私大自宅外生の初年度費用総額、年収の3分の1超…負担感増 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

私大自宅外生の初年度費用総額、年収の3分の1超…負担感増

ライフ その他
受験から私立大学入学までの費用
  • 受験から私立大学入学までの費用
  • 受験から私立大学入学までの費用
  • 自宅外通学者の「入学の年にかかる費用」 と推移
  • 奨学金の利用状況
  • 私立大学にかかる教育費の準備について(回生別)
  • 新入生への仕送り額の推移
  • アルバイト収入の使途

 2023年度に京都の私立大学に入学した自宅外生の初年度費用が、総額294万5,172円と、家計年収の約3分の1を超える割合となったことが、京都私立大学教職員組合公費助成推進会議が2024年4月10日に公表した調査結果から明らかになった。学費の上昇は物価高騰を上回っているとの意見もあり、家計への負担感は切実に増していることがうかがえる。

 私立大学生保護者の家計負担調査アンケートは、京都私立大学教職員組合公費助成推進会議が1988年から継続して実施しているもの。2023年度で36回目となる。調査は2023年5月~10月にかけてWebアンケートで実施。京都先端科学大学、京都橘大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学の5校に通学する学生の保護者543名から回答を得た。

 受験から入学までにかかった費用は、自宅生で177万7,874円、自宅外生で220万4,262円。特に初年度納入金は前年度(2022年度)より約12万円増の147万7,339円となっており、自宅外生の「受験から私立大学入学までの費用」総額に占める初年度納付金の割合は約67.0%と、入学時の費用負担が保護者にとって非常に重いものとなっていることがわかる。

 自宅外生の仕送りなどを含めた「入学の年にかかる費用」は、総額294万5,172円。この費用は、自宅外生の家計年収、平均807万1,379円の約36.5%にあたり、前年度の30.3%より6.2ポイントと大幅に上昇。家計の3分の1以上を占める状況となっている。

 奨学金の利用については、全体の47.3%が「申請する予定」と回答。前年度より利用率は増加した。一方、「家計でやり繰りする」31.1%、「返済義務があるため申請しない」27.8%と、全体の6割近くは卒業後に多額の奨学金を返済しなければならない状況を考え、奨学金の借り入れを控える傾向がみられた。

 教育資金の積立は、新入生の保護者の7割近くが「積立をしている」(67.2%)と回答。積立年数は平均で「16.5年」と、1歳代の早い時期から長い年月をかけて教育資金を積み立て、教育費の負担に備えている状況がうかがえる。

 新入生の仕送り額は、6月の仕送り額・平均8万982円(前年度比2,210円増)と、前年度より若干回復した。しかし、家賃・平均5万7,641円を差し引くと2万3,341円しか残らず、1日あたりの生活費は約778円と1,000円を切っている状況が続いている。仕送り額の過去最高年度は1998年の11万6,223円、1日あたりの生活費の過去最高年度は1995年度の2,337円。最高値と比較すると、仕送り額は7割程度、生活費は3分の1程度の水準まで落ち込んでおり、アルバイトで生活費を稼ぐなど、依然厳しい生活を強いられる状況が想定される。

 調査報告の末尾にはアンケートに寄せられた保護者の声を抜粋して紹介。「学費負担が大きく、同時に大学生2人がいて家計が破綻している」「安心して大学生活を送ることができるように、給付型奨学金を充実させてほしい」「私立大学生を複数抱えていたころの返済を現在しながら、末っ子を大学に通わせている。返済は続くため本当に大変」「大学までの高等教育について、無条件での学費無償化の実現を期待します」など、切実な意見や要望が寄せられた。

 調査結果は、京滋私大教連(京滋地区私立大学教職員組合連合)のWebサイトから見ることができる。

《畑山望》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

page top