1月末、スポーツ仲裁裁判所が下した裁定に世界の注目が集まった。ロシアの17歳のフィギュアスケーター、カミラ・ワリエワ。4回転ジャンプを得意とし、他を寄せ付けない圧倒的な得点を出すことから「絶望」と呼ばれた少女だ。
2年前の冬、北京オリンピックで金メダル候補と言われながら過去のドーピング違反が発覚。今回の裁定で、2021年12月から4年間の資格停止処分とその間の全ての成績を無効とする処分が下された。当時15歳の少女を巡っていったい何があったのか?
フィギュアスケート史上かつてないスキャンダルの舞台裏を知るために、NHKはワリエワが所属するモスクワの名門クラブとワリエワ本人の取材を敢行する。
北京五輪の直後に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻によって、ワリエワやロシアのトップスケーターたちは、現在国際大会から除外されている。今回は渦中のワリエワや、コーチ、ドーピングをめぐるメディア等の関係者たち、そしてロシアが侵攻したウクライナ側のアスリートなどにも取材する。