがあげられる。また、当初よりインターネットサービスを前提にした通信事業者としての立場も十分に理解した上でビジネス展開をしてきた。それが現在の強さを維持しているともいえる。事実、「通信ができる品質のネットワークでなければ放送ネットワークは成り立たない」(ZTV取締役 技術本部長 兼 ブロードバンド事業推進部長 吉田要氏)というように、放送と通信の融合に対して積極的に取り組んできた事業者だ。

 三重県におけるCATVテレビの強さ、しいていえばZTVの強さは、CATV事業者のメリットを最大限利用したからだ。吉田氏の言葉をまとめると、おおむね次の3点となる。

1)通信にも耐えうる高い品質を持ったネットワーク
2)足回り回線までも所持するため、エリア内のピア-ピアでのサービスでは提供開始までの期間・価格・サービスのいずれにおいて優位
3)エリアが広がると、さらに1)、2)の内容、特に2)が相乗的な効果をもたらす

 通常のCATV事業者の場合、サービスエリアがそれほど広域ではない。その点ZTVは、通信・放送事業者として三重県、和歌山県、奈良県、滋賀県の3県をまたがり、2004年春ごろまでには40市町村以上がサービスエリアとなる。ADSLと比べると1社がカバーするエリアは決して広くはないが、基幹から足回り回線までの全ネットワークが自社でコントロールできる。ZTVのようにある程度のエリアにおいて、足回り回線から基幹まですべてのネットワークを完全に押さえ込んでいると、そこから先に展開できるビジネスも変化する。事実、ZTVは近畿・東海圏内で、拠点間を結ぶ専用線サービスの展開も始めている。CATV事業者の専用線サービスという展開に対して疑問を持つ人もいるだろうが、広域であり、しかも足回り回線を持つメリットを利用するならば、自然と浮上してくるビジネスである。実際、ZTVはシャープに対して、海外拠点まで含めた専用線サービスを提供することになっている。

 「エンド−エンドでの足回りをもっているというCATVの優位性は、NTTと電力会社以外の事業者では参入障壁となる。このメリットを生かすことと、高品位のネットワークを保ち続けること」(前出、吉田氏)によって、CATV事業者のインフラを中心とした新たな通信サービスの時代が始まる。こうした統合型のインフラビジネスは、既存通信事業者に対して、新たな見方を改めて掲示する形になる。

真の意味での放送と通信の融合。ZTVは柔軟に対応する


■光・ADSLと渡り合うCATVインターネット

 ブロードバンドサービスを作り出したCATV事業者ではあるが、ここしばらく元気がない。ADSLや光サービスといったCATVインターネットのコンペ相手が登場しているからだ。しかし、吉田氏は「しっかりとしたネットワークさえ構築できていれば、CATVは十分に戦える」と語る。

 まず、CATVインターネットサービスは、遠距離になったからといって通信速度が遅くなるわけではない。この部分は、常にADSLと比較されるメリットだ。スループット速度はというと、CATV網とインターネットとの相互接続点での帯域と、CATVネットワーク網自体のしっかりとした設計とメンテナンスさえ実現できれば、通信速度も問題にならないという。特に、最近のCATVインターネットは30Mbpsというサービスを投入する事業者が増えている。このサービス、体感速度的に15Mbps〜20Mbps程度と想定でき、光サービスと似たような通信速度のサービスだ。そして、エリア内であればどこでも導入できるCATVというメリットがあるほか、光サービスよりも安価な月額利用料金を考えると、CATVインターネット接続は光サービスに対抗できる唯一のサービスともいえる。

 「CATV事業者はいま追い風だ」と吉田氏は語る。地上デジタル放送、IP電話。新たなサービスが登場しようとしている。デジタル放送にデータ通信が含まれたり、IP網に音声を流すなど、データの融合が始まっている。ところが、よくよく考えてほしい。すでにCATVは通信と放送を融合したネットワークを持っている。時代が切り替わるチャンスこそが、実はCATV事業者が食い込むチャンスでもある。≫ 前編へ
(公家幸洋@RBB 2003年12月3日 20:46)

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